あらすじ
何があっても変わらずに、笑っている。あの人はそんな“冷たい”人だった――。社命で携わった仕事に贈賄の容疑がかかり、失踪した望月正幸。正幸の浮気相手、妻、娘。変わることを余儀なくされた人たちの思いは。希望は訪れるのか。一言一句にいたるまで確かな手によって掬い取られた詞藻豊かな連作短編集。繊細にして力強い心情描写は至高の域ともいうべき。『羊と鋼の森』と時を同じくして書かれた傑作、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
本を選んだ動機が不純で、読み終えて自分が嫌になったし、却って吹っ切れた部分もあった。
やっぱり宮下奈都さんの書く文章は美しくて胸を打つ。大好きだ。
「相手の幸せ」ってなんだろうね。
夫婦や愛人や友達恋人。
それを一番に考えられて、行動できるって、わたしにはできない。
この物語に出てくる人たちは、みんなそれぞれ一生懸命で、相手のことを考えていて、きっといつか救われてほしいと読んでいて思わされる。
いつか、あの家族は出会えるんだろうか?
幸せになれるんだろうか??
終わり方が秀逸。
だけど、そんな人でも不倫するんだな…
誠実そうな、結局家族が一番なひとでも…。
どうしてそうなってしまったんだろうね。
このお話の中では重要度はあまり高くないとは思うのだけど、宮下先生ならどう考えて、どう表現されるのか、気になる。
私は作家さんを人生相談のプロだと思ってるところがあるらしい。笑
Posted by ブクログ
贈賄、ひとりの会社員が失踪…という始まり方から、真実が明かされる系なのか?じゃあ、「たった、それだけ」は何のことなんだろう?という風に読んでいました。
気付いたら真実の解明ではなく、各話の登場人物の過去と小さいけれど確実な変化を追いながら、、ラストはあたたかい気持ちになります。でもちょっと贈賄の件の真実も知りたかった…(笑)
Posted by ブクログ
良かった。ただよかった。
望月さんを巡るお話。
好きな人を売ってしまうこと。それを受け入れて逃げること。涙という名前。奥さんの窮屈さ。
心に残ってる
Posted by ブクログ
第5話までの主人公は怖くて、「聞く」ことができない人だったけど、第6話の大橋くんは「聞く」ことができる素直さを手に入れた人。
最後に円を描くように1話1話が繋がるので、読みやすかった。