あらすじ
ただ、認めてほしいだけ。
14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう――。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。
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Posted by ブクログ
読み終わって一番に「ホラーじゃん」って思っちゃった。
栞子さんは所謂「サブカルクソ女」なのだと思う。
本が発行されたのが2012年なのでサブカル全盛期だし。キュウソも「サブカル女子」って曲を出してた時代だ。この頃はサブカルチャーが流行ってた。サブとは名ばかりのメインカルチャーだった。
私もサブカルクソ女だった。
「冷たい熱帯魚」とか観たし浅野いにお好きだしベルセルク読んでたしバンド追いかけてた。
楽しかった。楽しいですよ。私は見た目こそサブカル(黒髪ボブヘア伊達メガネ)に寄れなかったけど、でもやっぱサブカルだったと思う。マイナーがかっこいいと思ってた、みたいな。
栞子さんの場合は「詩集を出版したことがある(今は活動していないけど芸術家気取りである)」「実家が極太」「男好き」ってのがあるからしゃらくせーのかな。でも別に嫌いにはなれなかった。いい奴ではないが。こういう人間は死ぬほどいますよ。
異性がいないと生きていけない人っているよね。
女でいないと気が済まない人というか。そういう人はめんどくさいな、と思う。関わるのが。彼氏と別れた時だけ連絡してくる奴いたわ。友達の家に泊まりに行ったときも彼氏を家に返さないとか。ああいうときって男も男なんだよね。お前が自分から家に帰れよ。気を遣えよ。なんでいるんだよ。帰れよって言っても流されるし。
尽くしたい女ってね、見ててしんどいね。
じゃあ真実子が好きかというと別に好きではなかった。かわいいとは思うが。
病弱で、でも病院で男とヤりまくってて、吸収力がすごくて、「私なんて」と言いながらなんでも手に入れてしまって、なのに栞子みたいなタイプにいじらしく尽くしている。
尽くしている。やっぱり尽くすのがよくないんかな。
大人になってからの真実子は怖かった。でも学生時代もあれはあれで怖かった。
人間は「私だけがこの人を」と思ったとき狂うね。狂ってんなーと思いながら読んでた。
でもFRUITS ZIPPERのまつかれを想像しながら読んでたので本当に相当かわいかった。愛しすぎるよ。かわいいわんこ。
美里が一番好き。美里〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
Posted by ブクログ
なんとなく同時読み。
なんか、何とも言えないけど、引き込まれていく主人公たちにひきよせられていく。登場人物って表せないくらいの、存在感!さすが柚木さん。
今の自分だと、ちょっとパワーを使うので、ほかの本を同時読み。
続きが気になる♪
読む心の余裕ができたので、読んでみる。
いやはや。
後半が良かったな。
人を見る目って、経験や成長や年で養われていく部分あるよね。
最後まで読めてよかったし、面白かった。
Posted by ブクログ
真実子があまりにも何をやらせてもプロ急に上手くてトントン拍子に行くのが非現実的すぎて、そこだけがうーんとなるとこだった。
栞子のやりたい放題っぷりは読んでいて面白かった。あそこまで何も努力せずに生きてきた人はそうそういないだろう。栞子の外見描写が出てくるまでてっきり黒髪ロングの美女を想像してきたから、美里目線の栞子を読んで驚いた。普通のどこか気取った女子大生なんだろう。
やっぱり女子校という場所は色々と感覚が鈍る場所なんだなと思った。自分たちだけで完結する閉鎖された空間だから、自分たちのテリトリー内でしか恋愛しないし生きられない。蓮見に恋をするのも栞子にファンがつくのも女子校だからなんだなと思った。
Posted by ブクログ
読み始めてしばらくは、栞子のキャラが嫌過ぎて、真実子も栞子のどこがそんなに良いのか、この本面白いのかなあ…でも柚木麻子さんだから面白いはず、と思いながら読んでいたのだけど。
やっぱり面白かったし、最後は痛快☆
いつの間にか栞子さんのイメージがどんどん崩壊していき、最終的にはなんかちょっと憎めない人になりました(笑)
Posted by ブクログ
みんな自分の居場所を探すことに必死で、自分を輝かせてくれるものに夢中で縋りつく。それが栞子にとっての「男」であり、真実子にとっての「栞子」であり、美里にとっての「女子アナになるいう夢」だったということ。
それでも最後は真実子も美里も自分の道を見つけることが出来て良かった。
親しい友人が変化していくことに焦りを感じる、あの気持ちにとても共感できた。
