【感想・ネタバレ】子どもの貧困 日本の不公平を考えるのレビュー

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Posted by ブクログ 2021年10月04日

日本でも貧困で苦しんでいる人がいることを実感させられました。

母子世帯だけでなく父子世帯でも貧困があるという事実を重く受けとめ、母親が働けるようにするだけでは貧困は解決せず、子供に直接援助がいくようにしなければならないと主張していました。

母子世帯の母親に対してのアンケートで書かれていた切実な思...続きを読むいや不安には胸が痛くなりました。

この本が出版されたのは2008年なので、当時とはまた状況は変わってきていると思います。

この本の続きが2014年に出版されているので読みたいと思います。

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Posted by ブクログ 2020年08月31日

貧困と格差は異なる。貧困撲滅を求めることは、完全平等主義を追求することではない。貧困はそのことを社会として許すべきではないと言う基準。価値判断である。機会の平等という比較の理念ではなく、子どもの権利の理念に基づく考え方である。

すべての親は「温かい家庭」を築こうとするのであろうが、親の年収によって...続きを読む子育ての環境は大きく異なっているのである。

晩産化が進んでいる。貧乏人の子沢山は少数派
子どもの貧困率は、親が中規模以上の企業に勤める常用雇用の場合のみ少ない
二人の就業世帯であっても、子どもの貧困率は10.6%。母親の就労が貧困率の削減にほとんど役に立っていないと言える。
0歳から2歳の乳幼児のこども、多子世帯、若い父親を持つこども、母子世帯の子どもの貧困率が高い
日本は家族関連(児童手当、児童扶養手当、現物給付等)の社会支出が、他の国と比べても相対的に低い傾向がある

児童手当もイギリス・フランスと比べても支出が少ない。社会保障も緩やかな逆進性を孕んでいるので、再分配後所得の貧困率が再分配前所得の貧困率を上回ってしまっている。

母子世帯の平均年齢は40歳
17人に1人が母子世帯に育っている

独立母子世帯と同居母子世帯がある
希望格差が生まれている。
子供の幸福度(ウェルビーイング)

ヘッドスタートの調査によると、乳幼児期(0〜5歳)の貧困が、ほかの年齢の子ども期の貧困よりも、将来の子供の成長に一番影響を与える

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Posted by ブクログ 2019年07月08日

読み終えた上での、再配分に対する自分の考え

「成人するまでの機会の平等を担保するために、貧困世帯のこどもには機会への平等なアクセス権(無償化、学習支援など)、親には必要な額の支援(あくまで機会の平等のため)が必要である」


努力不足によって所得に格差が生まれることに問題はない。ただ、それでも結果...続きを読むとして貧困になった個人には、最低限のセーフティーネット(生活保障)と、努力次第で再起できる機会(職業訓練 / 教育機関での学び直し)は与えるべき。また、その所得格差が次の世代の子どもにまで連鎖するのであれば、それは生まれた時点で差がつくため、機会の平等が保たれているとは言えない。

よって、連鎖が生まれない、また、生まれた家庭環境・地域・国籍にかかわらず、こどもの機会の平等が保たれるためには、貧困・低資本世帯のこどもと、親への支援が必要である。

親への支援に関しては、こども機会の平等に必要な金額以上の支援は、正当に努力して高所得を獲得した世帯との不平等が生じてしまうため、あくまで「➀こどもの機会の平等を保つため」、「➁競争に敗れたとはいえ、人として最低限の生活を送るため」の2つの目的達成のためにのみ行われるべき。

理屈はこうだが、高所得者の人が「理屈は理解できるけど、自分は頑張ってその結果としてお金を手にしたのに、頑張ってもない人に再分配したくない」というのはすごくよくわかる。ここをどう解決するか。(親ではなく、こどもに再分配する、再分配によって努力しようとしているか、継続監視する→マイクロファイナンス?)


