あらすじ
どこか飼い主に似たアメショーのトト。このやわらかくてあたたかい、ちいさな生きものの行動のいちいちに目をみはり、トイレの掃除をし、病院に連れていき、駆けずりまわって遊び相手をし、薬を飲ませ、いっしょに眠り、もしこの子がいなくなったらどうしようと家の人と話しては涙ぐむ日々――愛猫へのやさしいまなざしが、誰かを愛しく思うすべての人の心を揺さぶる、感涙のフォトエッセイ。
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Posted by ブクログ
泣いた。でも別に悲しい話は一切無い。精神的に疲れてる時に、意外な人から親切にされて泣きそうになる気持ちを大きくした感じ、胸にくる。人から猫への静かな愛情が丁寧に書かれていて素晴らしかった。対象が猫じゃなかったとしても共感できるかもしれない。
トトちゃん(猫)が小さい時に家にきて、病院に行って、おもちゃで遊んで、トイレ騒動があって、人に預かってもらって、とか猫との暮らしのエッセイ。猫はもちろん可愛い。
でもこの本で好きなのは、著者が知り合いに、おかあさんに甘えてるのね、と言われた時「飼い主です」と訂正したくなるとか、家族だとは思うけど・・、と口ごもってしまうとか、心の中では一緒にいてくれて嬉しい、幸せ、もう何もいらない、みたいになるのに猫は猫であるとも思ってるところが読んでいてすごくいい。
ここで、猫の‘’奴隷‘’と書いちゃうエッセイだったらきっと買ってない。
著者自身の子供の頃のエピソードも驚きがあってよかった。トイレを我慢して我慢して、具合が悪くなってオヤツのココアを吐いてしまう。そして母親に「我慢してたら上から出ちゃうのよ」と叱られる話。一瞬マジか、、と私も信じるとこだった。
最後にどうしてもらえることになったのか、が分かってよかった。仔猫をホイホイあげちゃうなんてー、と最初の方で薄っすら幻滅しかけたけど、読んでるうちに忘れていた。のがキレイに回収されてすっきりした。
初めて読んだ時、もう涙が止まらなかった。なのでちょっといったん落ち着こう、たぶん、自分のそばにいる犬猫と重ね合わせ過ぎているんだろう、と思って一気に読まず毎日少しずつ読むことにした。
それで著者の話に集中して読んでも、やっぱりエピソードの中で毎回のようにぐっときてしまうので、これは良い本なんだと思う。
Posted by ブクログ
初めての作家さん。
私も猫を飼っているから、所々共感できるところがあった。
「幸せな夢を見られますように」「元気で長生きしますように」と毎日声をかけ、それこそ私の寿命なんていくらでもあげたいと願うほど、私の中で猫の存在が大きくなっている。著者にとっては「猫は子供ではない」らしいけど私にとっては大事な愛娘。
仕事のストレスで病んでいた時もこの子がいたことでどれほど救われたことか。そしてそれは現在も進行形。
猫という生きものは本当に可愛くて尊くて偉大で不思議で素晴らしい天からの贈り物だと常々思う✨
ただ猫ちゃんの可愛さはさておき、読みながら文体や言葉選びがあまり好きではないなと感じ、読みづらさがあった。
何より時々トトちゃんに対してネガティブな言葉が出るのが嫌だった。
「みじめったらしく小さく鳴いて」とか「じっとりと陰湿な」とか……
「みくびる」云々の話もちょっとなぁ……他の猫との違いを認識することはあっても、「うちの子はそういうことできない」とか「どうせ…」なんて微塵も思わないが⁇
ちゃんと愛情を持っているんだろうし、勿論悪意がある訳じゃなく可愛さのあまりにというのはそりゃわかるけど、それにしてももっと他に言い方なかったのかな…(ー ー;)?
Posted by ブクログ
角田光代さんご夫婦が、愛猫のトトちゃんを迎えて、その後の生活がどのように変わったかが描かれたエッセイ。
ニャンコあるあるが多く、ニャンコを飼ってる人は共感する部分が多いのではないかと思う。
私はニャンコと暮らした経験はないけれど、愛犬を迎えて人生がガラッと変わった経験はあるので、ものすごく共感できたし、角田光代さんという人格そのものも、益々好感を持てたし、とても親近感を憶えた。
そして、トトちゃんに対しても、ものすごく尊くて愛しい気持ちになった。
ニャンコもいいなぁと純粋に思う。
こんな小さな生き物が、本当に自分の見てきた世界を変えるし、病んだ心を救ってくれるし、それこそいびきをかいて寝ている姿を見て「これ以上何も要らない」と満たされた気持ちになる。
本当に何者なのだろう。天使のような存在。
最後のボーナストラックの猫目線での描写がとても良かった。
思わず泣きそうになった。やっぱり天使だ。