【感想・ネタバレ】新しい学力のレビュー

あらすじ

2020年に予定されている文科省学習指導要領の大改訂。〈新しい学力観〉に沿った教育現場の改革はすでに始まっている。教科の再編、アクティブ・ラーニングの導入、評価基準の変化など──。大きな変化の中で、本当に求められる〈真の学力〉とは何だろうか? 教師も親も学生も必読、〈人〉を育てる教育への、熱意あふれる提言の書!

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Posted by ブクログ

真に必要な「学力」とは何なのか? どうすれば身につくのか? 2020年に改訂が予定されている学習指導要領の「新しい学力」と近年否定されがちな「伝統的学力」との統合を提言する一冊だ。
文科省が進めようとする「新しい学力」、それを身につけるのに重要とされるアクティブラーニングに潜む問題点をあぶり出している。
総合的な学習の時間がどうなったかをみれば結論は明らかだよね。最近の教育改革の議論では、土台となる基礎学力をいかに身につけるのかを無視している。ここがポイントなのに。このあたり著者の視点には確かなものがある。
欲を言えば、時間的制約にどう向き合うのかにも踏みこんで欲しかった。

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2017年01月10日

Posted by ブクログ

積極性を持って学びに取り組める環境って大事なんだと思う。
大学生も、楽単ばかりを意図して取っている人もどうしても多いが(自分は学費が勿体なくそんな行動は取れない…)本質的に人としての能力をあげよう、成長しようとするなら、大学という場で色々な人と関わったり何かを体験することを通じて学びを深めることが大事だと思う。

というか、受験勉強が目的の勉強を終えた大学生にとっても、アクティブ・ラーニングは積極的に取り入れてしかるべきだと思う。

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2023年03月19日

Posted by ブクログ

これからを生きる子供のため、自分のために読みました。家庭内、個人的にも出来ることから実践をして、生きる力を身につける。子供に対して興味を提供できる存在でありたいと思いました。

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2021年12月17日

Posted by ブクログ

社会の変化の中で問題解決力が大事。そのためには、アクティブラーニングが良いが、それだけではだめ。しかも、それらは、教える人のセンスがいるらしい。教育関係の仕事をしたいと思っている私は、教育される側で、興味深かった。

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2021年03月15日

Posted by ブクログ

変化の激しく、グローバル化する社会に対応するには「生きる力」を育むための「新しい学力」を身につけなければならない。ALにより「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」が目指されるが、伝統的学力が求める基本的知識の習得を中心とする内容を、ALで習得することで「新しい学力」は身につく。筆者は、日本に根付く「素読」を重視している。

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2020年07月06日

Posted by ブクログ

教育に携わる方、子育て中の親の方は是非読んでください。

1.この本を一言で表すと?
・従来の学習方法で得られる伝統的学力と問題解決力の両輪が必要であることを説いた本
2.よかった点を 3〜5 つ
・一見積極的でアクティブに見える学習形態それ自体が、学習の質を保証するものではない。(p58)
→ICT などの見せかけにつられてはいけないということだと思う。
・欧米風のアクティブラーニングを本格的に導入していない国々のほうがむしろ問題解決能力調査の結果に優れてい
るという事実に注目し、浮足立たないことが肝要である。(p69)
→現状をよくみる必要があるということ。伝統的な学習方法を全否定する必要ないということ。
・まずは学問を愛する趣味を作ること、これが第一である(p137)
→非常に重要。趣味をもたせれば、勝手に楽しんで学習する。
・各人の個性に任せて自由で主体的な学習に期待したとしても、学習が広く深くなる保証は全くない。むしろ現実は
その逆であることを示している。(p166)
→「自由」とか「主体的」などの言葉には気をつけないといけない。
・総合的な人間力こそが、真の問題解決力であり、私の考える「新しい学力」である。(p208)
→知情意体という言葉でまとめることができると思う。全く同感。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・客観的な評価方法を用意するのが困難と指摘しているが、結論の「総合的な人間力」の評価方法は示されていない
ままではないか?
・5 章の実践例は他の本でも聞いたことがある内容なので、面白みがなかった。
3.実践してみようとおもうこと
・子供に熱中でき趣味を持たせる
・新聞の内容を子どもと一緒によみ、「なぜ?」を一緒に考える
4.みんなで議論したいこと
・この本に書かれている「新しい学力」で、これからの世界で生き残るには十分と思いますか?
5.全体の感想・その他
・日本のこれまでの教育(伝統的な学力)については、改善の余地があるにしても大きく間違ってはいなかったと感
じたが、ではなぜ日本の生産性は低いのか?会社の仕組み、社会制度、政策に問題があるのでは?と感じた。

