【感想・ネタバレ】新しい学力のレビュー

あらすじ

2020年に予定されている文科省学習指導要領の大改訂。〈新しい学力観〉に沿った教育現場の改革はすでに始まっている。教科の再編、アクティブ・ラーニングの導入、評価基準の変化など──。大きな変化の中で、本当に求められる〈真の学力〉とは何だろうか? 教師も親も学生も必読、〈人〉を育てる教育への、熱意あふれる提言の書!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後の詰め込み教育から平成のゆとり教育を経て、改めて教育方法の賛否が整理され始めているこの時代において、アクティブラーニングの重要性が叫ばれて久しい。抽象的にアクティブラーニングといってもいろいろな落とし込み方があるが、著者は明治時代以降昭和期における「生活綴方」の作文課題の重要性を提案する。更に時代をさかのぼり、日本が変革期にあった江戸時代から明治時代には、私塾・松下村塾から多くの賢人が輩出された事実を見逃してはならない。新しい教育とは、これまで一度も行われたことの無い方法ではなく、実は約200年前に既に行われていた方法の復活を目指すものであった。生徒の学びへの自主性の喚起の方法も、ただただ無の状態からの自主性に任せた選択による科目受講ではなく、多くの知識や学びへのヒントを教育者が被教育者に与えた上で、生徒があらゆる物事に興味を持った上で主体的に考え行動するものであるべきなので、教師の授業方法にも更に工夫が必要であることが分かる。「憧れに憧れる」という表現が使用されているが、これは某社会学者の言う「凄い者への感染」ということと同義。

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2016年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

学力にしても定義は様々なものであるのだが、その中でどのようなものを「学力」と定義しているのかは大きく異なるのだが、著者は新しい「学力」を定義している。その背景には2020年の「学習指導要領」の大改訂が背景としてあげられる。その大改訂の中で出てくる「学力」とはいったい何か、それを定義してどう鍛えたら良いのかを提示している。

第一章「「新しい学力」とは何か」
「新しい学力」には2つの定義がある。一つは「PISA型」と「問題解決型」である。前者はOECDが主体となって行われている学習到達度調査によって判明したものをもとにした、学力の在り方を表しており、後者は文部省(後の文科省)の中教審答申によって出てきたものである。その2つの異なる学力の在り方はどのようなものかを取り上げている。

第二章「新しい学力の「落とし穴」」
新しい学力や考え方を求めるために「ゆとり教育」が生まれ、実行に移されていったのだが、学力低下となったことにより頓挫することとなり、元の教育に戻ることとなった。もちろん学力の在り方を変える際に落とし穴が存在していることを知らしめる結果となった。

第三章「本当に求められているものは?」
そもそも学力はどのようなことが求められているのか、その中でビジネスや開発、発明など様々な観点でどのような人材を育てるのかを取り上げている。

第四章「「源流」に学ぶ」
学力の源流とは何か、そこにはルソーやデューイ、日本人の中では吉田松陰や福沢諭吉などを引き合いに出して、学力のつけ方の源を取り上げている。

第五章「真の「問題解決能力」を鍛えよう」
問題解決能力は仕事にしてもプライベートにしても両方において必要なことである。その問題解決をするためにどのような学力が必要なのか、その定義を紐解いている。

学力は教育のなかで最も重要な要素であり、何と言っても社会に出て行くにあたり必要な力である。しかしその学力の在り方は学習指導要領の変更と共に変わってきており、冒頭でも述べたように2020年には大規模な改訂が行われた。そのための準備として何をすべきなのかを本書でもって示しているとも言える。

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2022年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新学習指導要領では、文科省の望む理想の子供像は、まさにスーパー子供。
従来の教科に加えて、英語ができて、主体的に学び、課題を発見して解決でき、プレゼンができて、プログラミングもできる・・・。
特に小学校の先生でこれら全てを教えることのできる人、何人いるのかなと、疑問に思うし、先生もパニックじゃないかなと思っている。
それが、この本を読むと、ざわついていた心が少し落ち着いたように思う。
やはり、昔ながらの知識の習得は絶対的に必要だし、読み書きソロバン的な基礎学力が大事。とりわけ齊藤さんが色んな本で薦めておられる素読。私自身も十代までに繰り返し覚えたものはなかなか忘れないように思う。もっと覚えておけば良かったと後悔しているくらいである。
これは暗記容量の増設にも役立つし、型を覚える、真似ることは、どんなことを拾得するにも必要なことなので、是非とも子供にやらせたいと常日頃から思っているが、何故か子供は親のやらせようという気配を察するのか断固拒否。
古典ではなくポケモンの日々から、どうしたら、上手く子供が関心をもって齊藤さんの提唱する学びをしてくれるのか教えて欲しいなと思う。

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2018年01月07日

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