【感想・ネタバレ】藤沢周平伝のレビュー

あらすじ

元山形新聞記者が『ひさし伝』(新潮社)に続き、「東京に住んでいながら顔はいつも山形のほうを向いています」と藤沢周平自身が語る、その山形にスポットを当て、69年の人生を辿った独自の伝記。
市井に生きる人々に注がれるやさしいまなざし、忘れられかけている日本の原風景の再現、端正で清冽な詩情あふれる文章などの魅力で、今なお人気の高い作家の人生が、これまでと一風異なる視点から浮かび上がってくる。
山形新聞での井上ひさしとの対談、東京の冬と比較した寄稿など、単行本未収録の作品も紹介されており、丹念な調査から、藤沢周平の「自慢はしない」「普通が一番」という人生哲学が描かれていく。
旧制中学に通いながら文選工として働き、山形師範学校卒業後中学校へ赴任するも、肺結核に罹り東京で療養。退院後は業界新聞を転々としながら小説家への志を抱き続け、ようやく生活が安定するも妻が癌で他界、昭和46年、44歳でようやく「溟い海」でオール讀物新人賞、同48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞し、人気作家になる様子や、『たそがれ清兵衛』『蝉しぐれ』といった名作の背景も詳細に明かされていく。藤沢ファンは必携の一冊だろう。

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Posted by ブクログ

あまり藤沢周平の本は読んだことがありませんが、「雲奔る」も楽しく読めましたし、同郷の文豪としてこれからはいろいろな本を読んでみたいと思います(^^)

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2013年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著作を通して周平の実像に迫っている。
改めて再読したく成る。作品が支持されるまでの努力は凄まじいものがある。 小説を読んでも、腹が満たされるわけでもないし、明日の暮らしがよくなるわけでもない 古来政治によって世の中が平和で、万民が幸福だったなどという時代がどれはどあっただろうと考えるのだ 馬も牛も姿を消して、かわりにトラクターが田圃を這い回った 村のそばを流れる生活排水と農薬で濁り、背骨の曲がった魚が泳いだ 

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2013年11月10日

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