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2018年12月30日

Posted by ブクログ

学習指導要領を【ソフト】学校・教師を【ハード】だと考えると、
いくらソフトが良くても、ハードの能力が低かったら、ソフトの良さが活きない。
今、親と生徒、学校・教師との信頼関係はあるのか。

親の過剰な要求や、また生徒への暴力や卑猥な行動をする教師の多発、イジメや生徒の自殺の学校対応など。
正直、学力を伸ばすとか、問題解決能力とか、それ以前の問題を抱える教育現場が増えている。
現実的に問題解決力能力を有する子を育てる時間とコスト、
そして教師自身の能力は、果たして国や学校、教師、最後に親にあるのか。

現状、最高学府である日本の大学生の学習時間は、世界的に極めて低い。
国立教育政策研究所の2016年の調査報告「大学生の学習実態に関する調査研究」によると、
日本の大学生の7割の学習時間(週単位 授業以外の学習時間)は、
週に5時間ほど、1日1時間以下である。NHKが12年に行った調査では、1日39分です。
この学習時間の中には、もちろん読書も含まれています。

齋藤氏も指摘しているように、読書は、「新しい学力」が示す問題解決型の学力にとっても、
基礎となる知的な活動です。ベースに知識がなくては、ディスカッションは、
単なる語るだけのおしゃべりになってしまいます。少なくとも、
学習指導要領の改訂の結果として、学習時間の増加につながらないといけません。

学習時間が全てというわけではないですが、どのみち「何かを学んで生きていく」ことが、前提です。
重要な指標であることは、間違いありません。
果たして、増加するのでしょうか?

また、ソニー生命が中高生1000名に対し「中高生が思い描く将来についての意識調査」を実施した結果
「日本の10年後の将来のイメージ」の調査で、「明るい」と答えた中学生は39%、高校生は31%。
かなり衝撃的な結果です。中高生という、多感かつ感受性が強い時期に、
高校生の場合は7割が、未来に対して悲観的な見方をしています。

学習指導要領を改訂すると、これが改善されるのでしょうか?

今、日本社会は、人口減少社会(消費減少)、超高齢化社会(社会保障負担)、
労働者減少(生産年齢人口が毎年1%以上減少する)する状態になっています。
以前の経済社会システムが維持できなくなっています。政府も大学も、
あまり言いませんが、日本の世帯所得は、この20年で20%以上減少しています。
また、小学校の1クラスに数人の貧困状態の子供がいます。

まとめると、今の日本社会は、勉強する意欲がほとんどない者が溢れ、
なおかつ希望もなく、どんどん貧しくなっている人が増加しています。

学習指導要領を、かなり変更しても、おそらくは、
日本の大きな問題を解決することにはならないでしょう。
日本の教育システム自体が、もう既に死に体です。
中高生の7割が、未来に希望が持てないという国は、先進国でも、日本だけです。
既に終わっていると思った方がいいでしょう。

日本の教育システムが、もう終了なのは、誰の目にも、明らかです。
今の教育システムを、根本から見直すべきだと思います。
文部科学省は、「教育」に関する多くの部分を、民間や三者機関へ任すべきだと思います。
といっても絶対にやりませんが。
官僚や大学教授、各識者(なぜか経営者も含まれる)が作った学習指導要領など、
正直今必要とされていません。ゆとり教育で、もう十分に証明されたと思います。

大事なことは、一言でいうと、「学校に期待しない」ことです。
学校が何か教えてくれるとか、能力を伸ばしてくれるとか、
助けてくれるとか、思わないことが、一番のアクティブラーニングになります。

これから、日本社会は、ますます自己責任社会になります。
その社会とは、「今のあなたの現状は、全てあなたが、招いたもの」という社会です。そ
ういう社会にあたって、最高のアクティブラーニングは、
何かに依存することや期待することなしに、自分で人生のゴールを設定して、
自分で、自ら能力を開発していこうという意気込みです。

