あらすじ
これからのビジネスを考える上での最重要コンセプトであるプラットフォームについて多角的に解説。
デジタルエコノミーの勝者と敗者を分けるプラットフォームの戦い方について、最新事例をもとにして、理論とカラクリがわかる!
プラットフォームは次のような特徴を持っている。
・急速に成長することができる
・一人勝ちすることがある
・一人勝ちが突然くつがえされることがある
なぜ、こういう特徴が生じるのか? その要因は主として次のようなものである。
・レイヤー構造
・ネットワーク効果
・エコシステム
・アマチュアエコノミー
プラットフォームに関連する技術の進歩や新興勢力の出現は、古典的産業では考えられないほど速い。
だからプラットフォームでの戦いに挑むには、常に「次」を考えておくことが欠かせない。
本書では、その「次」を考えるためのヒントも提供したい。
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Posted by ブクログ
プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用
著:根来 龍之
プラットフォームというのは、お客さんに価値を提供する製品群の土台になるもの。 つまり、「他のプレイヤー(企業、消費者など)が提供する製品・サービス・情報と一体になって、初めて価値を持つ製品・サービス」を意味する。
従来型の産業は「バリューチェーン構造」として捉えられていたが、プラットフォームビジネスは「レイヤー構造」として捉えると理解しやすい。それぞれの改装にいろいろなプレイヤーが参加して、エコシステムを形成する、そして、ネットワーク効果がエコシステムの成長に大きな役割を果たす。エコシステムに参加するのは、企業だけではなく、個人の場合も多い。GAFAのビジネスは、一般大衆を参加者として巻き込み、強大化した。シロウトが主役になるアマチュアエコノミーとしての側面がある。
本書の構成は以下の3章から成る。
①プラットフォームの基本
②プラットフォームの広がり
③プラットフォームの戦略
わかっているようでわかっていない「プラットフォームビジネス」。本書のわかりやすさは群を抜いている。新しい概念、広い概念を私たちがよく知ってる企業を例に挙げ、黎明期から現状と今後にまでスポットをあてながら体系的に紹介されている。
メリットだけではなく、デメリットやリスクについても触れてあり、書名通りプラットフォームの教科書としての導入本として持ってこいである。
巻き込むことがひとつの大きなキーワードとなるプラットフォームビジネス。まだまだこれからの概念。走りながら正していくというビジネスモデルを取り入れるにはそれなりの度胸が必要。リスクを許容しながら前向きに捉える長期的視点の姿勢でかつスピーディーに対応することが肝となりそうである。
Posted by ブクログ
プラットフォームビジネスを学びたいときに始める1冊として最適。要所要所で図やポイントがまとめてあり、まさに教科書として使える。身近な話題から例を用いて説明してあり、大変わかりやすい。
キーワード:バリューチェーン、レイヤー構造、一人勝ち(winner takes all)メカニズム
Posted by ブクログ
非常にわかりやすい本です。にもかかわらず、自分の語彙力(ターム)と理解力のなさを痛感します。
プラットフォームはランチャーなど複数の言葉に置き換えられるものと思います。
ビジネスモデルの構造としてのプラットフォームの説明が体系的に書かれています。
もとは学術論文で、それを一般向けにわかりやすく再構築リライトしたものとのことです。
ここのところ、ネットや新聞ではGAFAを始めとするプラットフォーマーという言い方の方が多く見受けられるように思いますが、その元となるものがプラットフォームです。
ここで言われるプラットフォームとは目新しいモデルではなく、ベースとなる大きなシステムがあり、それにアタッチメントとしてのサブシステムが乗っかるということです。
最近それが顕著に観られるのがITの分野であり、例えばOS上を走らせるアプリケーションソフトがそのモデルにあたります。
