あらすじ
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廃道サイト『山さ行がねが』が本になった! 「廃道」とは、使われなくなった道路のこと。ここでは、明治以降に造られた、車両が通るための道を「廃道」という。一見、道路はいつまでもそこにあるように思えるが、時代とともに新しい道に切り替わっていく。それは、増大する交通量に対応するためだったり、その道路の本来の用途がなくなったときだったり。本書では、そうした廃道を、自転車で、あるいは徒歩で、走り(歩き)通す。ベースとなったサイト『山さ行がねが』は、廃道に限らず、廃線、トンネルや橋梁などの土木構造物、地域の歴史などを検索すると、しょっちゅうトップにヒットするWEBサイト。膨大な調査と考察、資料性の高さは、随一のもの。それゆえにWEBサイトに掲載された廃道レポートは一つの道路で優に文庫1冊分の分量があり、書籍化が難しいと考えられていたが、今回、WEBサイトのテイストや見せ方は大切にしつつ、大胆に再構成して八つの廃道を収録。明治時代にある人物の執念でトンネルを掘ったが志半ばで放棄された道、過疎化で集落が消滅した後で道も消滅しかけた林道、夢想ともいえる計画を実行に移すも儚く潰えた未成道路…。地図、写真を駆使した新たな「廃道紀行文」、ここに誕生!
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Posted by ブクログ
意図しない廃道歩きは大変だ。廃道だと思わないまま道に突っ込んでみたら廃道だった、というパターンだ。
思い出すと、秋田県の夜明島渓谷から太平湖に抜ける夜明島林道、長野県の朝日村から木祖村への鉢盛山林道は完全に廃道だった。
道が崩れ落ち、背丈より高い木が林立し、そういうところに限って棘のある草が生えていて引っかかって痛い。
そんな道にはクマも闊歩して、出合頭に口と目をひん剝いたクマの驚いた顔を覚えている。
オブローダー(廃道マニア)にとって最も有名なサイトが「山さ行がねが」通称、山行がである。
数十年前に離散した村が建設した林道だったり、
上高地に至る幻のスカイラインだったり、
南アルプスを走った森林鉄道の長大路線跡だったり、
華厳の滝を正面に未だ残る渓谷の橋だったり。
失われた道の記憶をたどる。
そこに今でも挑戦するアホがいる。
道は人が通ってこそ道だ。
道としての機能を呼び起こすオブローダーの生態の一端に触れる。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 加須良林道
第2章 数坂隧道
第3章 三郷スカイライン
第4章 千頭森林鉄道大間川支線
第5章 束松新道
第6章 鵲橋
第7章 鳥越林道
第8章 武陵洞
<内容>
最近ブームの「酷道」シリーズかと思いきや(いやいや「酷道」なんですけどね)、初めから「国道」とは名乗っていないさまざまな「道」を辿る話です。著者は自転車と徒歩でこうした道(多くは「林道」なので結構な山道、時に「酷林道」)を踏破していますが、「国道」ではないので、かなり事前調査しています。そこで今回の本に登場する「道」に歴史を感じ、そこを意識しながら実態調査しています。「道マニア」の方の中には、こうした”感傷的”なレポを嫌われる方のいるでしょうが、私は「ツボ」でした。歴史好き、地図好き、旅好きなので…。ただ体力には自信がないので、読書で済ましてしまいましょう。