こどもの機会の平等のためには、「家庭内の治安の改善と介入システム」、「公的教育機関の教育の質」、「私的教育機関の無償化」、「労働人口増加」あたりが鍵になりそう。

いかに1人1人の国民と経営者が格差問題を、
・「自己責任」の一言で片付けず、
・こどもとその生活環境や文化資本の差に目を向け、
・払っている税金など、”一部”ではなく、”全体”のお金の流れを意識でき、
・貧困家庭のこどもの不平等に共感→同感でき、
・共感している人たちが、このシステム実現のための実行力を持てるか、
が最大の焦点。

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感想

低所得者への再配分は、「努力が足りないだけ」という自己責任論に行きがちだが、「そもそも貧困家庭に生まれた時点で、教育へのアクセスや家庭環境等で、ディスアドバンテージがある」・「金銭面だけでなく、家庭環境や学力による低い自己効力感」など、こどもの自己コントロールでは管理しきれない影響がたしかにあるために、自己責任論は適切ではなく、きちんと社会全体で支援をするべきである、という論がとてもしっくりきた。

機会の平等には、2つの条件がある。1つは「公平な競争」で、もう1つは、「だれでも頭がよく生まれる確率が等しくあり」、「生まれつきの遺伝子ではなく、後天的な学習と自由意志によって、だれでも頑張れば」それなりの業績をあげれるという前提。

しかし、貧困家庭のこどもは、頑張らなくて学力が低いのではなく、生まれた環境のために自己肯定感、自己効力感が低く、努力できていない。これは、前提に立っていない。そのため、支援を受ける権利がある。

こどもの貧困を解決するためには、親への金銭的な支援も必要になるが、それは機会の平等という観点で難しいなと感じた。貧困家庭に生まれたとか、障害があるとかだったら理解されそうだが、単に努力不足で収入が低い場合、支援の正当性やインセンティブ設計をどう担保するのか。

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Posted by ブクログ 2014年09月07日

貧困になっている子どもが増えているということで、様々なデータを提示しながら、その原因を探ったり、特に貧困の子どもが多い母子世帯の状況を紹介したりなど。かなり勉強になった。中でも、相対的剥奪という概念が面白かった(元の概念はイギリスのタウンゼント氏による)。確かに
何が貧困かは他の人との比較によるとこ...続きを読むろが大きいと思う。
続編もあるとのことなので、早めにそちらもとりかかりたいですね。

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Posted by ブクログ 2014年02月28日

アメリカが酷いという認識はあったが、日本もここまで酷いとは、データは雄弁だ。貧困の概念も初めて本書で深まった。社会福祉士として恥ずかしい。

・非行と貧困
・15歳時の貧困と現在の低い生活水準の直接的な相関
・日本では母親の収入が貧困率の削減にほとんど役に立っていない。
・日本よりアメリカの方が家族...続きを読む政策に予算をつぎ込んでいる。
・教育支出も日本は最低。
・日本は唯一、再分配後の所得の貧困率の方が、再分配前よりも高い。
・日本の母子世帯はワーキングプア
・女性の貧困経験と学歴
・乳幼児期の貧困が、一番将来に影響がある。
・日本の一般の意識は大幅に低い。子どもの必需品調査から。
・所得にはある一定の閾値がある。400万くらい

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Posted by ブクログ 2013年03月01日

 子どもの貧困について基本的なデータを用いながらインタビューも入れてとてもよく調べている本である。日本の教育について論文を書くためには欠かせない本であろう。

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Posted by ブクログ 2012年09月12日

日本の子どもでいられることの幸せと不幸な面を何となく感じてはいたけど、数値と様々なグラフで表される「子どもの貧困」のまぎれもない現実を見た。

原因としては経済状況の悪化もあるし、離婚後の母子家庭の生活境遇の困難もあり、一概に子どもの貧困の解決を提示できるものでもないと感じた。

ただそこに、政府と...続きを読むしてできることがたくさんあり、これまでは政府は少子化対策としての育児手当を支給してきたが、子どもの貧困を減らすための方向性が間違っており、少子化対策ではなく、あくまでも子どもの貧困をなくすための子ども対策が必要であることを、本書から学ぶことができた。

