【感想・ネタバレ】フィールドの生物学9 孤独なバッタが群れるとき サバクトビバッタの相変異と大発生のレビュー

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Posted by ブクログ 2019年09月12日

時間的にはバッタを倒しにアフリカへの前の話。
時間的流れが前後したが、この前段階があってアフリカなのねと大納得。昆虫の研究者の人が日々どのようにして実験をしたり課題を見つけたり、相談したりしているかがとてもわかりやすく書いてあり、面白かった。
ところどころ名言が散りばめられているので、笑いだけでなく...続きを読むとてもためになる本だと思う。

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Posted by ブクログ 2017年08月08日

『バッタを倒しにアフリカへ』がものすごく面白かったので、こちらも読んだが、個人的には本著のほうが好み。特に研究室でのバッタ研究の様子は珠玉、こんなに面白いことがあっていいのだろうか、と脳内から変な液がでてしまいました。あまりに面白かったので、この本を読んだ人は脳から液をだしながらサバクトビバッタを欲...続きを読むするようになり、ポキモンよりもサバクトビバッタを集めにアフリカ旅行が大流行り、また買い求めるというサバクトビバッタブームが到来、日本人に売れるとなると某国の商人もこぞって砂漠で群生相サバクトビバッタを乱獲、そうしてアフリカでの神の罰は消えてしまい一見落着。ただ、日本にもちこまれたサバクトビバッタはカゴから抜け出したり、飼いきれなくなった人が野に放ったりして、、恐怖は続くのだった、。というような妄想をしてしまったぐらい面白かったです、再読必至。所謂”いちびり”な話だけでなく、科学的根拠に基づいたシリアスなデータや考察もふんだんに盛り込まれグイグイと引き込まれる。フィールドワークも大切だが、研究室でもアドベンチャーだと感動します。リアルインディージョーンズな前野先生、すばらしいです。

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Posted by ブクログ 2015年07月14日

 モーリタニア国立研究所でバッタ研究に勤しむ前野ウルド浩太郎さんの、研究の記録。フィールドの生物学シリーズの一冊。

 前野さんのブログでも書かれていたが、少年の頃に、バッタ大発生の記事で、女性が緑色の服を着ていたばかりに、バッタの群れに服を食べられてしまったという話を知り、いつか自分もバッタに服を...続きを読む食べられたいと願い、そのまま大きくなってバッタ研究員になった。初志貫徹というか、すごい人である。

 サバクトビバッタは、主にアフリカで、しばしば大発生し、バッタの群れがやってくると、草という草が食べ尽くされる被害が起こる。
 サバクトビバッタは孤独であるときは緑色、群生しているときは黒い姿をし、知らない人は種が違うのではないかと思うくらいの差がある。

 孤独な環境で生育したものを孤独相、密集した環境で生育したものを群生相という。
 その孤独相、群生相が、どのような条件で移り変わるのかを、メスのバッタが産んだ個体を調査している。
 その調査したバッタの数が半端ない。ひとつの論文を書くのに、相当数のバッタを調査しているのである。
 また、すぐに使う当てがなくても、孤独相、群生相のバッタを多めに飼育して、研究のアイデアが出たときに即座に研究に取り組めるようにしている。凡人にはできないと感じた。

 研究内容もすごいが、バッタ博士の文体も面白く分かりやすかった。
 サバクトビバッタ研究に人生を捧げた前野さんの生き様が、絶対に真似できないが、すごい。
 ミドルネームのウルドは、モーリタニア国立研究所所長さんにいただいたものである。それを論文のオーサーネーム(著者名)にも入れて使うようになったのだから、その心意気が素晴らしいと感じる。

 クマムシ博士の堀川さんの著書やブログでバッタ博士の前野さんのことを知ったのだが、博士になる人はやっぱりすごい。

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Posted by ブクログ 2014年01月13日

こういったニッチな分野の専門家が一般の人向けに書く本は、結構な確率で面白いものが多い。おそらく自分の研究が本当に好きだから、人にもその気持ちを伝えたくて仕方がないで愛が溢れているのだと思う。

読後作者の熱い気持ちが少し感染してしまい、いろんな人にバッタの話をしましたが全く盛り上がらず研究者のさみし...続きを読むい気持ちもなんとなく分かりました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年09月28日

サバクトビバッタの孤独相 / 群生相の話。サイエンスとしても、著者の研究者としての成長物語としても非常におもしろい。研究を志す学生さんにぜひ読んでもらいたいです。

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Posted by ブクログ 2013年08月08日

なぜ「読みたい」なのに5つ星なのかといえば、読めば抱腹絶倒面白くて止まらないに決まっていることが著者のブログから分かっているからなのです。もう序文の「だ・である」と「です・ます」が入り混じった文体からやられまくってます。こういう文章を書ける博士になりたい。

