あらすじ
主人公の真知子は海外企業に職を得た夫の転勤で南半球へ。
幼い娘と共に海外での新生活が始まった。
美しく小さな異国の街に暮らす日本人達のコミュニティには、暗黙のヒエラルキーがあり、夫の職業や現地の家の場所によって厳然たる階級が築かれていた。
その中で真知子は、投資銀行に勤める夫を持つ佐倉郁子、商社マンの妻の津田宏美、現地の日本人シェフと再婚した木村弓子と親しくなる。
しかし、日本人会のバザーで起こった事件をきっかけに、彼女たちの関係は一気にあやういものになっていく。
内気な真知子は翻弄されつつも、壊れかけた友情の糸を結び合わせながら、少しずつ自分の居場所を獲得していく…。
結婚、出産、仕事、お金…。
今、女性が「生きる」ことについて、真摯に、正面から向き合った傑作長篇。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
メインとなる登場人物たち
考え方の背景にあるもの、今抱えてるもの、相手に対して思うこと、
全てが全く違う人たちで構成された狭いコミュニティ。
微妙にすれ違ったり共感しあったりしながら
紡がれていく人間関係。
「善い人じゃないんだけど、話せば悪い人じゃない」
「似てる部分もあるけれど、大部分は全然違う生き方」
大人ってそうだよね、でもそういう面倒くささも捨てたもんじゃないかもね…と思わせてくれました。
脇役の沖田さん、郁子さん、ダンさんが魅力的で、
今作の読後感はかなり爽快でした。
(小島さんの前作も今作も、荒波の中見えない沖へ向けてそれぞれ人生の船を漕ぎ出す女達、という部分は共通していたけれど、
前作では脇役のクソ野郎のせいでハッピーエンドになれず。それはそれで作品の良い味なのですが、私個人はやっぱりこういう最後でホッとしました。)
メイン3人がそれぞれしていた「片思い」も、最後にはうまくふっきれて前向きになれたみたいだし。
無理に相手に合わせなくても良い、
わからなければ伝えれば良い、と思える関係性はすてき。