あらすじ
トリーズ(TRIZ)は、「ロシアの特許審査官が特許をベースに作成」し、「200万件以上の特許で、科学的、定量的に検証・ブラッシュアップ」し、「分野を超えて利用できる」ようにした、ほかに類を見ない、非常に優れた、発明的な問題解決の理論です。
ロシアの特許審査官だったアルトシューラーは、来る日も来る日も特許を見ているうちにあることに気づきました。「分野が違っていても、問題解決の手法には共通要素があるのではないか?」と。
そこで、何百、何千件の特許を元に、「発明のコツ」を抽出していきました。そして、そこからついに、発明の「共通要素」を法則化することに成功したのです。
さらにアルトシューラーはもうひとつのことにも気づきました。それは「ある分野で新たに解決された問題の9割は、実はほかの分野で既に解決されている問題である」ということです。
そうしてアルトシューラーがたどり着いたのが「問題解決プロセスの一般化」で、これらをまとめた科学的問題解決プロセスがトリーズ(TRIZ)です。
本書でご紹介する「40の発明原理」は、一つひとつの具体的な問題解決方法の中から、問題解決プロセスを一般化して抽出したものです。これを活用することで、他分野における過去の失敗や成功からより深く学べるようになります。また、異分野の技術者同士やビジネスパーソンの間で今まで難しかった「技術の本質に迫った話」ができるようになります。
TRIZは、今も進化を続ける巨大な理論体系ですが、本書で紹介する「発明原理」は、TRIZの原点であると同時に、ほかのすべての理論の基本にもなっています。
本書は、現在、欧米を中心に高付加価値なビジネスを成り立たせているこの手法の原点を、一般の方向けに初めてご披露するものです。
さっそく、TRIZの世界へご案内いたしましょう!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
### **要約:『トリーズ(TRIZ)の発明原理40』**
本書は、発明や問題解決に役立つ「TRIZ(トリーズ)」の40の発明原理を解説し、実践的な応用方法を示す。TRIZは、技術的課題を体系的に解決するための科学的思考支援ツールであり、「ある分野で新たに解決された問題の9割は、他の分野で既に解決されている」という考えに基づく。
### **TRIZの基本概念**
- **問題解決の一般化**:TRIZでは問題を「矛盾」として捉え、それを解決する方法を導き出す。
- **矛盾マトリクス**:39種類の課題から矛盾を抽出し、特性パラメーターを当てはめて解決策を導く。
- **創造的思考と分析的思考の違い**:TRIZは既存の分析的手法では解決困難な創造的問題に適用される。
- **究極の理想解**:部分的な改善ではなく、「ゴミゼロ」や「無料化」などの極限目標を設定する。
### **主要な発明原理の概要**
1. **分割原理・分離原理**:問題を小さく分けることで解決策を見つけやすくする。
2. **組合せ原理・汎用性原理**:異なる要素を組み合わせたり、汎用性を高めたりすることで解決を図る。
3. **先取り作用原理・事前保護原理**:事前に準備や防御を施して問題発生を防ぐ。
4. **変形原理・可変性原理**:形状や特性を変更することで問題を解決する。
5. **他次元移行原理・周期的作用原理**:新しい次元を活用し、周期性を利用することで効率を向上させる。
6. **無害化の原理**:害を高速処理・転用・フィードバック・仲介により軽減する。
7. **メカニズム代替原理・使い捨て原理**:物理的なメカニズムを別の方法で代替する。
8. **流体作用原理・変色原理**:物質の特性(液体や色)を活用して問題を解決する。
### **TRIZの活用方法**
- **発明原理を観察し、トレードオフの解決策を探る**
- **技術のS字カーブを超えるブレークスルーを目指す**
- **知のハイパーインフレ時代において、創造力を磨き、選択肢を生み出す能力を養う**
本書は、技術者のみならず、問題解決を必要とするすべての人に役立つ内容であり、創造的な発想を鍛えるための実践的なガイドとなっている。
Posted by ブクログ
とても面白く、為になりました。
本として気に入った所は、なんといっても発明原理40点分、それぞれに発明事例が図入りで6件、言葉で10件以上紹介されているところです。
これらは発明原理の説得力や応用力の補強になっているだけではなくて、単純に知らない知識に出会わせてくれる良い教材としての側面も持っており、とても読んでいて楽しい本でした。
藍染、ミウラ折り、鳥の骨の構造など、本を見ずとも印象的だった事例がポンポン思い浮かびます。
NO.39だけ色々よく分からなかったのですが、それでも有り余るくらい楽しく勉強になる本でした。
40こ、原理全部覚えてみてくれとのことだったので、素直に覚えてみようと思います。自分の仕事にどんな変化が生まれるか少し楽しみです。
Posted by ブクログ
特許のアイデアを考える際に困ったので,体系的に考える方法はないか探してTRIZという方法を見つけたので,学びたくて読もうと思った.