現実にはさらに多様性があり、複雑になっていきます。
印象に残ったタームとしては「スイッチングコスト」「マルチホーミング」などがありました。
Posted by ブクログ
ユニコーン企業トップ10(2017年10月時点)のうち、プラットフォームをビジネスモデルとする企業は8つを数える。ユニコーンとは企業価値が10億ドルを超える非上場のベンチャーを指す。UberやAirbnbが代表格。圏外であるが日本企業では、メルカリが有名だ。プラットフォームビジネスがなぜこれほど急成長し注目を浴びるのか、紐解くため手にとる。
プラットフォームの特徴としてレイヤー構造、ネットワーク効果、エコシステム、アマチュアエコノミーの4つが挙げられている。急成長という意味では、レイヤー構造、ネットワーク効果、アマチュアエコノミーのどれも重要だが、最も頭を悩ますのがエコシステムだろう。例として挙げられているのが、任天堂のファミコン。自前でゲームソフトをつくることもできたが、自社以外にも機会を提供し、その代わりゲーム機とソフトとの接着技術を特許化しロイヤリティ収入を得るビジネスモデルを構築したといった具合だ。
但し、勘違いしやすいのは、ロイヤリティ収入を得るエコシステムを構築する余り顧客ニーズを軽視してしまうことだ。これは載ってはいないが、同じゲーム業界で3DO(スリーディーオー)の事例が当てはまるだろう。任天堂より安いロイヤリティでサードパーティを集めることを目論んだが、小売価格が54,800円と高額だったため失敗に終わった。
プラットフォームの急成長が特に欧米で目立つのは、旧来型のビジネスに新しいエコシステムで、いかにゲームチェンジ(変革)を仕掛けていくかという視点を持ち合わせているからだと、エコシステムのwikiを併せて読んで納得がいった。そういう意味では規制が厳しい日本では既存産業を守る方向に力学が働き、生まれにくい環境になっているのかもしれない。メルカリで盗品や現金が出品されていた問題が起こったとき、メルカリが日本のみを市場としていたら、マスコミによって潰されていただろう。
最後に、プラットフォームの一人勝ちの条件や、反対に阻害要因を整理していたりと、企業同士が競争していく視点で書かれているのはビジネスをしている立場にとって嬉しい。プラットフォームのビジネスモデルを理解する上で読んでおきたいー冊だろう。
Posted by ブクログ
プラットフォームについてわかりやすく解説されていた
・プラットフォームは一人勝ちしやすい
・一人勝ちの逆転も起こる。起こるのは、PCからスマホに変わる等変化が起きたとき。
・プラットフォームビジネスでは信頼と信用が重要。エアビーでは、口コミ、クレカ登録、本人確認等で補った。
・一人勝ちを逆転するには、価格競争を仕掛けることに加え、新たな収益源を得ること。食べログは、掲載費用をなくし、リアルな口コミを強化。その後、課金するサービスを構築。
・ラインが成功したのは機能が充実していたからではなく、スマホの流れが来た時にenough な機能を持ち合わせていたため(facebookはPC向けで機能充実)。facebook等を利用していない10代にとっては、facebookが競合とならなかった。
Posted by ブクログ
借りたもの。
インターネット革命後、認知されるようになった概念・プラットフォームの成立の歴史とその解説。
プラットフォームの特徴は、
・急速に成長することができる
・一人勝ちすることがある(WTA / Winner Takes All)
・一人勝ちが突然くつがえされることがある
という。
プラットフォームは土台があって、そこに他のプレイヤー(企業だけでなく消費者も)が提供する製品・サービス・情報が一体になって初めて価値を持つ製品・サービスがあることではじめて成立する。
デザイン思考――ビジネスのイノベーションを起こす考え方――に「みんなが喜ぶものに価値がある」という視点、指摘があるがプラットフォームはそこを突いている。
ビジネスがレイヤー構造化し、自社サービスで全て囲い込むというものは最早成立しない。ユーザー押さえられない。
コミュニティの場所(プラットフォーム)を提案すること、と言えるのかもしれない。