よって今後の政治の舵取りと政策のいかんによっては、子ども対策も良い方向へ向かっていく可能性もあり、我々国民もどうあるべきかを考えることが大切であると思った。

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Posted by ブクログ 2012年07月01日

日本では、何が「子どもの貧困」をもたらし、何が問題なのか、どのような対策をとるべきか、について書かれた本。図表を多く挿入して、解説を加えています。

第1章では、15歳時点の暮らし向きがその後の生活水準に影響を与えていることを示しています。子ども期の貧困は、その時点での学力や生活の質などへの影響に留...続きを読むまらず、大人になってからの就労状況などに影響を及ぼして。更に、その「不利」が次の世代(子)にも受け継がれていくことを述べています。
第2章では、「相対的貧困」について説明し、世帯タイプ別の貧困率、年齢別の貧困率を提示しています。特に心配されるのが、乳幼児の貧困率の増加です。低年齢での貧困が、子どもの健康やその後の成長に、大きく影響するからです。
第3章では、国際比較を通して、日本の政策を検証しています。税制度や社会保障制度には「所得再分配」の働きがあり、通常、その前後で貧困率が軽減されるのですが、日本は、先進諸国のなかで唯一、制度があるために、子どもの貧困率が悪化しています。「負担」と「給付」が、高所得層に優しく、低所得層に厳しい制度になっていると考えられます。
第4章は、子どもの貧困率が特に高い母子家庭の現状について書かれています。母子家庭では、働いて収入があるにもかかわらず生活保護を必要とする低所得層が多いことなどが問題となっています。そして、低所得であることは、第1章で提起された問題へとつながるわけです。また、女性の「ワーク・ライフ・バランス」が保障されないことは、女性の貧困問題でもあります。
第5章では、貧困層の子どもが低学歴であるのは、高校や大学の授業料が払えないから、ということだけではないといっています。貧困層の子どもは、意欲を失い、努力しなくなっているという、子どもの意識の差が生じていることをデータで示しています。学校や家庭環境、家族の意識などが、子どもの学習意欲に影響を及ぼしていることは明らかです。高卒でさえ、ワーキング・プアになってしまう現状にあって、就学前から支援する施策が必要になっているといえます。
第6章では、「相対的剥奪」という概念が紹介し、この相対的剥奪概念と「合意基準アプローチ」によって、子どもにとっての「社会的必需項目」を選び出しています。その各項目の支持率を調査して、どのような世帯の子どもが、「社会的必需項目」の欠如を強いられているか(必要であると支持され、本人も希望しているのに、家庭の事情などで与えられない状態)を示しているのですが、きわめて水準の低い最低生活が浮かび上がってきます。
第7章では、イギリスのマニフェストを参考にした「日本版子どもの貧困ゼロ社会へのステップ」という提言が示されています。

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Posted by ブクログ 2012年06月18日

貧困問題を抱える多くの層の中から子供に焦点を絞り、まとめられた一冊。
資料が豊富、論理的な流れで読みやすい。

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Posted by ブクログ 2012年03月15日

母子家庭でしかもワーキングプアに陥っている世帯が多いことはショッキングです。

僕は子育ての経験がありますが(0~5歳)、お金がかかるのもありますが、それ以上に『一緒にいる時間』を大事にしていたので、それはそれは大変です(笑)ノイローゼになるのも頷けます。

お金で解決するのって、簡単なんですよね。...続きを読むだから僕はあまり好きじゃないんですが、それよりも、労力(時間)を提供することの方が尊くて、子育てもお金をかければ良いというわけではなくて、子どもの両親が一緒に過ごしたり遊んだり、スキンシップをとったり、子どもにとっても、そっちの方が喜びます。
ですから、母子家庭に必要なのは、所得の向上もさることながら、『子育てする時間』も確保しなければなりません。お金は代わりがききますが、子どもにとって、親というのは基本的に代替が不可能です。

政府支出にみる教育費の国際比較で、どの国よりも日本は支出が低いというのは知っていましたし、この現状を打開しなければと思いますが、ではどこから財源を持ってくるのかが問題で、広い視点から判断しなければならないと思います。また、『他国に比べて日本は~』云々を言い出したら、それはもう日本ではなくなるし、社会背景や歴史・文化的要因が各国によって置かれている状況・立場が違うので、何でもかんでも『教育費の公的支出を欧米並みに』とか言い出したら、『煙草税も欧米並みに』、『消費税も欧米並みに』『法人税も欧米並みに』となり、高齢社会には対応できなくなります。乱暴な議論だけは避けてほしいです。

