あらすじ
七分の真面目、三分の気まま――。僕はこうして生きてきた。作家渡世四十年、文学の達人が語る人生処方箋。
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Posted by ブクログ
「男の性欲はしょうもないものだけれども、ある時期から衰えてきた。昔の流行歌で「男はみんなオオカミよ」というのがあったけれど、いまの女性は狼という感じは受けないでしょう。「草食系」とか呼ばれている男の子が増えているけれども、草食獣だって雄雌はあります。性の方は、肉食獣より激しいです。」(160-161頁)ここでの最後の一文に虚を突かれたのは私だけではないはず。少し吹き出しました。
いまや通念、あるいは常識と思い込まれているものが、実はほんの数十年のうちで大きく変貌していることを「普通に」語って聞かせる著者の恐ろしさ。裏の見開きにはパイプを片手に写る古井氏の静かな佇まい、その彼の口から性と生と死が絡み合う言葉の数々が紡がれているという事実、このギャップに背すじがぞっとし、それがまた痛快でもある。