【感想・ネタバレ】人魚姫の椅子のレビュー

あらすじ

瀬戸内海に面した椅子作りの町、宝松市鈴香瀬町。高校生の海野杏(うみの・あん)は、毎朝海辺で小説を書きながら、椅子職人を目指す同級生・五十鈴彗斗(いすず・すいと)と少しだけ話すことを日課としていた。 ある日の朝、いつものようにやってきた彗斗から、「高校をやめて町を出る」と告げられる。特別仲がよかったわけではないが、傍にいて当然の存在がいなくなることに焦りを覚える杏。 時を同じくして、杏は親友の翠(みどり)からラヴレターの代筆を頼まれる。戸惑う杏だったが、必死に頼む姿にほだされ、誰にでも好かれる、明るくてかわいい翠を思い浮かべながら、一文一文を丁寧に書きだしていく。そのラヴレターから、小さな町を揺るがす失踪事件が始まるとも知らずに。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

杏の中の優先順位があからさまに出ている。
①自分の想い、空想の世界
②彗斗の尊厳
③翠の命
一般的には翠の安否が最優先のはずだけど、杏は空想の世界のことばかり考えている。
現実世界じゃなくて、自分の世界を守ることに必死なのかな、と思った。
翠の行方を気にしつつ、どうせもう死んでいるだろうと半分決めつけているあたり、実はドライな性格なのかも。翠の家族との対比を感じて、主人公に対して不気味な気持ちになった。

主人公に全く共感できなかった一方で、展開は予想外。最後まで私の想像を超えたお話だった。

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2021年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

海辺のまちの朝の空気感。
住んだこともないのに懐かしく感じるその雰囲気が切なくて、まだ何も起きていないうちから苦しくなる。
文章が綺麗で騙されるけれど、内容は色々と重い。真相だけでなく、病気の少年のはなしとか、小さなまちの事情とか。
そんな中で、杏が、翠を想いながら変わっていく過程が丁寧に描かれていてとても好き。

椅子マニアの情熱がすごい。
完ぺきな椅子に座って物語が生まれる、というのもいい。
読み終わったあと、とことんこだわって何かを創ってみたくなった。

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2019年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

椅子職人と小説書きの物語であり、作り手が創り出す物語。
「つくる」こととは。物語が進むにつれて、グイグイと引き込まれていった。森晶麿さんも話していたけれど、ミステリー要素は少なくて異質。その分また違う世界が生み出されてるなって思った。
森晶麿さんがブログで書いていたセルフライナーノーツもまた読みたい

戯言
なぜかわからないが、「人間椅子」と言い間違えることがよくあった。でも、「人間椅子」(江戸川乱歩)と似て非なるものではあると思った。どちらも、座っている異性を包み込むというフェチズムが表現されていると思う。

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2017年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

森さんの話は、合うものと合わないものが極端に
別れるのですが、これは…中間くらい?
青春期のモヤモヤと未成熟さとがありつつ
殺人事件が起きて、関係が変わっていく話。

黒猫シリーズは「ポー」ですが
まさかのこっちは「乱歩」…
悲劇的展開に押しつぶされそうになった時に
帯のQRの黒猫シリーズ出張版に救われました。(何)

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2017年01月20日

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