【感想・ネタバレ】ロシアについて 北方の原形のレビュー

あらすじ

「ともかくも、日本とこの隣国は、交渉がはじまってわずか二百年ばかりのあいだに、作用と反作用がかさなりあい、累積しすぎた。国家にも心理学が適用できるとすれば(げんにできるが)、このふたつの国の関係ほど心理学的なものはない。つまりは、堅牢な理性とおだやかな国家儀礼・慣習だけでたがいをみることができる(たとえば、デンマークとスウェーデンの関係のようになる)には、よほどの歳月が必要かと思われる。」(あとがきより)

おもに日露関係史の中から鮮やかなロシア像を抽出し、将来への道を模索した、読売文学賞随筆・紀行受賞の示唆に富む好著。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ふらっと立ち寄った本屋で見つけた。日本とロシアの関係性の原形を探ったエッセイである。

シベリア開発における食糧の安定供給を目的として日本と接触したのが、両国の因縁の始まりであるという。

鎖国政策時の日本は、毛皮に殆ど興味がなかったこともあり、ロシアに対して極めて冷淡に対応した。

この時醸成された緊張感が、日露戦争の遠因になった可能性も否定できない。

領土拡張におけるロシアの型は、ロシアに救援を求める勢力に加担して勝ち取った地域をロシア化する、というものである。

ウクライナ戦争開戦の経緯から、今でもその原形は残っている。北方領土も火種を抱えている。

ヤルタ協定において千島列島(ロシアとしては北方領土も含んでいると思っているのだろう)はロシア領となった。そしてモンゴルもロシア傘下となった。つまり、モンゴルは中国のものでは無いということを合意した。

北方領土の領有権を日本に認めれば、中国がモンゴルを返せと言ってくるだろう。

以上のような視点を、本書から学んだ。日露関係だけでなく、アジア全体としての視野の広さが重要なのである。

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2026年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロシア。ユーラシア大陸の多くの部分を占めるこの国の成り立ち、歴史。『菜の花の沖』『坂の上の雲』という二つの大作を書く中で司馬氏はロシアについて綿密な研究を行った。
その成果をまとめたのがこの本。
ロシア人は、長い間モンゴル人の支配下にあり、自前の国家を持ったのが非常に遅かった。独立後は東へ東へを領土をひたすら拡張。
黒貂(こくてん・クロヒョウのこと?)の皮のもたらす莫大な利益を求めてシベリアを侵略。ユーラシアの東の果てに発見したのが日本という島国だった。その時日本は江戸時代であった。

この本を読むと、ロシアというのは地理的に日本に非常に近いというのを改めて思い知らされる。そして、シベリアの大地ってどんなところなんだろう?とか、もともとシベリアに住んでいたブリヤード・モンゴル人をはじめとした原住民はどんな生活をしていたんだろう?とか、シベリア鉄道に乗ってみただとか、想像を膨らませる。

狭い世界に生きながら
少しは広い世界を覗くことができた気がする。

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2013年06月06日

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