その上でのサービス提供……他社に何を依存するかというオープン化問題。それは技術ではなく、レイヤー戦略の問題となっている。
ただ、プラットフォームだからと言って、必ずしも一人勝ちするとは限らない。スマホの普及がウーバーイーツなどの新しいプラットフォームの躍進に繋がっただけでなく、ソーシャルゲームの普及によって、家庭ゲーム機がその独壇場を奪われたように……
技術が優れているものが勝つとは限らない。WTAに対して、5つの対抗策がある。
(1)収益モデルの破壊と拡張
(2)プラットフォーム包囲
(3)プラットフォーム間橋渡し
(4)プラットフォーム互換
(5)プラットフォーム連携
新しいビジネスモデルには価値や法的にもグレーゾーン問題をはらむ。ベンチャー企業でもホワイト化に取り組む事が重要。
Posted by ブクログ
プラットフォーム関連について、初学者にも分かりやすく、それなりに知識があるような人も新たな知見を得られそうな本である。
事例が色々載っていることがポイントであり、プラットフォームという概念を認識しやすくなっている。
Posted by ブクログ
プラットフォームプレイヤーの類型化と、それぞれのモデルの概要を理解するのに、ビジネスモデルの転換として理解したい、概要把握を狙いとした初歩理解者には分かりやすいガイドブック。
ガワー/クスマノの「プラットフォームリーダーに必要とされるものはなにか」から設計上の四つのレバーが紹介されているなど、設計要素をざっくり把握することができた。
エコシステムの章では、VIEW(世界観)を示して補完プレイヤーをやる気にさせる、ことが強調されている。エコシステム=プラットフォーム➕補完製品群であることから、エコシステムの成長はぐるぐる回りであり、展望、世界観として、
・社会的意義
・市場の将来的な動向
・自社エコシステム構築に関する方針(四つのレバーと関係)
などを提示する必要があるという。
顧客、利用者の近接者、取引企業、株主、メディア、政府/自治体に加え、補完プレイヤーを意識した発信、そのコミュニケーションにも方法論がありそうだ。
Posted by ブクログ
プラットフォームの説明の本なんだけど、かなり上手くまとめられていて読んでて面白い。
プラットフォームという土台のもとにいろんなものを呼び寄せて乗せて利益を出す。
この中で起きる現象を一つ一つわかりやすく説明されている。
プラットフォームのタイプ:媒介型SNSクレカ、基盤型ゲーム機サーバー、複合
先発性、ネットワーク効果仲間と使う、収穫逓増たくさん作れば安い、バンドワゴン効果流行りが流行る、により一人勝ちしやすい
シャリングエコノミーには信頼(品質の確保)と信用(悪意の排除)が大事
オープン化に伴ってどこをクローズにするかが大事
撹乱要因:マルチホーミングいろんな物を使う、スイッチコスト、市場の成長新しい人、デバイスの転換、政府の規制
Posted by ブクログ
1. 目的
プラットフォームの意味を理解し、自身の活動に応用する。
2. 得たこと
けっこう意味が広い。妖怪うぉっちのプラットフォームはメダルだったのか。
3. アイデア
楽描き会の企画をプラットフォーム化して、アイデアを広げていく。
Posted by ブクログ
プラットフォームを活用したビジネスの解説。プラットフォームも時代とともに変わり、かつてはPC98、Windowsの時代があり、iPod、iPhone、Googleときて、いまでは、AirBnBなどのシェアリングが中心になってきている。本書では、プラットフォームをビジネスに活かす基本形の後にこれらの事例をあてはめながら説明してくれるので、とてもわかりやすい。なんでもかんでもプラットフォームといわれる昨今だけど、基本形を確認するのは大切ですね。
Posted by ブクログ
ビジネスモデルを考える上で参考になった。
・ソフトバンクのアーム買収
プラットフォームのビジネスに関わる人に必要な問いかけ
・このビジネスのプラットフォームは何か
・そのプラットフォームはどういう技術や製品を前提としているか
・その技術や製品の代替品はいつどこから現れるか?
