あらすじ
東京は下町。昭和の雰囲気が残る三ノ輪に、評判の食堂がある。そこはいま大騒動の最中だった。隠し子騒動で三代目の長男が失踪。五人兄弟の次男、柊一が急きょ店を継ぐことになったのだ。近所でも器量よしと評判の兄弟だが、中身は別。家族の危機にてんやわんやの大騒ぎ。だが柊一の料理が大事なものを思いださせてくれる。それは、家族の絆。ときに涙し、ときに笑う。おいしくて、あったかい。そんな、懐かしい食堂あります。
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Posted by ブクログ
下町和菓子 栗丸堂のシリーズの作者でもある似鳥航一さんの本です。
母親に愛情を沢山受けて育った5人兄弟(男ばかり)が成長して、実家の食堂のピンチに力を合わせて立ち向かう。ざっくりしたあらすじはそんな感じですが、5人兄弟が成長の過程でそれぞれどんなふうに家族を見ていたのか、思いあっていたのかをそれぞれの視点からも描いている。
長男の「隠し子」として登場する6歳の少女が家族の緩衝剤の役割を果たし、家族の再生、それぞれの再生に一役買っている感じです。
読後感も爽快だけど、伏線もまだ回収され切ってない部分もあるので続くのかな。。。と期待しています
Posted by ブクログ
突然の兄の失踪に残された隠し子?の杏。
三ノ輪を舞台に家族で営む食堂を何とかしようと頑張る様子に心うたれます。
まっすぐな柊一の行動がとても素敵でもありました。
Posted by ブクログ
母親が早く亡くなり残った男兄弟、祖母、父、そしてその隠し子の杏で食堂を家族愛で守る話。
この杏が6歳なのに賢すぎて興醒め。男兄弟も皆美男子ってとこもついて行けない。
話はそれなりに面白いけど、なんかな〜。
Posted by ブクログ
初めて読む作家さん。
こちらも様子見だが、シリーズ一作目なら、きっと書き手もそうに違いない。
冒頭の「十五年前」という章が、いきなり衝撃的。
母の愛に溢れた、母のモノローグ…なのだが、これが読んでいて居心地悪い。
息子たちが自分の命、というお母さん。
この後ほどなく死んでしまうことを知れば、やむ無しなのかとも思うけれど、このお母さんがリアルにいたら、怖い。
大人になり、巣立っていく息子たちとの関係を堪えられるのか、まったく他人事ながら心配になってしまう。
家族が宝という割に、夫や姑のことは全く触れていないのも不自然だし。
純粋培養された母性愛が薄気味悪い。
もっと気色悪いのが、唯一の悪役、神崎の造形。
実直な兄が社会のひずみの中で心が壊されたことで、歪んでしまったという事情が語られるものの、なぜそこまで主人公たちの三毛猫食堂を攻撃するか、理解に苦しむ。
ゆがんだ人物にしても、チェーン店の店長が地元の食堂をそこまで潰そうとするだろうか?
そんな暇あったら、もっと売り上げを上げる方法を見つけなよ、という感じ。
こんなアホな社会人、いるんだろうか?
そういう意味で、リアリティを感じられない。
社会に対する洞察が薄い気がする。
彼はこの巻だけで使い捨てられる悪役なのかもしれないが、悪役に魅力がないのはつまらない。
キャラクター小説って、こういうものなのかなあ。
確かに主人公柊一や、謎の少女、杏は魅力的だったけれど。
それから、食べ物の描写はおいしそうだった。
空腹を感じなくなって一か月経った私にも、おいしそうと思わせるほどに。