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Posted by ブクログ 2013年04月29日

サバクトビバッタの興味深い生態についてだけでなく、科学における仮説検証アプローチのプロセスや、著者の研究者としての成長過程を楽しめる。

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Posted by ブクログ 2013年03月02日

孤独相と群体相でこんなに差がでる、ということも驚きだけど、それを立証するために行われるさまざまな実験。科学とは、研究とはいかに面白いのか、という一般的な面白さもさることながら、その研究テーマと実践方法、そして著者の人間味も含めた面白さにあふれた本。

そういえば、思い出すことはあまりないけれど、僕も...続きを読む虫の生態が好きだった。もっと若いころに出会っていたら、進路を左右したであろうとも思える本。

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Posted by ブクログ 2013年02月20日

バッタの中でもサバクトビバッタに限定した本です。

サバクトビバッタが大発生して農作物にダメージを与えるので、その防除を最終目的として、生態の研究や実験の記録になっています。

難しい単語も良く出てくるのですが、著者のユニークな性格があらわれている面白い話も随所に挟まれていて最後まで素人の私でも楽し...続きを読むく読むことが出来ました。

この方のブログは力の抜ける面白さなので一読あれ。

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Posted by ブクログ 2013年02月05日

サバクトビバッタの研究を始めたばかりの修士学生の頃から始まって、博士課程、そしてフィールドワーカーとして旅立っていくまでのエッセイ・・・とも読めるし、どんなリサーチクエスチョンのもと、どんな実験計画を立てて、どう調べたのか、という「研究計画」の勉強にも良い。

冒頭は読みづらかったのだが、これは著者...続きを読むの書き癖のせいか、私が虫嫌いだからなのか・・・。後半はわくわくしながら読んだ。

著者とともに、研究への情熱とわくわく感を共有した。

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Posted by ブクログ 2012年12月12日

バッタに「食べられたい」と熱望した少年がサバクトビバッタの研究者になり、アフリカのバッタ研究の先導者になろうと決意するまでが描かれた少年の成長譚。笑える学術書。真に面白いと思える対象を得ることのできた、得るための才能に恵まれた著者の胸熱くなる物語。いや~、面白かった。ぜひ、モーリタニアでの続編を期待...続きを読む。今後ともブログを楽しみにしていきたい。

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Posted by ブクログ 2012年11月24日

虫系の本と読むと、それまでに自分が抱いていたイメージが音を立てて崩れていくことも多いのだが、本書はその中でも群を抜いている。

サバクトビバッタ。その名の通り、サハラ砂漠などの砂漠や半砂漠地帯に生息しているバッタで、西アフリカから中東、東南アジアにかけて広く分布している。見た目は馴染みのあるトノサマ...続きを読むバッタに似ているのだが、しばしば大発生して次々と農作物に破壊的な被害を及ぼす恐ろしい害虫なのだ。

そもそもバッタとは、ラテン語の「焼野原」を意味する言葉に語源を持つそうだ。バッタの卵は「時限爆弾」、農薬は「ケミカルウェポン」と呼ばれるくらい物々しい世界なのである。

人類とは長い付き合いがあり、聖書にも記述が残されているこの「黒い悪魔」。その最大の謎は、大発生の時に遅いかかってくる黒いバッタが、普段どこにいるのかということである。平和な時には忽然と姿を消しており、いっこうに見つからないのだ。

だがある日、ロシアの昆虫学者が衝撃の発見をする。複数のトノサマバッタの幼虫を一つの容器に押し込めて飼育すると、あの黒い悪魔に豹変するというのだ。そして、その変身は「混み合い」すなわちバッタ同士が互い一緒にいることが引き金になっていることまで明らかになる。

姿形のみならず動きまでも違う2種のバッタを、一体誰が同種だと想像できただろうか。これが相変異と呼ばれる現象であり、低密度で育った個体は孤独相、高密度化で育った個体は群生相と名付けられているそうだ。

ここまでで充分に面白いのだが、本書はここからが出発点である。著者は、このメカニズムを解明しようとする若き研究者、前野ウルド浩太郎氏。

「混みあい」とは大きく3つの刺激情報に分けられる。1つ目は視覚的な情報、2つ目は匂いの情報、3つ目は接触による情報、つまりぶつかり合いだ。この3つのうち、バッタはどれを混み合いの情報として認識しているのか?