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2017年11月05日

Posted by ブクログ

伝統的な学力が「学習内容」としての知識を身につけるものであるのに対して、アクティブラーニングはあくまでも学びの「方法」であることを覚えておく必要がある。アクティブラーニングの概要が少しわかった気がします。すごく勉強になりました。読んでよかったです。

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2017年02月27日

Posted by ブクログ

<目次>
はじめに 「学力」の曲がり角
第1章  「新しい学力」とは何か
第2章  新しい学力の「落とし穴」
第3章  本当に求められているものは?
第4章  「源流」に学ぶ
第5章  真の「問題惟解決能力」を鍛えよう
おわりに

<内容>
文科省が2020年以降の学校において”必須”とする「アクティブ・ラーニング(AL)」。今世の中に出ている本は、これを推進するため、あるいはこれを賞賛するものばかりだが、この本はそれに対し「ちょっと待った!」をかけるもの。明治大の教育学の授業では、すでに多くのALの授業をおこなっている著者ならではの問題点の指摘である。評価のしかた・指導者の力量・現存の教師へのALの普及活動…。「ゆとり教育」など文科省は何度も教育の改善を図ろうとしてきたが、いずれも失敗(と私は思っている)であった。その概念は素晴らしい(と誰もが思っているだろう)が、実践させるための施策はほとんどなかった。ただただ聞くだけの研修会。実践をしている人の授業見学。個人で能力があるか、興味を持った教師だけが実践あるいは無理矢理管理職にやらされるだけ。
もちろん、この本を読んだら素晴らしい実践がなされるようになるわけはない。ただ問題点が指摘され、必要な力が示された。帯にあるように「なすべきこと」が見えている。一番のポイントは福沢諭吉や吉田松陰の体験、実践したことをベースに、教師の情熱を示すこと。そこに初めて技術がついてくるだろう。

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2017年01月21日

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ネタバレ

戦後の詰め込み教育から平成のゆとり教育を経て、改めて教育方法の賛否が整理され始めているこの時代において、アクティブラーニングの重要性が叫ばれて久しい。抽象的にアクティブラーニングといってもいろいろな落とし込み方があるが、著者は明治時代以降昭和期における「生活綴方」の作文課題の重要性を提案する。更に時代をさかのぼり、日本が変革期にあった江戸時代から明治時代には、私塾・松下村塾から多くの賢人が輩出された事実を見逃してはならない。新しい教育とは、これまで一度も行われたことの無い方法ではなく、実は約200年前に既に行われていた方法の復活を目指すものであった。生徒の学びへの自主性の喚起の方法も、ただただ無の状態からの自主性に任せた選択による科目受講ではなく、多くの知識や学びへのヒントを教育者が被教育者に与えた上で、生徒があらゆる物事に興味を持った上で主体的に考え行動するものであるべきなので、教師の授業方法にも更に工夫が必要であることが分かる。「憧れに憧れる」という表現が使用されているが、これは某社会学者の言う「凄い者への感染」ということと同義。

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2016年12月12日

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ネタバレ

学力にしても定義は様々なものであるのだが、その中でどのようなものを「学力」と定義しているのかは大きく異なるのだが、著者は新しい「学力」を定義している。その背景には2020年の「学習指導要領」の大改訂が背景としてあげられる。その大改訂の中で出てくる「学力」とはいったい何か、それを定義してどう鍛えたら良いのかを提示している。

第一章「「新しい学力」とは何か」
「新しい学力」には2つの定義がある。一つは「PISA型」と「問題解決型」である。前者はOECDが主体となって行われている学習到達度調査によって判明したものをもとにした、学力の在り方を表しており、後者は文部省(後の文科省)の中教審答申によって出てきたものである。その2つの異なる学力の在り方はどのようなものかを取り上げている。

第二章「新しい学力の「落とし穴」」
新しい学力や考え方を求めるために「ゆとり教育」が生まれ、実行に移されていったのだが、学力低下となったことにより頓挫することとなり、元の教育に戻ることとなった。もちろん学力の在り方を変える際に落とし穴が存在していることを知らしめる結果となった。

第三章「本当に求められているものは?」
そもそも学力はどのようなことが求められているのか、その中でビジネスや開発、発明など様々な観点でどのような人材を育てるのかを取り上げている。

第四章「「源流」に学ぶ」
学力の源流とは何か、そこにはルソーやデューイ、日本人の中では吉田松陰や福沢諭吉などを引き合いに出して、学力のつけ方の源を取り上げている。

