あらすじ
福祉、環境、国際協力、学校など様々な分野に広がるNPO。その活動は、企業や行政の限界を克服し、新たな市民社会の原動力になっている。その一方、机上の理想論、脆弱な組織づくりで失敗するケースも多い。これからのNPOに何が求められているのか。まず独自のミッション(使命)を構築することから出発する、と著者は説く。その具体例として、YMCAや淀川キリスト教病院、さらに、ヤマト運輸の小倉昌男氏が創業した「スワン・カフェ&ベーカリー」の活動を紹介。他に類を見ないオリジナルな発想が求められている。また、マネジメントの視点から、卓越した事業展開、スタッフの人事管理、財務の基盤づくりなど、必要な戦略を解説する。著者は、長年ビジネスの現場に従事していただけに、非営利とはいえ自立できない組織では意味がないことを強調する。豊富な事例と体験が、感動と活力ある世界を描き出す。「もう一つの生き方」を新鮮に提示する意欲作。
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Posted by ブクログ
NPOの社会的な役割や位置付け、現状について論じた本。
NPOは「非営利組織(Non Profit Organization)」の略だが、なぜ注目されるのか。一言で言えば「行政や企業の活動の補完」にあります。行政だけでは非効率的だし、企業だけでは採算の取れない政策は行えない。そこで、両者の活動で満たされない豊かさを追究し、提供するのがNPOの役割。
この本の長所は、単なる綺麗事に終始せず、NPOの現状を捉えている点です。ボランティアも「自己犠牲」、「奉仕」といったイメージから、「肩肘張らず、自分にできることをする」という気楽な参加、というイメージに変わりつつある。
NPOの活動にはボランティアを含めたスタッフによる崇高な使命感に支えられている。この本では、それをNPOはNBO(Mission-Based Organization)と表現するように、使命は重要である。
だが、その活動は、無条件で称賛されるべきものではない。善意の押しつけ、企業や他のNPOとの競争による世俗化などに陥らないよう注意する必要がある。
興味深かったのは、戦後日本の社会の考察。日本的経営は「自由からの逃走(フロム)」の受け皿である、滅私奉公の方向を国から会社に切り替えたものである、という指摘である。日本的経営というものは、冷戦体制下、高度経済成長期という時代性を強く反映したものだったのだ。だから「モーレツ」に働くことが尊ばれたが、それが今になって制度疲労を起こしている。
経営学の勉強にもなる、有益な本であった。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
福祉、環境、国際協力、学校など様々な分野に広がるNPO。
その活動は、企業や行政の限界を克服し、新たな市民社会の原動力となっている。
その一方、机上の理想論、脆弱な組織づくりで失敗するケースも多い。
これからのNPOに何が求められているのか。
独自のミッション(使命)をいかに構築するのか。
さらにマネジメントの視点から、卓越した事業展開、スタッフの人事管理、財務の基盤づくりなど、必要な条件とは―。
著者の豊富な体験から、感動と活力ある世界を描く。
「もう一つの生き方」を提唱する意欲作。
[ 目次 ]
NPOの感動と活力
第1部 現代社会とNPOの役割(私たちはいま、どこにいるのか―経済突出社会の現実;豊かさの再構築)
第2部 成功の原則・失敗の原則―NPOの運営(NPOの成功とその基本原則;NPOの失敗とその予防装置)
「もう一つの生き方」へ踏み出す
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