【感想・ネタバレ】人工知能の見る夢は AIショートショート集のレビュー

あらすじ

SF作家と人工知能学会がコラボレーション! この一冊で、「人工知能の現在と未来」が丸わかり。
日本を代表するSF作家たちが、人工知能をテーマにショートショートを競作。それをテーマ別に編集し、それぞれのテーマについて第一線の研究者たちがわかりやすい解説エッセイを書き下ろしました。
名古屋大学・佐藤理史先生プロデュースの〈AI作家の小説〉も掲載!
研究者の最新の知見と作家のイマジネーションが火花を散らす画期的コラボ企画が、文庫オリジナルで登場です。

【テーマ一覧】
◎対話システム ◎自動運転 ◎環境知能 ◎ゲームA I◎神経科学 ◎人工知能と法律 ◎人工知能と哲学 ◎人工知能と創作
【執筆者一覧】
《作家》若木未生、忍澤勉、宮内悠介、森深紅、渡邊利道、森岡浩之、図子慧、矢崎存美、江坂遊、田中啓文、林譲治、山口優、井上雅彦、橋元淳一郎、堀晃、山之口洋、高井信、新井素子、高野史緒、三島浩司、神坂一、かんべむさし、森下一仁、樺山三英
《研究者》大澤博隆、稲葉通将、加藤真平、小林亮太、伊藤毅志、原田悦子、赤坂亮太、佐藤理史、久木田水生、松山諒平

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

若木先生のブログでショート・ショートを書かれたと知り手に取りました。
どのショート・ショートも非常に面白かったです。

このショート・ショートは人工知能学会の学会誌「人工知能」に掲載されたもので、日本SF作家クラブ協力の元ショートショートを依頼したのだそうです。
そうした背景かつ掲載誌なので、人工知能に関するSFショート・ショートばかりでとても読み応えがあります。
ショート・ショート部分のみでなく、テーマごとに分類されそのテーマのショート・ショートが終わると解説文が挟んであるのですが
これがまた面白い。
普段AIといってもなんとなくの理解しかしていない分野なので
大変勉強になりました。

人間は死にたいとか、泣きたいとか口にすることがありますが
大抵本気ではなくて泣き言であったり、
「この状況が変わらないなら」死にたい、
「泣いて解決するものなら」泣きたい
のような条件付きであったりします。
言葉通りではないのが人間の複雑さで、確かに人工知能にとっては解釈が難しいところなのだと思います。
こうした感情の部分だけでなく、部屋のお片付けなどにも同じことがいえますが
一昔前に流行った『ファジー』が人間の求めるところであり
難しいところでもあります。

プログラミングには基本的には条件としてのデータが必要で、
単純にそれだけでも膨大になるのに、曖昧さを鑑みてもらうためには
更に膨大な量になるでしょう。
しかも、それでも人工知能にとっては、判断基準として不十分なのではないでしょうか。

対話システムは、こうした質問がきたらこう返事をする
というプログラムを組むこと自体は
かなり以前から技術的にできることでも、そのために必要な対話データを用意することが難しくなります。
こうしたことを考えると、人の脳というのは本当に不思議です。

人工脳の技術が進めば軍事転用の問題も出てきます。
新しいツールが出てきたとき、使用者のモラルなどの問題によって発生するトラブルはつきものです。
問題を考えるには脳科学・人工知能の研究者だけでなく、
倫理学・法律・社会学などさまざまな専門家が
人工脳の倫理について議論を進める必要があるという記述が印象に残りました。
何かひとつの問題を解決するためにはその分野の専門家だけではひとつの側面しか見えてこず
様々な分野のエキスパートが集まって議論することこそ
正解に近づけるのだと思います。

ツールは使う側の使い方によって、良い物にも悪い物にもなります。
折角の良いものを、良いものとして使用できるよう尽くすのが
ツールを生み出した人間の務めのように思います。


些事ではありますが、本で調べたものは覚えるが
ネットで検索しても覚えないというショート・ショートのエピソードには疑問を覚えました。
これも使う者の心得次第だと思います。
たとえ辞書で調べても、調べて「へぇー」で終わってしまえばそこまで。
ネットで検索してもそれをきちんと書き留めて反芻すれば覚えるでしょう。
苦労しなければ覚えないというのは違うのではないかと思っています。

1
2017年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ショートショート27篇。もちろん各々オチがあるのだが、最後まで読んで小気味よく忘却の棚に片付けるでにショートコースとは言え途中の景色、結末への推測憶測妄想が小説の構成要素である。
8つのテーマに分けられ、各々のテーマについて解説が入る。
【ゲーム】では、人間とは異質のアプローチで〈棋力〉を獲得するに至った将棋や囲碁のA I の手が人間プロ棋士の参考になる事例から、将来の創造的分野での協働を予測する。

人工知能は〈自己保存〉を〈本能〉として組み込まれれば、その究極の理想社会ではホモサピエンスを奴隷にして機械のボディをメインテナンスさせ、AI 同士でゲームなど嗜むだろうか。、文明を持った知性として地球で孤独な存在だった人類に伍して、将棋の形勢判断や詰み有無判定にPC活用されるように、AIが友達として文明維持発展に協力するだろうか

0
2019年07月01日

「SF・ファンタジー」ランキング