【感想・ネタバレ】子どもの頃から哲学者のレビュー

あらすじ

便所飯のパイオニア、躁ウツ8年間、人類愛教の教祖さま…どんなにこじらせても、絶望したとき人は前に進める。キルケゴール、ヘーゲル、ルソー、ニーチェ、カント…歴代哲学者もとんでもない中二病だった!? 絶望の達人の再生の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

筆者の半生と、哲学者の考え方を関連付けながら書き上げた哲学の入門書。
筆者も文中に書いているが、哲学書というのは小難しく書いてあることが多いが、それを身近な、それでいて説得力のある形で紹介されていて、今回のテーマの一つである「哲学は役に立つ」がスッと入ってくる。
以下、心に残ったことを、記録のためにも抜粋して…

○哲学というのは、誰もがみんな「なるほど、その通りだ」ということを掲げる学問。
○カントによって、「絶対の真理なんて究極的には分からない。」という思考法が生まれた。それを求めて争うなんて、馬鹿みたいではないか。
○ヘーゲルの人間洞察、「承認」を求めて、あがく様子を克明に記した。「ストア学派、スケプシス主義、不幸な意識、心胸の法則、徳の騎士」
「自分だけで自分の価値を守ろうとするのではなく、人を攻撃することで承認をしようとするのでもない。絶えず他者との間に「相互承認」を見出そうと努力すること。他者からも承認されて初めて、本当に価値あるものでありうるのだと自覚すること。自分の価値を主張し、しかもなお、それが相手からも承認されて初めてちゃんとした価値と言えるのだと自覚すること。その方法を考え、実践すること。」(本書116頁)
○デカルトによって、真理なんてどこにもないのかもしれない。が私自身(特に、精神。「心身二元論」)を疑うことはできない(我思う、ゆえに我あり)という思考法が生まれた。しかし、「私」とはなんなのか、という疑問は残ってしまった。その後、フッサールによって、精神だとか難しく考えるのではなく、「見えちゃってる、聞こえちゃってる」という「意識作用」は相対的にできないものだ、ということが考え出された。
○以上のことから、「そう思ってる」という「意識作用」は相対化できないものであるので、絶対的なもので争うのではなく、お互いの「意識作用」同士による「共通了解」が必要になった。深い相互理解ともいえるのかもしれない。
○ニーチェのルサンチマン。妬みやそねみのことで、どれほど人生をつまらないものにしてしまっているか。「ルサンチマンを食いちぎれ!そして人生を、もっと楽しめ!」
○ポストモダン思想により、中近代的な「絶対的な」ものを排して、「相対的」にしようとした。が、「人類愛」などはある種「絶対的の価値」のまま残してしまった。
○竹田青嗣によって、「欲望論」の哲学が提唱された。「僕たちは、世界をそのあるがままにおいては見ていない。そもそも世界のあるがまま(真理)なんて、僕たちには決して分からない。(ペットボトルの絶対的真理なんて存在しない。)僕たちは、世界をいつも、僕たち自身の欲望の色を帯びたものとして認識している。」(本書89頁)
○「欲望論」でいくと、夫婦の問題など、問題となることは、「信念対立」になっていることが多い。それをぶつけ合っても問題は解決しない。まず、「自分はどうしてそんな信念を持つようになったのか。」と言った「本質」(欲望)を考えてみると、「共通了解」を見いだせるかもしれない。

○キルケゴールは、絶望している時は、自分自身に絶望しているのだとといた。そして絶望している人には、可能性を提示する。
○ルソーは、「私たちの欲望と能力の間の不均衡のうちにこそ、私たちの不幸がある。」とといた。ということは、抜け出すためには3つだけ。「能力を上げる。欲望を下げる。欲望を変える。」(防衛機制の置き換え?)
○「哲学はいつでも必ず、まずは物事の「本質」を洞察することから考察を始める。逆に言えば、物事の「本質」をつかめなければ、どんなにあれこれ考えを巡らせたところで、言わば「下手の考え休むに似たり」で、思考はなかなか深まらないもの。(中略)あらゆる問題の、できるだけ誰もが納得できる「本質」を明らかにすることができたなら、その問題を力強く克服する「考え方」(原理)もまた、僕たちは見出していくことができる。」(本書169頁。論のもって行き方が見事すぎる…)

○勉強する過程で、自分の中の疑問が全部壊れてしまえば、好きな事を研究すればいい。あるいは、もしも同世代に歴史を動かせる人がいるのなら、その人を支えればいい。もしそれでもなお、自分の中に残ったものがあったとするなら、それが追究すべき事柄。大切に育てるべき残りカスでも、大きな価値のあるもの。(194頁を要約。)
○哲学の営みは、「個人の営み」でなく、「歴史の営み」かも。苦悩している人が多いからこそ、人が考えるきっかけになり、影響を与え合えることになるのだから。
○今は過去と違い、ほとんどの人が、自分の生き方や社会のあり方について、多かれ少なかれ考えている。どう解いて良いか分からずに、苦しんだりすることもある。そんな今だからこそ、哲学に価値があるのではないか。

物凄い分量になってしまった。自分の中に残しておきたい。そう思える本だった。

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2020年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

絶望して人類愛教の教祖さまになったり中二病だったりして這い上がってきた哲学者。おもしろかった。
不幸から抜け出す三つの道→ 能力を上げること。欲望を下げること。 それでもダメなら欲望を変えること。
なるほどでした!
自分自分にならずに相手の欲望の、次元までお互いにさかのぼり合う。
とっても良いことだなー。
忘れないようにしよう。。

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2019年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「苫野一徳」月間、ラストの4冊目
苫野氏の半生と共に紐解く「哲学」
しかしユニークと言うか、個性的で面白い人
そして節目節目で私の思い出や辿ってきた道と所々交差?!してきているのがまた不思議
一度講演会でもオンラインサロンでも…お話を聞いてみたいなぁ〜

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2023年11月08日

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