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Posted by ブクログ
オーリエラントの魔道師シリーズの第六作。
コンスル帝国が生まれるずっと前、
オーリエラントがオーリエラントとなった頃のお話。
生まれながらにして風や雨や月を動かす純粋な子供たちが、
騙され連れ去られ裏切られるのは、
なぜか他の物語よりもつらいものがあった。
それと、
「北の蛮族」がどうも受け入れられなかった。
片や家畜をもち、畑を耕し、言葉を操る人間たちに対して、
それらを知らない持たない蛮族が同時に存在している世界に
違和感があるというか。
ファンタジーなので何でもあり、と言えば、ありなのだが、
人間よりも体も大きく、力も強い「蛮族」の姿に、
ホモ・サピエンスと同時代を生きていたネンデルタール人を重ねているのかもしれない。
その頃は、ホモ・サピエンスも大してしゃべれていなかったというか、
大した違いはなかったはず。
著者のあとがきに、
他人のために何かをすることに喜びを感じるのが
ホモ・サピエンスの本質だ、ということとが書かれていたが、
少なくとも、他の個体とのつながりが重要であり、
それは、より小さく弱かった私たちが
集団としてしか生き残れなかった結果なのだと思う。
それは喜びであり、ときには悲しい宿命でもある。