2019/7/5読破.少しずつ読んでも一気に読んでも大丈夫.日常にアイデアを得るヒント(発明原理)は沢山隠れているけど,それらを発見するためには体系だった例を知っていると便利(ないし知らないと気づかない)なので,その代表例40個をまとめてくれている点で良著.
いい習慣を早く取り入れられるので早く読んだ方がいい本という印象(こういうの幼稚園や小学生位のときに読めたら最強だったのではと思う).
また発明原理のアイコンが非常に分かりやすい点が素晴らしい.
Posted by ブクログ
これはアウトプットが求められるなと思った。
身近なものにどんな発明原理が使われているか、まずはそこから始めてみようと思う。
いつでも新しい創造をするのは機械ではなく人なのだ。
Posted by ブクログ
トリーズ(TRIZ)の発明原理とは、ロシアの特許審査官だったアルトシューラーが、数多くの特許に触れる中で、「分野を超えて、同じような問題と、同じような解決策があらわれてくる」こと、「ある分野で新たに解決された問題の9割は、実はほかの分野で既に解決されている問題である」ことに気づき、ここから、問題解決プロセスを一般化したものである。
「創造力」を鍛えるための創造技法の多くは、分類、整理、比較、ロジカルシンキングで、いままでの自分の経験を別視点で考えるというものである。自分の経験ベースでは、限界があり、画期的なアイデアを生むためには、異分野を学ぶ工夫や、異分野の知見を活用する創造技法が必要である。この技法がトリーズである。
トリーズでは、大量の特許から、共通要素を40の発明の原理として法則化した。
①分ける 01)分割、02)分離、03)局所性質、04)非対称性
②合わせ 05)組合せ、06)汎用性、07)入れ子、08)つりあい
③事前に 09)先取り反作用、10)先取り作用、11)事前保護、12)等位性
④変形 13)逆発想、14)曲面、15)可変性、16)アバウト
⑤効率化 17)他次元移行、18)機械的振動、19)周期性作用、20)連続性
⑥無害化 21)高速実行、22)禍転じて福となす、23)フィードバック、24)仲介
⑦省力化 25)セルフサービス、26)代替、27)使い捨て、28)メカニズムの代替
⑧変材 29)流体作用、30)薄膜利用、31)多孔質利用、32)変色、33)均質性、40)複合材料
⑨変相 34)排除再生 35)パラメーターの変更 36)相変化、37)熱膨張、38)高濃度酸素、39)不活性雰囲気
Posted by ブクログ
トリーズについて、この本を読むまで知らなかった。課題も分解することで、解決に繋がる。困った時に使ってみたい。イラストもとてもわかりやすかった。
Posted by ブクログ
ソ連時代の特許を分析して、その発明を分類した結果、導かれた法則らしい。
発明も0から生み出すわけではない。そして自分たちの思考もついつい既存の枠にはまってしまい脱出できない。と言う事が多い。
そんなときにこれを使えば抜け出すヒントになるかも。
Posted by ブクログ
特許審査官が申請書から紡ぎ出した共通点⇒発明原理,問題解決方法
全ての道具やシステムは何らかの問題を解決している⇒どの原理が使われているかを見る練習がいる
「分割」は基本中の基本か
コンフリクトをいかに解決するか。その前にどのようなコンフリクトがあるか,それは問題なのかを定める必要がある。これができないと解決という考え方にいかない。
伝記や歴史はこれまでの人々がどのように問題を解決してきたかの記録ともいえるなぁ。
Posted by ブクログ
自身の中の組み合わせのみならず、異分野を学ぶための工夫なども含まれた創造技法とのこと。ロシア生まれの技法。発明的な問題解決の理論。
たしかに、思考発想のヒントになりそうだし、慣れることで活用できるようになりそうだが、40とはいえ、数が多く少し雑多な印象。
たすひくかけるわるといった概念を細分化、体系化した印象。