【感想・ネタバレ】天盆のレビュー

あらすじ

「誰かのために戦う奴に勝てるわけがない」
蓋の国を動かすのは、盤戯「天盆」を制した者。人々は立身を目指し研鑽に励むが、長い間、平民から征陣者は出ていない。
そんな中、貧しい十三人きょうだいの末子・凡天が激戦を勝ち進み――少年が歴史に挑む時、国の運命もまた動き始める。
圧倒的疾走感で描き出す放熱ファンタジー!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「青の数学」愛読者としては
手に取らないわけにはいかない。

驚いた。これが…デビュー作???

数ページ読み進めただけで、この国の人々や
時代背景の設定、ここの登場人物の名前と
キャラクターが、びしびし頭に入ってくる。
ファンタジーは登場人物がやたらに多く、
国名なども架空だから、設定そのものを
消化するだけに一度通読しなくてはならない
場合だってあるのに。

それだけじゃない。映像が脳裏に浮かんでくる。
いきいきと街が周りに浮かび上がってくる。

凄すぎるよ…この筆力。圧巻だ。

天盆の対局を経て、凡天の対戦相手たちが
精神的な成長を遂げてゆくさまは
どこか「蜜蜂と遠雷」に似て清々しい。

ラストは少しやるせないけど…佳作です!

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2017年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 『青の数学』シリーズの王城夕紀さんの作品である。文庫化を機に手に取ったが、この熱量は『青の数学』に匹敵するだろう。設定上の共通点は多い。数学に打ち込む栢山。本作の主人公が打ち込むのは、「天盆」という盤上遊戯。ゲームである。

 架空のゲーム「天盆」とは、将棋に近いイメージだろうか。具体的なルール説明や図は、一切出てこない。それなのに、これほどまでに対局の熱気が伝わってくるのは、なぜなのか。具体的数式をほとんど出さずに、数学の熱気を演出した著者ならではの手腕である。『青の数学』シリーズのファンなら、はまるだろう。

 テーマが架空のゲームなら、時代や舞台も架空。三国志時代の中国を連想する。本作はいわばファンタジーなのだが、侮るなかれ。本作はファンタジーでなければならないことが、読めばわかる。この国「蓋」において、天盆はただのゲームにあらず。国家の命運さえ左右する。生きるか死ぬかの真剣勝負なのだ。

 10人兄弟の家に拾われた主人公の凡天には、天盆の才能があった。あっという間に兄弟たちを追い越し、大人の名人級も次々と破る。平民の身分だけに、それを快く思わない権力者がいる。現代社会にも通じる、権力者の汚さ。しかし、凡天は妨害に屈しない。家族の力強い応援がある。何より、凡天は純粋に天盆が好きだ。

 哀しいかな、親が子を殺し、子が親を殺すニュースが珍しくない昨今。実の子ではない凡天に注ぐ、父と母の愛を見るがいい。立派な親の条件とは何だろう。社会的地位が高いことか。そうではない。本作は、凡天が駆け上がる物語であると同時に、家族の物語でもある。信頼関係があるから、決して諦めない。

 真っ直ぐすぎるくらい真っ直ぐな物語の結末は、予想外だった。ファンタジーならではの結末と言えるが、この結末は、凡天を、ライバルを、天盆に挑む者たちを、微塵も否定していない。だからきっと、これでよかったのだ。そう思いたい。

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2017年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

パイセン本。

王城夕紀『天盆』は、架空の盤戯を舞台にしながらも、人間そのものの業と希望を描き切った稀有な一冊である。

駒を打つ音や盤上を巡る沈黙が、勝敗を超えた精神の葛藤として響いてくる。

主人公・凡天が「好き」という純粋な衝動を力へと転じ、幾多の強者と渡り合う姿は、競技の枠を超え、人が生きる理由そのものを問いかけてくる。

家族との結びつきや師弟の情が温かく紡がれ、勝負の緊張感に人間の柔らかな温もりが対照的に映えるのも印象的だ。

ルールの細部を語り尽くさぬまま、読者に想像の余地を残した筆致は、天盆というゲームを一つの宇宙として際立たせ、物語に深い余韻を与えている。

読み終えた後、静かな達成感とともに、勝つこと、愛すること、そして人として立つことの意味を胸に刻み続ける、重厚な読書体験であった。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

将棋のような盤戯、天盆。平民であれどこの盤戯ひとつで国を動かす地位につける可能性がある。
頂点を目指す彼らは、ただの私欲のものもある。地位そのものが欲しいのではなく、地位に着くことで得られるこの腐敗した国を変える力が欲しいものもある。思惑はそれぞれ。

凡天はただこの盤戯を楽しみ夢中になり追究するのだが、いつしか家族の希望となり平民たちの希望となってゆく。

実際将棋で、終局が見えて尚くつがえせるものなのかはわからないけれど
、諦めない気持ちの熱さを感じた。


全員血の繋がりがない、それがなんだと母は言う。これを心底すごいと思った。

このところ家族ってなにかね?と考えさせられる本によく出会う。
「流浪の月」「52ヘルツのくじらたち」
家族のかたちはそれぞれ、血縁に拘らず、モヤモヤせず家族だと言える繋がりが誰にもありますように。

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2021年05月31日

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