第五章「真の「問題解決能力」を鍛えよう」
問題解決能力は仕事にしてもプライベートにしても両方において必要なことである。その問題解決をするためにどのような学力が必要なのか、その定義を紐解いている。

学力は教育のなかで最も重要な要素であり、何と言っても社会に出て行くにあたり必要な力である。しかしその学力の在り方は学習指導要領の変更と共に変わってきており、冒頭でも述べたように2020年には大規模な改訂が行われた。そのための準備として何をすべきなのかを本書でもって示しているとも言える。

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2022年02月04日

Posted by ブクログ

現代社会に生きる人々は、変化の中に生きる社会的存在であるため、アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)を通して、現実社会をよりよく変えていくために、新しい学力が求められているということがわかった。

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2020年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新学習指導要領では、文科省の望む理想の子供像は、まさにスーパー子供。
従来の教科に加えて、英語ができて、主体的に学び、課題を発見して解決でき、プレゼンができて、プログラミングもできる・・・。
特に小学校の先生でこれら全てを教えることのできる人、何人いるのかなと、疑問に思うし、先生もパニックじゃないかなと思っている。
それが、この本を読むと、ざわついていた心が少し落ち着いたように思う。
やはり、昔ながらの知識の習得は絶対的に必要だし、読み書きソロバン的な基礎学力が大事。とりわけ齊藤さんが色んな本で薦めておられる素読。私自身も十代までに繰り返し覚えたものはなかなか忘れないように思う。もっと覚えておけば良かったと後悔しているくらいである。
これは暗記容量の増設にも役立つし、型を覚える、真似ることは、どんなことを拾得するにも必要なことなので、是非とも子供にやらせたいと常日頃から思っているが、何故か子供は親のやらせようという気配を察するのか断固拒否。
古典ではなくポケモンの日々から、どうしたら、上手く子供が関心をもって齊藤さんの提唱する学びをしてくれるのか教えて欲しいなと思う。

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2018年01月07日

Posted by ブクログ

2020年に予定されている学習指導要領の改訂。アクティブラーニングの実施や小学校授業への英語教育の導入など、これまでの「知識重視型教育」を見直す動きがある。背景にはグローバル化やAI普及に伴う単純労働の減少などが考えられる。今後は多くの知識を習得することよりも、「生きる力」を養うための課題解決型人材の育成に主眼を置く。
この大きな改革の流れに、著者は一石を投じている。と言っても、改革の方向性を否定するものではない。これまでの知識重視型教育を否定することに「待った」をかけている。
その理由は何か。それは、科挙制度の影響を受けたと思われる東アジア諸国がOECDの問題解決能力調査で上位を占めていることに答えがある。この結果が示すように、知識の習得は課題解決に一役買っている。膨大の情報を根気よく丹念に頭に入れていく作業は、集中力や根気を養う。決して否定されるべき教育方法ではないというわけだ。ただ、社会が複雑化し、予測困難となった今、従来の教育に加え、主体性や協調性を養う教育も行なっていくことの必要性を著者は述べている。
こうした著者の考えに、私は賛成の立場である。まずは地に足をつけて勉学に励むことが必要であり、その根幹となる姿勢を忘れ、プレゼンやディスカッションに注力することは、課題解決を行える人材の育成には繋がらないのではないか。「ゆとり教育」の失敗の再来の予感さえある。同様の失敗を避けるためにも、教育改革のビジョンを抽象的なものに終始せず、具体的な目標を子どもやその保護者、そして教育に携わる者と共有しなければならない。2020年という目標年があるとすれば、残された時間はそう多くない。
なお、著者は教育改革の課題として、①教員の質の確保、②客観的評価の難しさ、③学習の質の向上を挙げているが、この課題に対する答えは提示されていない。まだ議論の半ばなのかも知れないが、著者なりの考えは知りたかった。

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2017年07月23日

Posted by ブクログ

新学習指導要領で示される学びの方法「主体的で対話的な深い学び」に対する考え方。
「知情意・体」を最後の章で強調する。学びの深さは何で規定されるのか?学び方以外の要因は何か?学ぶ主体の知情意・体を高めることのメリットを説く。

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2017年07月01日

Posted by ブクログ

まさに正攻法。
納得の教育分析です。
最後の丹田論法は本音とするところなのでしょうが、どうしてもそちらの方は眉唾っぽくていけません。

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2017年01月12日

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