【感想・ネタバレ】企業価値評価 第6版 [上]【CD-ROM無し】―――バリュエーションの理論と実践のレビュー

あらすじ

【本電子書籍にはCD-ROMは付属しておりません。CD-ROMをお求めになりたい方は、紙版書籍上巻をご購入下さい。】発売25年超のロングセラー最新版ステップ・バイ・ステップで解説する価値評価の基礎。

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Posted by ブクログ

ー 本書では、企業の価値をいかに測定し、いかに管理するかについて述べる。企業がより速く成長し、より多くの資本をより高い収益率で運用するほど、価値創造も大きくなる。つまり、価値創造の大きさは、企業の成長率とROIC資本コストをどれだけ上回るかの組み合わせによって決まる。キャッシュフローを生み出さない活動は価値を生むことはなく、その中にはキャッシュフローが帰属する所有者の変化や、キャッシュフローが変わることなく会計的な利益の計上時期が変わる会計操作などが含まれる。

この価値創造の原則は、事業戦略の要である競争優位性と結びついている。企業は明確に定義された競争優位性がなければ、高い成長とROICを持続できないのである。また、持続的な価値創造には、社会、環境、技術や規制などの動向を幅広く考慮した長期的な努力が必要であるという見解を、この価値創造の原則に追加しておきたい。

競争環境の中でやがて競争優位性は失われ、 ROICも逓減する。したがって、長期的に企業価値を創造するためには、新たな競争優位性をつくり続ける必要がある。そのためには、経営者は、長期的に真の価値を生み出すことを犠牲にさせ、見せかけの価値をすぐに生み出す行動をとるよう求めるプレッシャーと戦わなければならない。 株主にとっての価値創造とは、たとえば四半期ごとにアナリストが予想する翌期の利益を達成することではない。また、環境汚染の除去や将来の環境規制を満たすための工場改修実施するといった、将来生じるかもしれない大きなコストを抑制するために、今の段階で意思決定したことの効果を無視することでもない。価値創造とは、短期的な業績と、何十年も先まで価値を生み出し続ける健全な企業をつくるための取り組みを両立させることであり、それは決して容易ではない。 ー

企業の価値について本質的な議論がなされていて勉強になる。

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2024年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

企業価値評価の名著

メモ
・競争優位性の源泉
  価格プレミアム
   革新的な製品 模倣困難性・特許
   クオリティ  他に勝る品質の違い
   ブランド 
   顧客囲い込み 
   合理的な価格形成 

  コスト資本効率性
   革新的な事業運営方法 模倣困難性
   独自リソース 独自アクセスなどの優位性
   規模経済 効率性
   拡張性 わずかな限界費用による追加獲得

・一般的に次の技術革新でとって変われるような一時的な技術優位性よりブランドやクオリティから生じる価格優位性と拡張性によるコスト優位性の方が長く維持される傾向

・成長タイプごとの企業価値
  新製品開発を通じた新市場創出
  製品を多く買うよう既存顧客誘導
  市場への新たな顧客をひきつけ
   →いかに市場を拡大するか・創出するか

・売り上げ成長の大部分は市場成長に依存
 成長戦略の成功失敗は、競合の対抗手段の容易性による
 ボルトオン買収は有効、技術革新も有効

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

株式市場に携わる者として、バリュエーションの考え方を整理し直すために読みました。
投資の手段として企業価値を算定する上で、ファンダメンタルズによる分析がいかに重要かがわかると思います。
内容は厚く、一度で理解するというよりは何度か読み返して理解する本だと思います。

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2019年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第7章 成長とは何か

成長が資本コストを上回るROICをもたらす場合のみ企業価値を創造することになる
売上成長は3つの主要要素に分けられる
1ポートフォリオ・モメンタム:市場自体の成長に伴う成長
2市場シェアの変化:シェアの変化によりもたらされる成長
3M&A
→大企業に取って最も重要な成長の源泉はポートフォリオモメンタム、最も低いのは市場シェアの変化によって

2によって成長する場合は、小規模な競合企業を市場から完全に追い出すことによってのみなしうる(なぜなら、停滞した市場の中で成熟した企業は対抗策を打ってくるので)
値上げは買い控えや代替品への乗り換えを誘発する
市場自体の拡大は、他の市場から売上を奪っている可能性はあるが、それに奪われている側は通常気づくことがない

高成長を続ける企業は、①年々同じ成長率を維持するために必要な規模の市場を見つけることが難しくなってくる、②製品ライフサイクルがあることから、更に成長することが難しくなってくる
特にイーベイは最初高成長を続けていたが、市場自体が小さかったために設立から13年で成長率がゼロに近づいた
逆に、ウォルマートは成長するスピードが店舗拡大スピードと比例するために、成長はゆっくりであったが、設立から30年間10%以上の成長を続けることができた
→常に新しい市場を見つけ、利益の上がりやすい高成長段階のタイミングでその市場に参入すること


第32章 高成長企業の価値評価

高成長企業は過去の業績分析から将来の見通しの手がかりをつかむことは難しい
→将来の市場規模、持続可能な利益率のレベル、規模拡大に必要な投資額を予測
そのためには、将来の業績が比較的安定するタイミングを見極め、そこから短期的な業績予想を考える。(つまり、〇〇年後に市場の▶%を取ると仮定して、そこから現在の成長に引き直す)市場規模・マーケットシェア・営業利益率・投資の予想
高成長企業は将来の不確実性が高いため、1つの長期予想飲みに依拠するべきではない。将来の市場規模、競争環境なども含めて、市場変化について複数のシナリオを詳細に考えておく必要がある。
最後に、各シナリオの発生確率を予想し重み付けを行う。この加重は、過去の長期成長率と整合性が取れていなければならない
にている企業・業界と成長を参考にしても良いかもしれない
最後は期待値を取る

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2017年01月01日

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