あらすじ
あの頃の魂が熱くなる――。直木賞×山本周五郎賞W同時受賞作家による至高のバンド小説! 2010年、宮城県仙河海市。中学時代から続けたバンドが解散した匠は高校の軽音楽部の扉を叩いた。失意も一転、部長の美少女・遥にひとめぼれ。彼女への恋心をきっかけに、少年は一つの目標を見つける。「このまちに初めてのライブハウスをつくろう――」地元の縁を巻き込みながら交差していく遥の過去と匠の未来。そして、あの春がやってくる。解説/尾崎世界観
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Posted by ブクログ
熊谷達也『ティーンズ・エッジ・ロックンロール』実業之日本社文庫。
文庫で唯一未読だった仙河海市サーガの1作。高校生のバンド青春小説と言ってしまえば、それまでなのだが、田舎の小さな港町を舞台にした夢を追う若者たちの清々しい姿を描いた感動的な物語であった。
舞台は2010年の宮城県仙河海市。東日本大震災の前年の宮城県気仙沼市がモデルである。気仙沼市内に実在する駅や喫茶店、高校、中学校が名前を変えて登場する。
舞台となる年代からして、東日本大震災の描写は必須であり、本作ではどのように描かれるのか興味があったが、作中では大震災当日は直接描かれず、その前後だけが描かれている。東日本大震災の津波と火災で壊滅的な被害を受けた気仙沼市。小さな港町にひしめく建物は殆どが流され、道路は寸断、何も無くなった町中に大きな船が打ち上げられ、辛うじて残った建物の上にも流された車がのっかっているという異常な光景。果たして元の町に戻るのか誰にも解らない中で始まった復興への長くて苦しい道程。しかし、若者たちはへこたれず、未来に向けて走り出す。
高校1年まで中学の同級生と3人で続けてきたバンドを解散した主人公の匠は失意の中、半ば仕方無く高校の軽音楽部に入部する。入部した軽音楽部の女性部長の遥はちょっと変わった年上のクールビューティ。そんな遥に一目惚れした匠は、遥と共に故郷の小さな港町に初めてのライブハウスを立ち上げることを目指す。二人の恋の行方も気になるところ……
本体価格648円(古本100円)
★★★★★
Posted by ブクログ
やはり私はこういう熱い青春小説が好きだ。仲間で壁を乗り越えていくことや、想い人のことを知るために行動することができるなんて羨ましい!というおばさん目線で読んでしまった。
舞台は気仙沼で、実在する店なども登場する。私が仙台に行くときに時々立ち寄っているアンカーコーヒーも「錨珈琲」として登場してくれて嬉しい。震災の描写は少なめ。
Posted by ブクログ
バンド活動や音楽が話の中心になるのかな、と期待していたのですが、匠と遥の恋愛話がメインのお話でした。青春小説としてはありなのかもですが「音楽もの(バンドもの)」と期待したいち読者としては、物足りなさが先立ってしまうのは否めません。
また、その恋愛話もうまくいきすぎていて、好きになっていくきっかけや流れが今ひとつピンとこなかったりしました。そのあたりに都合の良さを感じてしまいます。
ただ、話としては読みやすく、また分かりやすかった点は良かったです。前作にあたると思われる「オヤジ・エイジ・ロックンロール」も機会があったら読んでみたいです。