あらすじ
【アンソニー賞、マカヴィティ賞、ストランド・マガジン批評家賞最優秀新人賞受賞】 帰ってきてほしい――10年前に故郷を離れ陸軍で海外勤務についていたバンに、長い間音沙汰の無かった祖父から届いた手紙。ベテランのプロの泥棒である祖父の弱気な言葉に胸が騒いだ彼は、10日間の休暇をとって帰郷する。だが空港からなつかしき祖父の家に着くと、そこでは頭に銃撃を受けた祖父が倒れていた! 人事不省の祖父を問い詰めることも出来ないバンは、手掛かりを求め、旧知の仲である祖父の仕事仲間に協力を仰ぐ。どうやら祖父は最後の大仕事を行なっていたらしいが……昂奮と哀愁がクロスするサスペンス
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Posted by ブクログ
久々の海外ミステリ。というかハードボイルドなのかなエンタメ要素があふれている。明晰な頭脳を持った理想的な主人公が、襲ってくる危機を乗り越えながら謎を解く。
デビュー作でミステリ三冠を制したというけれど。ハードボイルドで始まり少しずつソフトなストーリーに流れていく。こういう所が固いばかりの謎解きや銃の打ち合いとは違った雰囲気を持っている、読まれる期待の新人ということで、ストーリー運びも面白くて旨い。
父は顔も見ないうちに家を出、母親も幼いバン・ショウを置いて出て行った。幼い頃は里子に出されたというような生い立ちだったが、幸い祖父に引き取られる。祖父(ドノバン=ドノ)は裏の稼業が実は泥棒でこれが個性的で面白い。バンは祖父から家業の厳しい訓練を受ける。頭脳明晰、運動神経も抜群、分析力判断力も人並み優れた才能を持ち合わせている上に、スリルを求める年頃で、祖父の期待通り次々に危ない仕事もこなしながら成長する。
18歳の時、頑固な祖父と言い争い荷物をまとめて陸軍に入ってしまった。
ここでも水が合いレンジャー部隊に配属されアフガンなど中東戦線で活躍、今では軍曹になっている。
ところが捨ててきたはずの祖父から珍しく手紙が来る。様子がおかしい、らしくない弱気がほの見え、負傷して療養中でもあり10日間の休暇をとって帰省してみると、祖父が撃たれて瀕死の状態で倒れていた。
祖父は法の裏をくぐった成功者だった。だが最後に危ない橋を渡り損ねたのだろうか。顔なじみだった昔の祖父の仲間にあってみると、仕事からは手を引いていたらしいという。すでにバーの経営も若いものに任せていた。後継者のことも遺言の用意もできていたらしい。
が、ダイアモンド強奪事件が起きていた。総額500万ドル。仲間は祖父は関係していないという、仲間にも何の連絡もなかった。
だが家には盗聴器、隠し部屋にあったはずの現金も消えている。会っていなかった10年、祖父に何があったのだろう。バンはこの事件に巻き込まれていく。
登場人物が少なく、名前も憶えやすい。だからとても読みやすい。
メインストーリーに祖父と孫の過去の話が入る。9歳、10歳、14歳、そして祖父と決別した18歳の夜。祖父の無骨な教育方針が、子供の頃には憧れであり成長するにしたがってそれが重荷になり反発もする、二人の下手な交わりを挿入することで情感も漂い読みやすくなっている。
やはり祖父には何かある。
バン・ショウが限りある休暇を使い、深入りしていくに連れて派手なアクションシーンもあり、携帯電話を使ったハイテク技術も、舞台になったシアトルの地理を生かした海や島の情景も緊張感があって面白かった。
まさに
固ゆでから半熟に至る人情がらみの演出も、これがデビュー作なのかと思いながら、★5を付けた。
Posted by ブクログ
カテゴリは”ハードボイルト”と迷わず選べる、カチカチのハードボイルト。
最近は、サイコ的な味付けや派手なアクション場面がウリの作品が多くなってきて、それはそれでいいのだけどこういう硬派な作品が少なくなってきているので嬉しい一作。
10年ぶりに祖父の連絡で軍から帰省してきた主人公の目の前で祖父が襲われる。重体になった祖父を襲った犯人は…。
プロットは一見単純なんだけど、実は良く練ってあってラストまで全く飽きない。しかし、メインプロットと同等、もしくはそれ以上に味わい深いのが主人公と祖父の関係。
現在の物語と交互に描かれるのが、主人公の幼少時代から祖父から逃げるように入隊するまでの日々で、孤独であった二人が反目しながらも関係を築いていく姿はあまりにも切なく厳しく、そして仄かに暖かい。
こういう背景がしっかり描かれているからこそ、どこまでも犯人を追う主人公の姿に共感できるし、ハードボイルトとして成り立っている。
脇の人間の描きこみも過不足なく、安易なシリーズ化は難しかもしれないが、この作者の次作は楽しみ。
Posted by ブクログ
「帰ってきてほしい」10年前に故郷を離れ海外で軍務に就いていた主人公バンのもとに、ずっと音沙汰の無かった祖父からの手紙が届く。プロの泥棒である祖父の弱気な手紙に胸が騒いだバンは急いで帰郷した。だが、到着した彼を待っていたのは頭に銃撃を受けた祖父の姿だった...。人事不省の祖父を前に事件の真相を追う決心をしたバンは祖父の仕事仲間に協力を仰ぐ。
事件を追う現在のバンと過去の祖父との出会いと別れが交互に語られクライマックスへと向かう
とにかく祖父の頑固さとプロとしての矜持、そして滲み出る優しさがたまらない傑作です。
祖父の仕事仲間の爺さん連中のキャラクターも濃厚で最高なんです(※泥棒です)
Posted by ブクログ
トラブルに巻き込まれた主人公が、戦いながら謎を解き、真相に迫っていく。ハードボイルドミステリーから、冒険活劇まで、贅沢なフルコース料理のような作品。
読んでいて、ギャビン・ライアルとかディック・フランシスとかを思い出した。 ちょっと褒めすぎかも。
ともかく、十分に楽しめた一冊でした。