本書は所謂『ゴネ得』で子どもの貧困に警鐘を鳴らしているのではなく、あくまで冷静に日本の悪しき現状を直視して論じているので好感が持てます。

子どもと言わず、大人も貧困なんですよね。自分が貧困だから未来に投資できない。そうなると、必然的にこれから生まれてくるであろう命にまで負担を強いることになります。負の遺産の継承は何としても避けなければなりません。

子どもが暮らしやすい、子ども主体の社会にすることは、ともすると「大人は子どものための奴隷になれ」と社会で強制しているのでは?と疑問を抱かざるを得ません。自分の人生は自分のもであるはずだし、子どものために大人が犠牲になるのは納得(国民的合意)が得られるでしょうか?僕は、これにプラスして、「もっと多様なライフスタイルを認めるべき」だと思います。フリーターはダメ、ニートはダメ、というようなレッテルを貼るのではなく、そういった人たちを受け入れる社会の寛容さ、そしてすべての人の生活水準が向上するように、社会の構造や認識が変わっていくことを強く望みます。
怠け者が野放しになるのは問題ですが、全体の割合でみるとそう高くはないと思うので、さしあたっては、生活保護の不正受給による厳しい目や上記のフリーターやニートへの偏見を改善していくことが先決です。
これを通じて僕が言いたいことは、「選択の自由を確保すべき」ということです。自己責任論の強い風潮には賛同できませんし、そもそも格差の継承や海藻の固定化が組織の循環を滞らせている現状が大いににあります。大学まで進学すれば多様な仕事を選べる、しかし、中卒では仕事の選択肢が限られている、というような、機会の平等をもっと確保し、そして失敗しても再チャレンジ可能な社会につくりかえていく。そんな社会が理想だと思います。
「子どもの貧困」を考える時、それは子どもだけに限定されず、僕を含むすべての日本人に関わる問題です。政府はこのことをもっと真摯に受け止めて議論を深めてほしいと思います。

感想が支離滅裂ですが、色々と考えさせられる、内容の詰まった良書中の良書なので、僕の評価はSにします。

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Posted by ブクログ 2023年02月12日

刊行から15年経っていますが、多くのことを考えさせられる1冊です。一方で、15年経っても、国で行われている子ども政策の議論の内容は残念ながらあまり変わっていないように思われてなりません。
著者が最後に記しているように、「子どもの数を増やすだけではなく、幸せな子どもの数を増やすことを目標とする政策」を...続きを読むぜひ議論してもらいたいと思います。

親の貧困や学歴が子どもたちに大きく影響していることをデータで示されるとやはり大きなインパクトがあります。
子どもたちのスタートライン格差を少しでも縮め、希望を持って暮らせる国になってほしいなぁと思わずにはいられません。

※15年経っているので、現在のデータをいろいろと知りたい気持ちはとても出てきます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月31日

★内容★
・後日追記

★学んだこと★
・もう一回ちゃんと読みたい。逆機能の部分が衝撃的である。

★もっと知りたいこと★
・所得の再分配、逆機能について

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Posted by ブクログ 2019年05月03日

格差、本人の素質の違い、社会は平等ではないのが当たり前、などと混同されることも多いですが、子どもの貧困は社会が許容すべきでない生活水準のことである、とはっきり言って、いろいろなデータを示して、今後の政策に何が必要かを述べています。2008年に出た本ですが、10年たった今、当時と比べてどれくらいよくな...続きを読むっただろう、、と残念な気持ちになりました。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

日本は昔から「子どもに寛容で優しい国」であったはずなのに老人だけが権利を主張して得をする国になってしまった。
日本の子どもの貧困について豊富なデータで説明し非常に説得力がある本。

「相対的剥脱」「貧相な貧困感」「保育所は子ども達の最初の防波堤」「意欲の格差」「希望の格差」

など勉強になった。

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Posted by ブクログ 2018年06月23日

「少子化大臣」よりも「子ども大臣」の設置。この言葉が、ストレートで分かりやすかった。直接、子どもの貧困に焦点を当てた対策の急務。離婚率増加、母子家庭の増大、養育費を踏み倒す元夫や養育を支払えない元夫の現実、母子家庭における母親のダブルワークやリーセントワークの問題。

