あらすじ
武芸の達人や妖術使いたちなど、宋江をはじめ108人の豪傑が、梁山泊を根城に弱きを助け強きをくじいて大活躍する。『三国志演義』『西遊記』などとともに、長年にわたって中国と日本で愛され親しまれてきた、中国四大奇書の1つ。
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Posted by ブクログ
いやはや、なかなかもってこれは激しい物語ですねぇ。 上巻の Review で KiKi は登場人物の1人、魯智深について
あっち(北方版)の魯智深はイマドキの言葉で言えば「フィクサー」だったり「メンター」だったり「プロモーター」だったり「プロデューサー」だったりともっと知的な雰囲気が漂っていたんですけど、これじゃ単なるハチャメチャな暴れん坊じゃん!
と書いたわけだけど、その時からあっち(北方水滸)では108人の豪傑たちを梁山泊に集めるうえでスカウトマンさながらに暗躍していた魯智深がこっち(少年文庫)では単なる暴れん坊にすぎなくて、尚且つ、楊志と一緒に山塞にこもりっきりだったら、どうやって人を集めるんだろうと思っていました。
そうしたら宋江の名声というかブランドに勝手に引き寄せられてくるか、さもなければ味方に取り込むために家を焼きはらっちゃったり(帰る場所をなくすため)、濡れ衣を着せたり(居場所をなくすため)、奥さん・子供を殺しちゃったり(未練を残させないため)と目的を達成するためには手段を選ばないハチャメチャぶり・・・・・・ ^^; どうやら現代日本人と彼らを比較すると「卑怯」という概念が大きく異なるようです。
と同時にあっちの水滸では梁山泊に集う豪傑たちはめっぽう強いうえに、戦で負ければじゃんじゃん命を落としていくのに対し、こっちの水滸では強いことは強いけれど、結構とっ捕まっちゃっては牢屋に入れられて、そうすると獄卒とかその上役とかにカネを握らせて・・・・・という描写が結構多い(苦笑) まさに絵に描いたような「地獄の沙汰も金次第」という風景が頻出します。
KiKi は学生時代、一応「世界史」を専攻していたんだけど、中国の、特に宋の時代あたりに関してはどんな時代だったのかほとんど記憶にありません。 だからこれが中国の文化の1つだったのかどうか判断がつかないんだけど、やたらと「食人肉」の話が出てくるのは何なんだろう?? これは当時の食糧事情によるものなのかなぁ・・・・・。 「西遊記」にも「食人肉」の話は結構出てきたけど、あっちの物語はかなり「ファンタジー色」が強いのであまり抵抗もなかったんだけど、こっちで出てくるとちょっと不気味・・・・・。
もっともこっちの話だって妖術を使うヤツがいたり、お札の力で飛ぶように走るヤツがいたりと、ファンタジーっぽさはなきにしもあらずなんですけどね。
いずれにしろ中巻まで進んでも梁山泊にはまだ108人が出揃っていません。 でもあっちの水滸と比較しても生産活動やら経済活動という面では「この人たち、どうやって食べてるの?」状態のこっちの梁山泊ですから(何せ略奪以外に糧食を得る方法はないらしい)、108人とそれに従う兵たちを養っていける状態には程遠い。 結局最後の方でようやく108人達成となりそうな雰囲気がプンプン漂っています。