【感想・ネタバレ】老人の取扱説明書のレビュー

あらすじ

「赤信号でも平気で渡る」
「急に『うるさい!』と怒鳴られた」
「私の作った料理に醤油をドボドボとかける」
「『早く死ねばいいのにと、思っているんでしょ?』と言われる」
…、
老人からこんなことをされた覚えは、ありませんか?

すると、こう考えると思います。
「認知症でボケがはじまったから」
「価値観が古く、新しいことを受け入れない頑固者だから」
「若い人へのひがみが多くて、性格が悪くなっているから」

確かに、中にはこのような老人もいますが、
圧倒的多数の老人は、全然別の原因により、困った行動の数々を起こしていたのです。
しかも、老人になることで誰でも起きてしまう現象によります。

本書では、現役の医師であり医学博士の著者・平松類先生が、
10万人以上の患者と接してきた経験をもとに(その多くが老人)、
老人の困った行動の原因を明らかにし、
解決策も提案しました。

例えば、赤信号でも平気で渡るのは、
「周りのことを考えずに、車も勝手に止まってくれる」
と勘違いをしているのではなく、
「瞼(まぶた)が下がってくるうえ、腰も曲がっているので、信号機がある上方がよく見えない」
など、体の状態が原因となっており、
性格やボケなどとは関係がないのです。

このように原因を知ることで、
イライラすることも減りますし、
どうすればいいのかも考え、実行できます。

例えば、
周囲は「信号が赤であることを伝える」「運転中に道路に老人がいたら、スピードを落とす」
老人本人としては「瞼が下がらないように目のカンタンな運動をする」「瞼が下がる原因となるコンタクトレンズを長時間使わない」
など、簡単なことで済みます。

本書は、今後絶対に訪れてしまう「超高齢化社会」を生き抜くための“処方箋”です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

誰もがいずれは歳をとって“老人”となる。
だから、老人の存在を否定するものではないが、高齢者の割合が大きくなりすぎた今のこの国で、様々な問題が起こっているのも確かだ。

情報番組で専門家が、老人問題について呼ばれて解説している。
この本の作者も、たびたび呼ばれるようだ。
私たちも興味を持って、メディアからの情報に当たるのだが、時間が経つと忘れがち。
この本には、それが分かりやすくまとめられている。

老人の行動の原因を解説し、どう接したらいいのか提案し、これから老人になる人たちには、どうしたら“困った老人”になるリスクを減らせるか提案している。
身近にある、“老人に優しくない制度(制度?)”をちょっと直したらいいのでは?という提案も。
信号機を見やすくする、渡れる時間をもっと工夫するなど、もしかしたらすぐに出来ることかも知れない。

年老いた親に困っている人たち、年老いたお客の対応に困っている店員さんたちにも、是非一読をお勧めしたい。

ちなみに、完璧に高齢者を扱っているのは、『詐欺師』だそう。
びっくりだ!!
詐欺師に負けてはならない。

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2019年03月01日

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