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Posted by ブクログ 2018年01月20日

こどもの貧困について書いた本。
格差と貧困の違いや、親の、特に一人親家庭の経済状況とこどもの貧困について、が前半で、
それに対する政策について、が後半。

前半が私の知りたいことでした。

ちょっと前の本なので、紹介されている政策などが現状は更新があるかもしれない。

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Posted by ブクログ 2015年05月19日

とてもよく整理されて書かれていて、読みやすく、そしてぐっと迫ってくる内容だった。
この筆者の本はもっと読んでみたいと思った。

大人が、「子どもにとって最低限必要だと思うこと」が、日本では非常に厳しいという話が印象的だった。
確かに自分にもそういうところがあるかもしれない。
某野球少年の話とか、某お...続きを読むそばの話とか、「貧しいけど頑張る」的な、そういう話に慣れ親しみすぎているのかもしれない。

具体的に対処案も挙げられていて、きちんと対処されれば効果が上がっていくはずだという希望も感じながら、しかしこの書籍が書かれてからしばらく経つのにさらに大きな課題となってきている現状に、焦燥も感じる。

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Posted by ブクログ 2015年01月09日

子どもの貧困について、客観的なデータをもとに論じられている一冊。

2008年に出版されている本なので、データはやや古いですが、わかりやすく整理されているため、基本的なポイントを押さえるのにとても助かる内容でした。

子どもの貧困と、学力、健康、家庭環境、非行、虐待の関係が、データとともに示されてい...続きを読むます。

大人たちが「子どもにとって最低限必要だと思うこと」の調査で、学習の機会や医療保障についての項目が私の予想よりもはるかに数値が低かったことに驚きました。

日本の大人が子どもを見る目の厳しさ、、それくらいは仕方ない、我慢すべきだ、とする姿勢に、調査に答えられた方ご自身の辛さの経験や生活の余裕のなさを想像しました。

経済的な問題、社会保障についても、もっと勉強しなくてはと思いました。

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Posted by ブクログ 2014年10月26日

母子家庭の貧困というニュースを目にする機会が増えてきたので、興味をもって手に取った。この本が書かれたのは2008年、どれだけ自分の目が開いていなかったのかがよくわかる。少子化対策がさらに取り沙汰されるようになったが、それ以前に子供の貧困は許容できないものであり、撲滅しなければならない。
この本は精緻...続きを読むに貧困の定義の測り方、日本と世界の比較から語る。そして日本の政策、母子家庭の経済状況、学歴社会における貧困の不利をデータで示す。さらに、子供の必需品とはなにかもデータで示すことで、より具体的な貧困の姿を目に見えるようにしてくれる。
この子供の必需品とは何か、で明らかになる世間の認識がまたすごいものだ。世間的に50%以上が必需品と考えるものが与えられていない状態を剥奪された状態として、貧困の具体的な姿を描くものとしてアプローチした結果、日本ではそもそも子供の必需品として考えるものが少なすぎるのだ。おもちゃも誕生日のお祝いもクリスマスプレゼントも、大学までの教育も、お古でない靴や文房具も、一年に一回遊園地や動物園に行くことも、与えられなくても仕方がないと認識されているのだ。なんて悲しい社会なんだろう。そんな子供の姿をしょうがないとして許容することはあり得ないと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年04月29日

 長い間「一億総中流」という意識を持っていたために「貧困」に対する想像力が欠如した。その結果、対策が非常に遅れている。特に子供については貧困との関連付けがタブー視されてきた経緯があり、親の自己責任論で片付けられてしまうことが多かった。そのため「子ども」を中心とした政策が必要である、という内容。
 
...続きを読む 社会学系の文章はあまり読み慣れていないせいもあって、言っている内容が難しいなぁと思うことが多かった。また、統計学の知識をある程度は使う(中央値など)ので、そのあたりも必要なのかな?一番ショックだったのは第6章で、「金銭的に余裕がなければ、……は子供に与えられなくてもよい」という項目が、海外と比べて日本は低い傾向にあること。一概に比較はできないにしても、貧困に対する想像力が貧困なのかなぁ、と感じる結果だった。とはいえ、自分が同じアンケートを受けたら、どう答えるのだろうか不安ではある。

