あらすじ
パリの美術館で、槙村沙織は三十数年ぶりに秋津吾郎に再会する。彼こそは、学生運動の果ての凄絶な粛清リンチから身ひとつで逃走した二十歳の沙織を、半年間匿ってくれた男性だった。運命の再会は二人に何をもたらすのか──。殺意と愛情がせめぎあう極限状況で人生を共有しあった男と女ゆえの、根源的な結びつきと、身体も魂も貫く究極の悦楽を描き尽くした著者最高の恋愛小説。
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Posted by ブクログ
大好きな小池真理子さんの作品。
学生運動の時代を舞台にしてます。
沙織が秋津に出会うまで、出会ってからのこと、離れてからのこと。情景的にも心情的にも細かく書かれていて主人公になりきって読み進めました。
小池真理子さんの作品を読むたびにこんな身を焦がすほどの恋愛をしてみたいと思います。
Posted by ブクログ
学生運動や連合赤軍、セクトなどの時代背景はいまいちよく分からなかったが、途中のリンチのシーンは怖くて読むのを辞めようかと思うほどだった。
こんな怖いテイストの作家だっけ?とよくよく見ると林真理子と間違えていた!
後半は歪んだ関係でありながらも2人の結びつきの強さにのめり込んで、かなりのスピードで読んでしまった。
この作者を知れたことが一番の収穫だったと思う。
Posted by ブクログ
学生運動や粛清などは出会うこともなく、当時の空気感なども全く想像できない世代です。程度の差はあれ若者全てが学生運動になんらか関係を持つ時代らしい、くらいの認識しかありませんが、松本沙織は受動的とはいえ相当奥深くまで入り込んだ数少ない若者だったのかと思っています。
学生運動よりはやっぱり恋愛小説だと思いたい。沙織の学生運動への関わり方も恋愛が主軸だし、秋津吾郎との関係も結局は恋愛だし、独特な恋愛の形を描くための土台として学生運動を極めて丁寧に忠実に描くことで、時代の異様さが異様な恋愛の形にリアリティを添えるよう意図されているのではないか。なにより、美しく惹かれる表題が恋愛小説だと位置付けている。