これを数々の実験を通して明らかにしていくのだが、実験手法や向き合う姿勢に、研究者の人となりがオーバーラップして、ぐいぐい引きこまれていく。若さゆえの勢い、不安やとまどい、「誰にでもできることを、誰にもできないくらいやろう。」という強い熱意。とにかく読み出したら止まらない一冊。

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Posted by ブクログ 2018年12月24日

生物図鑑を読んでいると、生態が明らかでない種の数に驚かされる。
メジャーな生物ですら専門書が出版されていないことも多く、
カニとワタリガニの生態の違い、タコとイカの進化系統、カバの亜種など、
さほど専門的でないことですら詳しく調べようとすると苦労する。

では、そもそも生物を理解するためには何が必要...続きを読むとされるのか。
遺伝子やゲノム、分子生物学的な装置や手法に頼らずとも、出来ることは山とある。

例えばバッタ。
脱皮回数を記録し、体長を計測し、触覚の節を数え、数ミリの卵のサイズをノギスで測る。
もちろん闇雲に繰り返すのではなく、飼育密度、エサ、部屋の明るさを変え。
さらには卵黄を減らしたり、蛍光塗料を塗る場所を変えたり、触覚を色んなものでこすり続けたり。

そういう数十万もの試行があってこそ、従来考えられていた『泡栓に含まれる物質の蓄積で群生相、孤独相は変化する』、
『混み合いは後ろ足の接触頻度で判別される』といった定説は覆され、
『親の成虫期の密度、孵化したときの大きさ、幼虫時の飼育密度の組み合わせにより成虫形態が決まる』、
『混み合いは異性の触覚が触れあうことにより判定される』、『住環境の明るさが卵の大きさに影響する』といった新事実が明らかになる。

たった一つの種を理解するのに、一体どれだけの人間と資金と時間が必要とされるというのか。
しかも、それが理解されたとして人類に直接的なメリットがあるとは限らない。

だが、そんな研究に人生をついやせる人間がいて、さらにその生活を支えることができる社会のなんと素晴らしいことか。
本書では研究の苦労が余す所なく素直に述べられているというのに、
学問の原点である「知らないことを明らかにすること」の楽しさを改めて思い出させてくれる。
たくさんの人が役に立たない研究を成し遂げ、また、それを多くの人が楽しめる社会であることを願わずにはいられない。

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Posted by ブクログ 2017年12月10日

 『バッタを倒しにアフリカへ』という新書がけっこう売れているらしいです。それは,昆虫学者の研究物語なのに,まるで,冒険物語のように読めるからでしょう。
 新書版では,文字通りアフリカへ行ったときのことが書かれているわけですが,本書の方は,前野ウルド浩太郎氏が,昆虫学者として独り立ちしようともがいてい...続きを読むる期間のことが書かれています。もちろん,新書版とは違う専門的な研究の部分も詳しく書かれています。
 かといって,そんなに難しい内容ではありませんし,新書版で魅せた著者の軽快な文章の片鱗も感じられて,こういうタイプの本にしては,読みやすくなっていると思います。

 帯には「必読! 今話題の『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)の著者の処女作」とありました。

 同じバッタが,何をキッカケとして孤独相と群生相に分かれるのか,それを突き止める旅は,まだまだ続きそうです。

 それにしても,研究の楽しさが伝わってくる本でした。

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Posted by ブクログ 2017年09月13日

バッタを倒しにアフリカへ、から遡って読みました。本当にこの人の文章が大好きです。一番のツボはポスドクになり少し余裕をかましてクラブにハマり、夜のアゲハを追い求め研究が疎かになりそうになったくだり。しかもこの後オールでクラブで踊り狂った経験を活かし、砂漠でのフィールドワークで朝までバッタを追いかける体...続きを読む力を培ったあたりも転んでもタダでは起きない研究者魂を感じられ好感度大。好きな事に向かって全力投球の熱を注げるパッションがある人生は見てる(読んでる)だけで元気が出るのだ。

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Posted by ブクログ 2015年08月24日

サバクトビバッタの研究者の、学生時代から現在に至るまでの記録。生物学の知識がまったくなくても楽しめる。研究者がどのように研究するのか、どのように物を考えるのかがなんとなくわかった。この著者はなぜこんなにバッタに熱中できるんだろう?ひとつのものに集中し、長く継続して取り込めるのは、純粋にすごいと思う。...続きを読むこの本は、そんなちょっと変態的なバッタ愛が面白い。

修士の頃の試行錯誤やアフリカに行くあたりのエピソードが面白かった。後半になると、更に熱くなる。

バッタが混み合いによって孤独相・群生相へと相変化し、見た目もまったく別の物になることはこの本で知った。昔テレビでバッタ大量発生の映像を見たが、そのバッタは茶色だった。外国のバッタは日本のものと色が違うんだなと思っていたことを思い出した。あれは群生相のバッタだったのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2014年11月04日

サバクトビバッタの研究について。そして著者の学者としての成長物語にもなっている。
言動にちょっと驚きながらも感動した。
何をやるにしても、「本人の熱意」と「自然から学ぶこと」「人とのつながり」の大切さを再確認。
著者は大発生するバッタを絶滅させるのが目的ではないという。
確かに。地球上のどんなものに...続きを読むも役割はあるはず。
ところで大発生したバッタを捕獲して食用には出来ないのだろうか?

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