【感想・ネタバレ】水の翼のレビュー

あらすじ

木口木版画家・柚木のもとを訪れて弟子入りを志願した青年、東吾。柚木の歳若い妻・紗江は、どこか謎めいたこの青年に強く惹かれていく。ある日、柚木が急逝し、東吾は詩画集『水の翼』のための木版画制作を引き継ぐことに。同じ家で二人きりで過ごす紗江と東吾は、互いの想いの強さを偽れなくなっていく……。芸術と恋情のはざまで引き裂かれる男女の運命を描く、恋愛小説の白眉。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

文学作品として,ここまで手が込んでいるものを見たことがない。
三島由紀夫の死になぞらえて,
一人の芸術家が死ぬ。

その過程に,詩人 壬生幸作 の詩がある。
「水には翼があるのだ,ときみは言ふ
 青い地平の遥か彼方で
 空の青
 海の青
 月の青とが解け合ひ
 混ざり合ひ,滲み合ふためにこそ
 水は今こそ翼を持ち,羽ばたいてゆかねばならぬのだ,と
 在るものを壊し
 無と共に受け入れ
 まことの美が誕生する瞬間を静かに待つ
 。。。。


文学作品の中に,文学作品を入れる手法はいろいろある。

木口木版画の作家とその弟子が登場する。

いろいろな脇役を配置している。
誰が,最後に亡くなるのか。

全く予断を許さない展開。

芸術家が隠れた意図を持っていることは読めたが,
一世一代の嘘に騙され,最後の展開を読めなかった。

推理小説としてすごい。

0
2012年12月24日

「小説」ランキング