あらすじ
未練を残して死んだ者は鬼となり、村の井戸の水を赤く濁す、そう言い伝えられている北海道・白石村小安辺。このままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。未練の原因を解消し、鬼を常世に送れるのは、“ミツハ”と呼ばれる八尾一族の「烏目役」と「水守」の二人のみ――。大正12年、烏のように黒々とした瞳を持つ、帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の従兄が死んだと。墓参りのため小安辺に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う。過酷な運命を背負わされた二人の姿を鮮烈に描いた連作ミステリ。/解説=太田忠司
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Posted by ブクログ
3部作の最後かな〜と思いつつ読み込みました。どこで関連性あるのか想像するしかないですね。自分は見つけられなかったな、5部のラストが烏目の交代=八目が死んでいたという衝撃的な展開。ラストを予測出来た人は大したもんだと思う。富雄がいるけどまさか3年後に亡くなったとは。子供を助けた正義感持っていた八目は適任だったんだね、全て肯定しての物語だけれど、日本はどうにも出来ない事がたくさんあって信仰心だけが一縷の望み、とはいえ不思議な能力を持って悲しい運命だった。顔を火傷する方法は失敗では?教科書を貪る姿が印象的
Posted by ブクログ
ミツハの血とはなんだろう?
駆り立てられる興味に惹かれてページを開いた。
時代は大正、北海道の小安辺村が舞台。この世に未練を残し鬼となった者は小安辺村の水源を汚したり枯らしたり、死活問題となる。
そのため鬼の未練を解決することで水源を守る必要があった。
八尾一族は水の神を祀る神職の一族で、大きな権力を持っていた。未練を明らかにし、解決する役割を担っている。男で烏目といって夜は目が見えないものが、女で水守というむくろ目(昼は目が見えず暗闇のみ見える)に指示して推理を展開する。
ジャンルとしてはファンタジーミステリーかもしれない。
主人公の八尾清次郎は大学で医学を学ぶ、自分の目を治したいとの思いを持っている。
烏目役の八尾庄一が亡くなったことで、清次郎が後を継いでいく。
5つのテーマで構成されているが、ひとつひとつに儚さや無念さがあり、悔いのない人生はないということが根底にある。ただ、本当にそうだろうか?鈍感になることが、もしかすると悔いを残さなく、良い人生だったと思えるのかもしれない。それがわかるには私はまだ若いのかもしれない。
常世現世で鬼になるもの、そしてその悔いを拭うこと、それが因習への終止符となるのなら。
それをどう感じるかは読み終えた人によると思う。