【感想・ネタバレ】夜また夜の深い夜のレビュー

あらすじ

友達に本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住む。国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。疾走感溢れる現代サバイバル小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第1部はナポリで母と二人暮らしの国籍を持たない18歳の少女マイコから七海への9通の手紙です。
七海とは一体誰なのか。そしてこれはどういう話なのかと思いました。
マイコは母に内緒でMANGA CAFEのシュンの店に毎日、通うようになります。
しかし、マイコはヤマザキという日本人男性から逃れるため逃げます。
そして、同じような少女、エリスとアナと知り合い、マイコは男装して、三人で逃避行する生活をはじめます。

第2部は、七海への手紙のかわりに書いたマイコの手記です。私の奇妙な人生を記録したかったとマイコは語ります。
七海から初めての返事が届きます。七海も海外に暮らす少女だということが、わかります。
そして、マイコたち3人は、知り合った少年、カマールの家で暮らし始めます。
しばらくして、ヤマザキから、マイコの母親の秘密がわかったからMANGA CAFEで会おうと連絡が入ります。シュンとの再会。でももうシュンのことも信用できなくなったマイコ。
そして、シュンの口からマイコの出生の秘密が明らかになります。
途中で、「オウム真理教」の名前が登場しますが、作者は、その辺から、このお話を発想したのかが、気になりました。オウム関連書は、以前に何冊かまとめて関係者の手記を読みましたが、マイコのような人物はいなかったと思います。

でも、何もかもひっくり返した、最後のどんでん返しはよかったです。
すごく、すっきりしました。

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2018年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

手紙形式の小説は何度か読んだことがあり、あまり入り込めない印象だったのですが、好きな作家さんということもあって入り込めました。

今日、私は何も心配なくベッドで寝られるし、食事に困るわけでもない。この作品はフィクションだけど、そういうことが当たり前じゃない世界が今現在もあることは知っておきたい。

ただ、手紙形式の意味があったのかがわからない。

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2023年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

桐野夏生作品にしてはだいぶエンタメ。
スラスラ読める。マイコが妙に呑気なのは外国で育った世間知らずという設定だからか。

20年間スラム街に身を隠し整形を繰り返す生活。2億円じゃ割に合わないと思う。

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々の桐野夏生さんで、期待して読んだけど★3つ。
設定はすごく興味深い。主人公のマイコは、物ごころついたときからいろんな国を転々としていて、自分が何者なのかわからない。母は整形手術を繰り返して、こそこそと隠れてくらしている。ときどき男の人が訪ねてくるけど、監視されているのかな。母からは、自分の本当の名前を人に教えてはいけない、友達をつくっちゃいけない、自分たちのことがばれたら一緒にいられなくなるよ、と脅されている。
しかしマイコも徐々に大人になり、そんな檻の中から当然逃げ出したくなる。いろいろあって逃げ出して、自分と同じような境遇の少女たちとサバイバルして暮らすようになる。
ドキドキハラハラの冒険譚だけど、物語が、マイコが誰かに宛てて書いた手紙という形式をとっているのがちょっとつまらないと思った。
主人公の手記とか手紙とか、独白形式の書き方って、単純というか、どうしても不自然。桐野さんならもうちょっとドラマティックな描き方ができたんじゃないのかなぁ。

マイコの仲間になる二人の少女は魅力的で、彼女たちの口から語られる北アフリカの内戦や飢餓、虐殺、難民のたどる道などは、マイコをあくまで「日本の女の子」と捉えるとかなりギャップがあるけれど、そのギャップも面白いと思った。もしかしたら、日本で指名手配されて逃亡中の人が国外で子供を生んだとしたら、マイコのような子供は現実に存在するかもしれない。うん、確かに存在してもおかしくない。日本大使館に行けばいいじゃん、と読みながらずっと思っていたけど、それが結果的に「母を売る」ということになるなら、子供はどうするのが正しいのだろう?難しいな。

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生ぬるい日本の感覚とは違った外国育ちで、純朴だった舞子は、厳しい環境の中で成長を遂げていく。それぞれに思わぬ生い立ちを持つエリン、アナと共にアンダーグラウンドな生活を潜り抜け,行きぬけていけるたくましさを手に入れた。

自分の本能にこんな強さはあるか。それを眠らせてないか。

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2017年09月09日

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