Posted by ブクログ
レイヤー構造や、WTA、サイド内・サイド間ネットワーク効果、マルチホーミングなどなど、プラットフォームに関する戦略が凝縮された1冊。まさに教科書。
Posted by ブクログ
IT・webサービスの競争戦略の研究を長年続ける著者によるプラットフォームビジネスに関する基本的な概略書。
ここでのプラットフォームの定義は意識的に広範に取られており、ゲーム・webサービス・ブラウザ・OSなど、広範な事例を踏まえて、帰納的にその定義や、成功のポイント、1人勝ち(Winner Takes All)が発生するメカニズムと一度発生したWTAを覆すための競争戦略の類型が整理されている。
特に、WTAを覆すための競争戦略類型(収益モデルの破壊と拡張、上位・下位レイヤーからのプラットフォームの包囲、プラットフォーム間橋渡し、プラットフォーム互換など)は実務上の示唆が大きく、役立ちそう。
Posted by ブクログ
プラットホームとは何か(駅の話じゃないです)、どのように発生し、拡大するのか、シンプルに分かりやすく書かれています。
まだこの世に存在しないプラットホームを作ること。
現存のプラットホームからの置き換えを狙うこと。
そのための理論や手法が紹介されています。
「そうか!プラットホームを目指せばビジネスで成功できるのか」
と思いながら読み進めているうちに、
「あれ?私にとって成功するとは、WTA(winner takes all)=独り勝ちすることだったっけ?」
という疑問がムクムクと湧いてきて…
世の中のプラットホームを作りたい!
WTAを目指したい!
という大きな野望をお持ちの方には、具体的な事例もたくさんあり、とても参考になるいい本だと思います。
Posted by ブクログ
お仕事的にも個人的な関心においても外せなさそうなタイトルだったので2度通読した。
「教科書」というだけあってきちんと基本を抑えた感じ。網羅的に学ぶにはとても良いと思うが、正直目新しさはあまりない。
90年代のWindiws95の普及以来、この手のトピックは「ネットワーク効果」「ロックイン効果」「収穫逓増」で語れる。いずれも本書で著者指摘の通り、基本的な経済原則だ。(しかし、「収穫逓増」って久々に目にしたw 懐かしくかつわかりやすいなw)
今はエンタープライズIT屋の私が一介の経済学部生としてデジタルエコノミーを学んでいた頃からの一番の大きな変化といえば、デバイスとしてスマートフォンが登場したこと。AppleのAppStoreの成功以来、これらの経済原則に「エコシステム」という単語が加わってきたように思う。
エコシステムとはすなわち「全てを自社でやらない」という経営判断だし、それはすなわち「レイヤー構造」を構成することになり、「レイヤー構造」は、その構成要素の「モジュール化」「ソフトウェア化」「ネットワーク化」を促進する。これらは「デジタル化」によってもたらされるようになった変化点だ。
そしてこの「レイヤー構造」において、何が「プラットフォーム」になりうるかは、どの視点に着眼するかによって異なる、というところが本書において一番大事なところ、というのが個人的な感想。
比較的古くて新しいテーマだが、デジタルエコノミーの世になって以来、WTA(独り勝ち、本書ではWinner Takes All=WTAとしている)は起こりやすくなり、しかしライトイヤーのスピード感での栄枯盛衰の移り変わりもまた日常茶飯事。この相反する要素もまた経済学的に観測した際に面白いところだ。
せっかく独り勝ちしても、そこで気を抜くとゲームチェンジを仕掛けられて、あっという間に転落してしまう。
「なにがプラットフォームとなるかは視座の置き方次第」という点はきちんと理解しておかないと、プラットフォームを仕掛けても、他者にひっくり返されてしまうのだと思う。
そしてもう一つの変化点は「アマチュアエコノミー」の拡大。エアビーやウーバーのようなシェアリングエコノミーなんてあの頃はまだ姿も形も無かった(はずw)
「アマチュア」すなわち不特定多数の参入を前提とするため、その仕組みの信用と信頼を如何に担保するか、というまた異なるテーマが追加される点が興味深かった。何年か前に「ツイッターノミクス」という本が話題になったが、あの世界は現実化しつつあるのだと思う。が、エンタープライズITにおけるプラットフォームにおいてはあまり関連しない要素かもしれない。
残念ながら、プラットフォームのマネタイズについては通り一遍の事例考察にとどまり、有用な示唆は得られなかった感がある。
企業側としては、どこで稼ぐのか?という点が最大の関心事であろうし、この点はやや残念なところ。
ただ確立しつつあるプラットフォームをどう覆すか、などの思考実験も展開されており、その点はとても興味深かった。
どこが?
どこが戦略?どこに応用、次へのヒントがありました?単なる後追い事例ではございませんか?トップの知識層がこれでは、日本から世界的新サービスが作られないのは当たり前ですね。タイトル変更を求めます。