あらすじ
仏陀の死せる夜、デイアナの死する時、ネプチューンの北に一片の鱗あり……。偶然手にした不思議な暗号文を解読した園村。殺人事件が必ず起こると、彼は友人・高橋に断言する。そして、その現場に立ち会おうと誘うのだが……。懐かしき大正の東京を舞台に、禍々しき精神の歪みを描き出した「白昼鬼語」など、日本における犯罪小説の原点となる、知る人ぞ知る秀作4編を収録。
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Posted by ブクログ
『白昼鬼語』がすごくお気に入り。
園村のキャラクター性にすごく引きつけられた。
読む前は長い話だと思ったが、特に最後は読む手が止まらずスルスル読めた。園村の狂気と知性の絡みあいがいい。展開はほしい物を余すところなく、それでいて無駄なく見せてもらえた感じ。園村が殺められるのが山場だと思うが、ここが案外あっさりしているのは逆にリアル。話者の「私」の戸惑いを考えるとこれくらいで書くのがやっとだろう。
短い中に園村の嘆きや苦しみや解放が詰まり、苦いのに甘やかな味わい。『少年』の山場の艶めかしく美しい蝋燭のぼうっとした光を思いだす。
ストーリーの枠を越えて彼の日々や苦悩や悦びが想像できる。
別の世界観にいたらデスゲームに出資する金持ちになってそう。しかもジグソウみたいな、主催者側なのにそこにいるんかいタイプ。
スピンオフが思いうかぶ=キャラ立ってるって感じあるよね。
キャラが立つとは、その人の生活が見えるとか、こだわりが見えるとかってことなのかもしれない。
犯罪を覗くのは夜なのに、タイトルが「白昼」(真昼の意味)なのは何故だと思いながら進めていた。前半は特に暗さが強調されてるし。だがラストでその理由が分かる。園村にとって夜は夢と幻想と魅惑の時間、昼は退屈で冗長な現実の時間なのかもしれない。
昼間の世界と向かいあおうとする園村の姿勢を感じるラストはすごくよかった。すごく好きな話。
谷崎潤一郎が好きだなと改めて思った……!
『柳湯の時間』もヌラヌラ派という呼称が面白かった。こちらもキャラ立ってるなーと思った!
Posted by ブクログ
乱歩に影響を与えたと言うのがなんとなくわかる
すべての作品に谷崎潤一郎の持つ「癖(へき)」みたいなの(語彙力がないからこう言う表現しか出来ないのが歯痒い)がちゃんとあって良かった
いつの作品を読んでも情景が思い描けて美しく、耽美でわくわくさせてくれる。
Posted by ブクログ
これが書かれたのが100年も前だなんて。
谷崎潤一郎は、ミステリもいけるのだ、さすが大谷崎…!
さて。谷崎潤一郎と言えば、耽美とか悪魔主義とか…あとは女性の美しさを余す所なく表現するとか…まぁちょっと変態っぽさもある。あと足フェチ。
そういうイメージを取っ払って読んで欲しい。偉そうに言うけど、ちゃんとミステリ。謎解き要素もある。
4つの短編が収録されているが、どれを読んでも読者は各話の主人公と同じように、謎解きの世界に巻き込まれていくが……ちゃんと谷崎潤一郎の作品だ。
と言うのは、先に述べた谷崎作品のイメージが、がっっっつり入っているのだ。
女の悪魔的な美しさ。そして痛めつけられた女の独特の艶かしさ…そう言ったものを充分に味わうことが出来る。
他にフェティシズム小説集、マゾヒズム小説集が刊行されているが…一番読みやすいのは、この犯罪小説集ではないだろうか。
フェティシズム小説集もマゾヒズム小説集も、どちらも読んだし好きなのだが…かなりマニアックだと感じた。
フェティシズム小説集にはデビュー作の刺青も入っているし、冨美子の足も入っているしお勧めなのだが…読みやすさからいくと、これが一番良いと思う。
ミステリとして読んでも非常に良かった。
Posted by ブクログ
短編アンソロジーである。谷崎潤一郎の耽美性が満ち満ちている。『柳湯の事件』、『白昼鬼語』が特に好きだ。読者はもてあそばれて、魅せられる。読む前は実在の犯罪をもとに書かれた作品だと感じてたが、そうではなかった。潤一郎ワールドが甘美に展開されていた。纓子にくるおしい思いを遂げてしまった園村はさすが潤ちゃんである。『痴人の愛』のナオミを思い起こした。「犯罪小説」の話から脱線してしまった。