あらすじ
捜査一課特殊班を翻弄する毒ガス事件が発生。現場で発見された白骨死体は、五十年の時を超え、過去のクーデター計画へと繋がっていた。――東京五輪前夜の一九六三年、国を正す使命感に燃える理系の大学生・松島は、財界の重鎮である国重に誘われ、毒ガス開発に踏み出したが……。政治家を排除しての直接民主主義は、実現できるのか?
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Posted by ブクログ
上下巻で、上巻は序章と第1部(317頁)、下巻は2部(323頁)の構成となっています。
序章で、犯罪かと思われる事件が発生し、第1部でその背景となる50年前の事柄が語られ、第2部で現在に戻って事件継続、そして解決へ向かいます。
第1部がとにかく長い。2百数十ページにわたり、それだけで独立した社会小説にでもなりそうなボリュームがあります。
上巻が終わるまで、第一部では捜査の話なし。盛り上がれなかったです。(政治、革命、戦争などにまつわる物語を読みたいわけではなかったので)
中央公論社が「イッキ読みしてください」というのは営業的な意味もあったかと思いますが、別の意味でもうなずけました。
とはいえ、話の質が低いということではなく、むしろ、昭和初期から高度成長期入口までの社会経済情勢とともに物語が展開され、読み応えがある社会小説と言ってもいいのかもしれません。
というわけで、堂場作品の多くを占める警察小説とは異なるのだ、と承知して読むことをお勧めします。