Posted by ブクログ
◾️record memo
女同士の人間関係は苦手、ね。‥よくそう言ってたけど、じゃあ、どんな人間関係なら得意なんですか。‥他にどんな人間関係が残ってるんですか。
自分の手でつかみとらなかったものなんて、いずれ意味も価値も失うに決まっているのに。
あんなに映画見たり、本読んでたくせに‥‥、何一つ血肉になってないんですね。
自信ないってだけで、胸を張らないでください。そんなの皆、おんなじじゃないですか。生きるのが怖いのは世の中で自分だけなんて思うのは、傲慢ですよ。
Posted by ブクログ
第三者の視点で色んな立場の登場人物をみることができ、共感したり軽蔑してしまったり、味ある人間模様が描かれていた。憧れられた者は成長せず、憧れた者は追いつこうとして結果的に凌駕し、憧れた者を見捨てるという構図を目の当たりにして考えるものがあった。今作はまた別だが恋愛でも置き換えられると思う。自分に真に自信がある人は、他人に満たされようとはしない。栞子は結局格好だけであった。注目されて一度レベルを上げてしまうと、努力し続けない限り落ちてしまうのも宿命だなと感じた。出てくる男たち本当に苦手だった。
Posted by ブクログ
増村栞子
『けむり』の作者。翻訳家の増村栄一郎の一人娘。
増村栄一郎
フェリシモの理事。元名物教授。
蓮見
栞子が午後の授業の後にいちゃつく史学の教授。栞子が十四歳から付き合ってる。経済学部三年の外部生を妊娠させ、学院を去る。
羽柴真実子
栞子の『けむり』のファン。栞子と蓮見がいちゃついているのを目撃。過保護に育てられ、身の回りのことに無頓着。
浅野美里
真実子と寮の同室に住む。容姿端麗。
久我山メアリー
聖フェリシモ女学院大学女子寮「リリーズハイツ」の寮母。
羽柴正治
リリーズハイツのオーナー。真実子の父の兄。
羽柴裕美子
羽柴正治の一人娘。真実子の同い年のいとこ。リリーズハイツの裏手にある豪邸に暮らし、聖フェリシモには中等部から入学している生粋のお嬢様。手芸部部長。生徒会役員。
中村常義
史学部の長老。
手島
美里のデート相手。寮の門限に間に合わず、ラブホテルに泊まる。
四十万
裕美子とお見合いで知り合った会社経営者。点心専門店を全国チェーン展開するやり手。裕美子と婚約。
小島真由
日本文学科二年。フェリシモのミスコンで裕美子と並ぶ有力候補。
ピロートークス
売り出し中の若手お笑い芸人コンビ。小柄で神経質そうなツッコミの山田と、いい加減で人懐こい村西尊。
村西尊
真実子が高校一年生の頃、入院していた小樽の病院で二歳年上の村西と出会う。
三池伊佐夫
栞子は親同士が仲良しだから、父な顔を立てるために仕方なく付き合ってる。
三池駒夫
栞子の父の友人。有名な経済アナリスト。
アソウミユキ
フランスで通訳の仕事をしている。蓮見と結婚。
黒木隆一
無職で、ぶらぶ、写真旅行をしている。二十六歳。早稲田の大学院を出た後、横浜にある映画学校に入学し、有名監督に指導を受けていた。現在は休学し、独学で写真の勉強をしている。
岸
ウェブコンテンツ制作会社社長。三十八歳。
ニッシー
オサケン
勇君
斉藤君
多田ちゃん
栞子がアルバイトしている書店「CANAL」のアルバイト店員。すべて近所の映画専門学校の男子学生。
西村幸雄
ニッシー。
Posted by ブクログ
お嬢様大学が舞台の物語
自分も女子大出身なので手に取ってみました
いろんなタイプの女性たちが描かれていて
誰かには共感できそうです
・真実子
昔から病弱で世間知らずのお嬢様
好きな人には一直線で周りが見えなくなる
一貫して一途な姿は
痛々しくもあり、羨ましくもある
どんなことにも良さを見つけるのって
素晴らしい才能だと思います
・栞子
誰とも違う自分でいたいという気持ちは
若い頃の自分を思い出した
自分が何者でもないことに気づいていく様子は
私も見ないようにしてきたことを
改めて突きつけられるようで読んでいて辛い
・里美
容姿端麗、成績優秀、面倒見のいい性格で
誰からも羨ましがられる存在なのに
男性経験はなく、
女友達にコンプレックスを感じたりする
なんでも持ってるはずなのに
人間って不思議
里美からみた真実子が好きです
女子校っていう独特の空間と
ちょっとした一言で変わっていく女性の気持ちが
とても上手に描かれているなと思いました
このままモヤモヤ終わったら
どうしようかと思ったけど
ラストはスカッとしてよかったです(^^)
Posted by ブクログ
読み終わった後に残る香りがとても力強い。
自身が横浜住みであるのと、娘が石川町にある女子校に6年間通っていた為、馴染みある土地でもあり、懐かしい気持ちになる。
そして、私自身が真美子と重なってみえた。
真美子を中心に皆が自分の人生を自分の足で歩いていくラストが清々しく感じた。