あらすじ
〈反ユダヤ主義(たんなるユダヤ人憎悪ではなく)、帝国主義(たんなる征服ではなく)、全体主義(たんなる独裁ではなく)が――次から次へと、より残酷なかたちで――示したのは、人間の尊厳が、新しい政治原理、新しい地上の法においてのみ見出されうる新しい保証を必要とするということである。その有効性は今度こそは人類全体を包括する一方で、その力は厳密に限定され、新しく定義された領域的なものに根をおろし、それによって制御されなければならない〉20世紀の中心に生じた「伝統の崩壊」、すなわち強制収容所・絶滅収容所という「地獄」という現実の出来事を、どうすれば理解することができるのか。厖大な文献を読み込み、じっくり考え、理解しようとする営為から、本書は生まれた。国家や法という伝統、さらには人間の本質まで破壊した全体主義への道筋とシステムを描いた20世紀の記念碑的大著の新版を、最新の研究成果を反映し、より正確かつ読みやすくして、ここにおくる。〈理解とは、現実に予断をくだすことなく注意深く向き合い、それに負けないことなのだ〉
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Posted by ブクログ
相変わらずアーレントの文章は読みづらいが近代におけるユダヤ人憎悪への鋭い分析には舌を巻いてしまう。
西洋の底流に流れ続ける曖昧漠としたユダヤ人嫌悪という難問に封建制の崩壊、資本主義時代の到来、そしてモブ(暴徒)の英雄崇拝からの全体主義思想へと発展するプロセスを経済的かつ政治的な歴史の遷移の内側に組み入れる。
資本を潤沢に所有する裏の支配者としてのユダヤ人が終わりを迎え、ただただその特権性を保有する奇妙な存在としてのユダヤ人。
19世紀末のドレフェス事件を嚆矢とする反ユダヤ人言説の醸成化。
続きが気になる。