あらすじ
一九六〇~七〇年代に旋風を巻き起こし、世界に強い衝撃をもたらしたラテンアメリカ文学。その潮流はどのように生まれ、いかなる軌跡をたどったのか。ボルヘス、ガルシア・マルケス、バルガス・ジョサ、ボラーニョら作家の活動と作品はもとより、背景となる歴史、世相、出版社の販売戦略なども描き出す。世界的ブーム後の新世代の台頭にも迫った本書は、広大で肥沃な新しい世界へ読者を誘うだろう。ブックガイドにも最適。
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Posted by ブクログ
この本のなかで、傑作と言われてる文学作品は信頼できそうな気がする、、
読み進めていくうちにその想いは確信に変わった。
ここ40年くらいでベストセラー、世界中で売れた(わりと崇高な作品とされているもの)小説であっても、この本のなかでは辛口で評価されてたりする。
そしてラテンアメリカ文学の中で欠かせない文豪たち(ガルシアマルケスやイザベルアジャンテ他)の作品の中にも良し悪しがあること、わたし自身もこれはどうなのか?と思ってた作品に、寺尾先生が同じようなことを感じていらしてる箇所(偉そうにすみません!)もあって、ますます信用度アップ。
ラテンアメリカ文学の歴史やブームを牽引した作者たちの裏話なども盛り込まれています。
ラテンアメリカ文学好きにはかなりオススメな本かなと。
Posted by ブクログ
ラテンアメリカ文学というとマジックリアリズムしか知らなかったのだが,本書でその前後の文脈が理解できる。ブームがある種の陳腐化を招くところはどこも同じだなと思いながら読み進めた。
Posted by ブクログ
ラテンアメリカの小説が黎明期からこの100年でどのように変遷し、今や欧米や日本と並ぶ文学大国に仲間入りするも、どのような現代病を患ったのか書かれています。実はガルシア・マルケスくらいしか読んだ事ないですが、興味ある分野なので、本書をブックガイドにして作品をいくつか当たってみようと思います。
Posted by ブクログ
ここ100年くらいのラテンアメリカ、スペイン語圏の小説を巡る状況と背景を理解するのに、大変役に立つ一冊です。著者ならではの毒舌的!表現も楽しめます。
Posted by ブクログ
凄まじい勢いで凄まじい労作を翻訳なさっている寺尾先生の作った教科書。
索引がないのが残念だが……。
作品論よりは、作品の完成に至る背景や南米文壇の歴史、出版社の思惑、などに力点が置かれており、その点でも面白い。
憶えるくらいに読み込む必要あり。
Posted by ブクログ
単騎野を行くが如き仕事量の翻訳家、寺尾隆吉ならではのガイダンス本。巨匠の作品でも評価は辛辣。こういう著述態度で臨んでくれると、薦められた本に強い興味がわく。
空前のブームを経て、現在では玉石混淆どころか玉が見つからなくなるように至る過程が、要点を絞って書かれている。流れをつかむ意味でも分かりやすく、また出版文化論として読んでも秀逸。
Posted by ブクログ
この本に出て来る作家の中では、ボルヘス、マルケス、リョサ(ジョサって書かれてるけど、うちにある本はいずれもリョサなんだよなぁ、わかればどっちゃでもええけど)、ボラーニョを「読んだことある」くらいで、すべて読んでるわけじゃない、ある意味入門書には最適な読者かも知れん。
という立場で読むと、まぁ故人も多いけれどもけっこう辛口よね。いや、読んでないから辛口評価が妥当かどうかは判断できんけど、イザベル・アジェンデとかかなりボロカス。マルケスも百年以外は叩くし、プイグとか最近日本で流行りのボラーニョも。何となく褒めまくってるだけよりは信用できる気はする。