あらすじ
マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ……。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!? ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!
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Posted by ブクログ
尾野真千子さんの主演で、WOWOW連続ドラマ化された作品の原作。
社会派の作品だけあり、扱っているテーマは多岐にわたります。
夫婦間の家庭内暴力、いじめ、発達障害、シングルマザー、キラキラネーム、ホスト、ネトウヨ、アニマルホーダー(多頭飼育崩壊)、保険金詐欺、戸籍の悪用、ブラック企業、セクハラ、パワハラ、窓際族の社員問題、闇金、リボ地獄、生活保護受給の水際作戦、枕営業、不妊、無縁社会、暴力団、前科者、ホームレス状態にある路上生活者、貧困ビジネス、毒親、離婚、児童虐待、蒸発、家族ごっこ、デリヘル狩り、地方と都会の格差、認知症、女性の就労、もっと他にもあると思うけどざっとあげるだけでこれだけの要素を網羅していながら話の流れがしっかりまとまっているのには天晴れの一言。
こうやって書くと、現代の社会問題のほぼすべてが詰まってたような気がします…。嫁姑問題は少しだけ。
私は神代の取り巻き3人衆の名前は最後まで覚えられませんでした。それだけ登場人物も多いですが、基本は陽子と綾乃、2つの話が考察していくので置いてけぼりにはならず。1章を読み終わってからは加速度的にページを捲る手が止まらなくなるはずです。
ちなみにWOWOWのドラマは4つのエピソードで構成されていて、原作とは異なるテンポと展開でこれまた面白かったです。ドラマの方が陽子が中心に回ってる感じがしますね。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
分厚い本だけど一気読み。後半グロイ
以下ネタバレ
陽子に対して「あなたは」と語る口調で物語は進む。
陽子のことをこんなに知っている語り部は誰なのか???
母親?と最初は思っていたが後半に分かる。
陽子はすみれを殺して自分がすみれになる。
だから語り部は旧陽子。
そら、全部知ってるわな陽子の事。
途中で出てくる陽子の実家がマンションに変わっていて
その一階がカフェになってて
その店員がミスバイオレット←なんとこいつが陽子であった!!
最後の1ページでそれが分かった時、ぞわぞわ
Posted by ブクログ
逃げ切った犯罪者の話。
陽子が死んだものだとばかり思っていたから、陽子→すみれは結構驚いた!
ページを捲る手が止まらない感じは久々かも。文体が合っているのは、やはり良い。この作者の方ではないが、前に読んだ本はちょい合わない文だったので。
何というか、たくましいなぁ人間は。あ、自然現象というべきかw 自然はやはりたくましい。
犯罪手口が詳細過ぎて真似する人出てくるのでは?みたいな心配も出てくるw
Posted by ブクログ
初挑戦の作家を開拓。
なかなかの文量だったので読破までかなり時間がかかったが満足度の高い作品だった。
腐敗した遺体を機に、結婚と離婚・死別を繰り返す女性の謎を刑事目線と女性をみる第三者視点から語られる。
最初はなぜ、謎の俯瞰視点の語り部?と思ったがラストに近づくにつれて納得。
犯人入れ替わりのトリックを描きたいだけならもっと短い作品でも可能だと思うが、びっくりトリックの一発屋ではなく作者の伝えたいと思われる人生を自然現象と捉える考え方や都合よく捉えるという人間の特権について熱く語られている気がして深みのある作品だった。
Posted by ブクログ
鼓動に続いて読んでみた。最後に実は、という形である意味心に残らない一本調子で流し読みもできる小説だけど、懸命に暮らすも墜ちていく主人公の人生とそれを負う女性刑事の図式は鼓動にも似て、しっかり最後まで読ませる筆力がある作品だった。生保の枕は知ってたけど自爆という言葉は知らず勉強になった。共済との関係とかも。この時代の金融商品営業の闇は深い。この2冊で葉真中さんのは卒業でもいいかな。
Posted by ブクログ
マンションで孤独死した女の謎を追う女刑事と、その女の転落人生とでもいうべき生い立ちが交差し、やがて一つの大きな事件へと繋がっていく。リーダビリティは非常に高く、一気に読み切ってしまった。ジャンルとしてはイヤミスながら社会派ミステリの要素も盛り込んでおり、陽子の人生に襲いくる悲劇は毒親に始まり、既婚者との不倫、夫の浮気、保険金の枕営業、風俗とテンプレートな現代社会の闇という感じでありながら、実話系雑誌にありがちなテンプレだけに想像もしやすく、結末が孤独死と分かっているからこそ一見救済に見えた事柄でも一皮捲れば現実はそう甘くないことを読者に突きつけてくる。転じてそれは社会情勢の変化の中で、結婚を選択しなかった女性が一人で生きて行くことの困難さにも繋がる話でもあり、一度そのレールから外れたが最後、そう簡単に浮き上がれず、その人生に逆転もないという地獄が広がっている。
最終的にヤクザの情婦となり、保険金殺人へと手を染めるわけだが、その壮絶な人生の中で初めて自分の人生を選択し、奪われる側から奪う側へと転身し、地縁に血縁とありとあらゆる縁を断ち切り、不可能に思えた人生の一発逆転を成し遂げる様はある種の痛快さがある。ただ、ミス・バイオレット=逃亡した陽子というオチは途中で読めたので驚きはなかったものの、よくできたイヤミスであると思う。