あらすじ
誰もが納得できるような考えに到達するための、力強いさまざまな思考法に満ちている哲学。その思考法のエッセンスを、初学者にも理解できるよう伝える。
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Posted by ブクログ
絶対的な答えのない哲学を敬遠し、あまり面白くないと思ってきたが、哲学的思考は魅力的かつ人間にとって非常に重要なものであるということを認識することができた。誰かと議論をするとき、建設的ではない議論になってしまうことが度々あった。そのようなとき、「なぜ自分の考えを理解してくれないのか」「自分の意見の方が圧倒的に正しい」などという考えを持ってしまっていた。しかし、自分の主張を全面的に押し出すのではなく、自分の主張の根底にある欲望と、相手の主張の根底にある欲望それぞれをすり合わせることが必要であるということに気づかされた。本書にあるような考え方、議論の仕方を実践していき、より良い第3の意見を創り上げられる能力が、この社会では求められているのではないかと感じた。この本をきっかけに哲学に対する興味が増したため、さらに多くの哲学関連の書籍を読み漁ってみたい。
Posted by ブクログ
確信や信憑のような意識作用を疑うことはできない。
→思考の出発点
確信や信憑は自分たちの欲望に応じて抱かれる。
→欲望相関性の原理
お互いの欲望・関心を明らかにした上で、納得できる共通了解を見出すことが哲学的思考である。
Posted by ブクログ
若年層を対象に書かれた本だと思うけど、知識のない自分にはちょうど良かった。職業柄「事実」を大事にしがちだけれど、そこから「当為を導かない」って本当に大事だなと、特にコロナ禍を経たのもあって、思った。
Posted by ブクログ
「苫野一徳」月間、2冊目
最初の一冊にはこれがベストか?!
哲学的思考の奥義(一般化のワナ・問い方のマジック・超ディベート・欲望相関性の原理)に加えて、哲学対話も本質観取の実例はとても興味深かった
とはいえ、やっぱりこれは実際にやってみないと実感が伴ってこないかも
最近は学校でも探求の授業等での取り組みをよく目にする
高校生でこういう時間が持てたら面白いだろうなぁ〜
Posted by ブクログ
自分の経験を過度に一般化する=一般化のワナ。有識者会議でも多い。自分の経験にすぎないことを自覚する。=議論を建設的にする方法。
問い方のマジック=二元論的な問い、どこからが砂山でどこからが砂粒か、人間は平等か不平等か、など。
帰謬法=相手を言い負かすためだけの議論。相手の主張の矛盾や例外を攻撃する方法。
超ディベート=共通了解指向型対話=勝ち負けでなく共通の了解事項を探る。
意味とは欲望のこと。欲望の前には遡れない。何が欲望を抱かせるのか、はわからない。しかし、意味を見いだすのは、ある欲望があるから。
欲望に基づく信念が生まれる。信念=欲望の別名。信念ではなく欲望で話したらどうか。理解し合えるのではないか。=超ディベートの方法。
欲望を知れば自分と折り合える。
不幸とは欲望と能力のギャップである。
欲望を変えることができる=人間の希望。
欲望がわからない場合=自分が何をしたいのか、何を欲望しているのかわからない。その場合は、1,価値観、感受性を刺激するものにたくさん触れる、2、掃除する=何でもいいから行動する、ことでほんのわずかな意味を知る。
~すべし、=当為、という。事実から当為は導かれない。事実からわかるのは解釈だけ。
客観的な事実に依拠して当為を導くのは、事実を都合よく要望の材料にしているだけ。
人を殺してはいけない、という当為は、自由の相互承認というルールを編み出したからこその当為。人間だから、という事実からではない。遺族のことを考えたら死刑を認めるべき、も成り立たない。
思考実験は問い方のマジック、であることが多い。中間の答えを探す。