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Posted by ブクログ 2014年03月16日

確実に貧困があることがわかったということと、
子供に関する社会的必需品については、あったほうがいいと思うが、与えられなくてもよい、与えられなくても仕方がないと考える人の割合が多いのに驚いた。

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Posted by ブクログ 2013年11月13日

「少子化対策」ではなくて、「子ども対策」を。言葉だけの問題かもしれないが、まさしくその通りだと思う。そして、なぜ高校などで、将来自分が子どもができた時の子育ての勉強がないんだろう。本当に大事なことは、学校では教えてくれず、個人任せになっている。地域の関わりが希薄化している以上、周りが教えてくれるでは...続きを読むなく、教育内容としてやっていく必要があるように思う。

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Posted by ブクログ 2013年02月06日

日本の子供の貧困について。統計データをもとに子供の相対的貧困について記述。今自分ができることを考えさせられる本

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Posted by ブクログ 2022年06月28日

貧困関係の本を15冊、阿部彩さんの他の著作も読んだことがあったのですが、まだ知らないことがありました。
投資論、良い親論、モデル論、ストレス論、学歴下降回避メカニズム、文化的再生産論、福祉依存文化論、大衆教育社会論、相対的剥奪、ディーセントジョブなどを自分の言葉で説明するとなると、少し戸惑うという方...続きを読むは読んでみてもいいかもしれません。
人によっては物足りないのかも?

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Posted by ブクログ 2022年04月12日

データが多いので理解するのに時間がかかる。
入門書としては重いかな。

データではっきり見たい人にはおすすめ。

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Posted by ブクログ 2021年06月03日

 子供の貧困の原因と、日本の対応策の問題点とを、統計・調査に基づいて明らかにしている。事実の羅列的で少し退屈感もあるが、日本の子供の貧困がかなり深刻であることがよくわかる一冊。

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Posted by ブクログ 2019年02月13日

終始データに基づく話。
親の年収や学歴との相関など、わりと知ってる内容が多いが、データを用いているので、具体的。

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Posted by ブクログ 2014年07月10日

学生時代の読み残し。

まだまだ多くの人にとっては想像しにくい世界であろう「子どもの貧困」について、日本の現状を解説する本。

データが豊富で、丁寧に解説してくれているのでこの分野について興味をもった方が最初に手に取るにはとても良いと思います。

「総中流」の幻想からはだんだん解き放たれつつあるよう...続きを読むに感じる昨今ですが、
それでも貧困というものに対するイメージ自体まだまだ貧しいですよね。

日本政府が(というか自民党が)、そもそも視点として子どもの貧困対策というものを持ってこなかったというのは確かだろうけど、その背景にあるのは何よりも社会全体の意識の低さ。

ある程度は日々感じていたところではあるけれど、第6章で示される、厳しすぎる貧困観には正直悲しくなる。
ただ、これは子どもとか、貧困といったテーマに限った問題ではないですね。
人権意識というものがあまりに貧相な社会、日本。
「剥奪状態(deprivation)」という概念がまったく理解できない人が多すぎる。

今後日本では否が応でも相対的な貧困は増加傾向を辿っていくので、
社会的な合意基準は作って行きやすくはなるんだろうか。

それでも、政権担当者だけに任せていて進展していく分野だとは思えないので、
福祉、教育業界、関連のNPO業界などからの継続的な働きかけが必須でしょう。

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Posted by ブクログ 2012年05月18日

少子化対策ではなく子ども対策が重要。
子どもの数を増やすだけではなく、幸せな子どもの数を増やす対策が必要と著者は言う。
貧困は教育の機会を奪い、それが就業の機会を奪ってしまう。
そうやって貧困の連鎖が続いていく。
子どもは社会の財産だという認識の下、すべての子どもが享受すべき最低限の生活と教育を社会...続きを読むが保障するようにならなくてはならない。

OECD加盟国の中で唯一日本が再分配後所得のほうが貧困率が増加する国、というのが非常に衝撃的。

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Posted by ブクログ 2012年07月21日

途中で断念。データ的なものが多いけど、
やはり著者もいっているように(?)、
データから見えないものを見たい。

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