【感想・ネタバレ】続あしながおじさん(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大学卒業後、なんとなく社交生活を送っていたジュディの友人サリーは、ジュディの夫であり孤児院の評議会会長の元あしながおじさんジャービス氏から院長に指名され、孤児院の改革を依頼される。
あしながおじさんの続編ということだが、主人公は交代し全然違うタイプの物語になっている。サリーは初めはやる気もなく早くクビにしてくれとお願いしており、次が見つかるまでのつなぎのつもりでいたが、次第に仕事にやりがいを持ち、自分らしさを見出していくようになり最後は結婚より仕事を選ぶ。大卒の半人前女子がだんだん仕事ができるようになり一人前の社会人になっていく様子と重なりますね。遊びに来てくれた彼氏が目の前にいると楽しいけど、さよならして目の前からいなくなるとすっかり忘れて仕事にのめりこむというのがおもしろい。
あしながおじさんは地面に足がついてない感じが拭えない夢物語だが、こちらは現代にも通じる働く女子のリアルな物語。訳者あとがきに書いてあるが、若干著者が重なる部分もあるようで。
100年も前に書かれた物語で、当時の時代背景を示す描写がいくつか出てくる。孤児院でもらわれていく子供としての理想像は、アメリカ生まれアメリカ育ち、金髪で青い目のピンクのドレスが似合う女の子だとか、慈善事業に従事する者に報酬はいらないという考え方は、今でもそれほど違いはない本音のように感じる。

1
2018年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あしながおじさんの続編。
ジュディの友人サリーが孤児院の院長として奮闘する物語。
あしながおじさん同様、サリーの書く手紙で物語が進んでいく。イラストがとっても可愛い。
サリーが新米院長として不満タラタラに(!)けれどガッツを持って働く姿、どんな困難にもユーモアを持って立ち向かう姿がかっこいい。
私は「先生」宛の手紙が一番好き。じれったいなあ、もう!とソワソワしながら読んだ。
そしてとびきりのハッピーエンドに、にっこりしながら本を閉じた。
正直、古い偏見に時代を感じる部分もあるけれど、(しっかりあとがきでフォローされていた)やっぱり心躍るハッピーなお話だった。

ただ、孤児院の子供にあてがわれたギンガムチェックの服が不満で、「ギンガムチェックの終焉!」とまで太字で手紙を書くサリー。
なんで!ギンガムチェック可愛いじゃないか…!!とそこだけ物申したい。

0
2024年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

DEAR ENEMY、敵へ、つまりマクレイ先生へ。
今作では、前作の主人公ジュディ宛(他)に、今度は友人のサリーが主人公として手紙を綴ることになる。
ジュディらのすすめで孤児院の院長となり取り仕切ることになったサリーの日々。マクレイ先生とは馬が合わず、本人を目の前にして"敵"というニックネームで呼ぶなど、これはいかにも特別な関係になるのだろうなと期待した。

時折登場する、特別愛嬌のあるアレグラを巡る話題が特に面白かった。孤児院に来た経緯から、彼女を引き取りたいと申し出されたものの、彼女を引き取るならその兄2人も一緒でないと、両親を失った家族がさらにバラバラになってしまう、という話、家事で先生が助け、結果的に兄2人も含めて貰われた話。色んな人に愛されやすく、ジュディのように、只者じゃない笑

p329で、恋人のゴードンへの手紙に、ドーデ「ヌマ・ルーメスタン」主題は"街の喜び、家の悲しみ"という、世の中では誰もが崇める素晴らしい政治家だが、家にいる彼女のもとへ戻ると不機嫌でむっつりしていて元気がない、という男の話題を書き、自分の思いを仄めかしている。
p334で、夜中に起こされてアルコール中毒の少年を診察治療し顔色の悪い先生を見ていて、先生の陰鬱な家など先生の人生の背景にある恐ろしい悲劇を思い、同情の波に包まれた。

ーー何かがーー何か電撃的なことが起こったの。気がつくと抱き合っていたのです。先生は私の手をゆるめ、大きな肘掛け椅子に座らせました。「まったく!サリー、ぼくが鉄でできていると思っているのかね?」そういって出ていきました。

良い感じじゃない〜とニヤニヤしながら読み笑

p364でゴードンと別れる。
p367で先生はなぜ私とは面会してくれないのか手紙で訴える。
マクレイ先生〜〜〜どうか今度お見舞いにうかがうときは面会してください。そして二人で〈時間〉に外科手術をほどこして、五か月を切除しましょう。二人で脱走して大いに楽しんだ日曜の午後を覚えていますか?今日はその翌日です。サリー・マクブライド
別日・敵殿〜〜ご覧のとおり、いまは先生に対して友好的な気持ちです。「マクレイ」というときは好きではなくて、「敵」と呼ぶときは好きなのです。〜

作中は前作と比べて退屈な場面も多かったが、最後の最後は、作品名から答えは分かっていても、ああ〜ときめきました笑
相変わらず終わり方が素敵です。作中の退屈だった場面も、後半の先生とのやりとりで吹き飛びました。

0
2023年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とっても素敵な本だった。
タイトル通り、『あしながおじさん』の続編。
あとがきにて、原題が「Dear Enemy」と知る。
読み終わってから知ると、おお洒落てるってなるけど、
読む前から知ってたらだいぶネタバレかも。

『あしながおじさん』とは違って、大きく派手で衝撃的な事件が後半に起こるのが印象的
おや、これは…?と思い始めてから、ページをめくる手が止まらなくなってしまった。

『あしながおじさん』はザ児童文学!ってかんじだけど、
これは児童文学にしては大人向けかも。高校生以上くらいかなあ、面白さが分かるのは、と思った。

旧訳の感想読むと「差別的すぎて云々〜」っていう意見が目立っていたけど、そんなに感じなかった。
新訳版ってことで、むちゃくちゃマイルドになってるのかな。

あとがきを読んで、少しほほう、となる。
作者のジーン本人も、妻子ある男性と恋愛関係にあったらしい。
39歳で亡くなったのね。生きていたらもっとたくさん文学を書いていたかもと思うと、とっても残念。
もっと読みたかった。

0
2018年01月20日

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