【感想・ネタバレ】ダック・コールのレビュー

あらすじ

石に鳥の絵を描く不思議な男に河原で出会った青年は、微睡むうち鳥と男たちについての六つの夢を見る―。絶滅する鳥たち、少年のパチンコ名人と中年男の密猟の冒険、脱獄囚を追っての山中のマンハント、人と鳥と亀との漂流譚、デコイと少年の友情などを。ブラッドベリの『刺青の男』にヒントをえた、ハードボイルドと幻想が交差する異色作品集。“まれに見る美しさを持った小説”と絶賛された第四回山本周五郎賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

何でこの本を手に取ったか覚えていないのですが、全く先入観も期待も無く読めたのが逆に良かったです。後から作者のバックグラウンドを知りました。ガンが治らないことを知ってから小説を本格的に書き始め、10年の作家活動の後に亡くなったそうです。
書評を読むと、どれも「美しい小説」と評してあります。「美しい小説」ってなんじゃらほい、と思いながら読んでみたところ、それが的確な表現であることが分かりました。
透き通った水がサラサラ流れる川のような文章です。凝った表現は無いのですが、心に文章が染み渡り、情景が目に浮かぶんです。一冊を通して、鳥がモチーフに出てきますが、それぞれの話の伝えたい内容は異なります。私は、乱獲により絶滅した鳩の物語や、少年とおじさんの交流の話、そして、カメが命を助けてくれた話がとても印象的で、素敵だと思いました。教科書に出てきそうな話です。出てきた鳥がどんなものか知りたくて、あとでインターネットで調べてみました。
地味ですが、いい本でした。

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2014年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ダックコール
自然の中に生きる。

蔦屋書店の鳥コーナーで発見。ジャケ買い。蔦屋書店に住みたい。

短編集だと思わずに読み進めたから、最初は構成がわからなかった。
もう少しポップな物語(ペットとしての鳥と人間の愛の物語的な、、)を想像していたけど、全然違った。
自然の中で生きる鳥と、そこにまつわる人間の物語。

・望遠
おちゃめすぎるよ!
若造一人に重大任務を任せる上司たちも上司たちだけど。
映像作品の目玉のシーン。一発撮りでチャンスは一回。森の中で迎える朝日を撮る重大任務。
その緊迫感と、珍しい鳥を見つけた驚きや嬉しさのようなものが対照的に際立っていて面白い。
鳥を見つけたことの純粋な驚きや喜びが手に取るようにわかる。
そこで、仕事を放ったらかして、そのカメラで鳥を撮るという行動がおちゃめ。羨ましい。若さゆえ?

・パッセンジャー
衝撃。軽い気持ちで手に取った小説だったので、まさかこんなにも狩猟の対象になっている鳥の物語を読むことになるとは。
そして実際、人間による大量虐殺によってリョコウバトは絶滅してしまったというから恐ろしい。
狩猟という単語は馴染み深いのだけれど、想像していたよりも残虐でショックを受けた。


・密猟志願
一番ポップ。
自然の中で育った狩猟上手な少年と、癌を2回克服しリタイアしたサブカルチャー&命名好きなおじさんのお話。
おじさんを始め、物語に出てくる登場人物みんなキャラが立っていた。
少年に出会ってから楽しいことや良いことづくしで幸せそうだったから、誰か死んでしまうんじゃないかと思ったけどそんなことはなかった。少年がいなくなってしまったのはおじさんにとってはとても悲しい出来事だったろうけど。ひとときの夢。

・ホイッパーウィル
一番好き。
ハードボイルドとはこのことらしい。あまりにも非日常が味わえて新鮮だし、かっこよくて面白い。山岳小説に引き続き、虜になりそう。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

石を拾い集めてそこに鳥の絵を描いている男性と出会った青年が、男性の描いた絵をひとつひとつ見ながら
その石に書かれた鳥にまつわる6つの夢を見る、という体で、
6話の短編が展開されていきます。

短いながらもそれぞれに趣深く美しいお話です。
淡々とした静かな文体の中に生命の美しさと切なさが溢れています。
一般的な所謂『ハードボイルド』のイメージとは異なる、
綺麗で儚く、それでいて男らしい不思議な魅力のあるお話ばかりです。

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2017年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全編鳥が何らかの形で関係しています。
最初はなんかピンときませんでしたが、ヒロと密漁を企てる密漁志願のワクワク感がよく、その次のホイッパーウイルのハードボイルドも格好良かった。波の枕、デコイの話は美しいファンタジーな感じで、読後感が非常に爽やかでした。

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2016年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

望遠が一番好き。
こんなに素晴らしいのに世間の反応がイマイチ、ということが自分にもよくあるので若者の気持ちが分かる。切ない。
ホイッパーウィルの最後は美しかった。
行動力のある少年たち、見てるこっちは心配だけど自分には真似できないからちょっと羨ましい。

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2015年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いいわけではないが書いておこう。
私は鳥が嫌いだ。

というわけで、私は鳥が嫌いだから、鳥の話も嫌い。
それだけ?

うん。それだけ。

確かに鳥の話ってわけでもない。
野鳥を愛でる友の会の話ってわけでもない。
どちらかと言えば、バードウォッチャーに喧嘩を売っているような話もある。

それでもあまり好きになれないんだよね。

面白いことは面白いんだ。

豪邸に忍び込んで密漁をしようと言う話。
成功するのか、失敗するのか、捕まって牢屋にぶち込まれるのか、逃げおおせるのか。

ドキドキしながら読み進めていたのも事実。それでも、どうしても好きだ。とか良かったとか言えないんだよね。

ま、バイアスで★-1くらいになっているということで。

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2015年01月04日

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