あらすじ
静原町はターミナルタウンとして鉄道と共に発展してきたが、乗り換え路線の廃止により、ほぼ全ての列車がこの駅を通過するようになってしまった。鉄道と共に衰退しつつあった町にある時再興の兆しが現れる。見えないが「ある」タワー、不思議な「隧道」の存在――誰も見たことのない「町興し」がいま始まる。解説・伊藤氏貴
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Posted by ブクログ
再読。「異なる位相、異なる入口から入って、異なる路線を辿って何度もこの作品を味わいなおすことができるでしょう。(解説より抜粋)」多くの視点やテーマを盛り込みながら、やり過ぎ感がなく、器にきちんと収まっているところがスゴイ。
Posted by ブクログ
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終着駅として鉄道と共に発展してきた静原町。衰退、再興を巡り、町民や元町長、駅長等各登場人物の視点で話が進む。三崎ワールド全開で今回も設定がなかなか。隧道と呼ばれる生きた闇のトンネル、影なき者、見えないが「ある」タワー、鉄道原理主義者。設定に慣れるのに時間がかかるが入っていくと町の興亡に揺れる人々の姿が見えてくる。町の未来を考え、清濁併せ飲む町長の姿にリーダーとして強さと辛さを感じた。町長の犠牲と残された町民の決意の上に町は発展する方向に。駅に捨てられ駅に育てられたという天才丸川も頭がよくカッコいい。
全ての立場の者が納得できる、不満のない落とし所など存在しない。状況を冷静に見極めたなら大義を達成するために敢えて鉾を収める判断も必要。それは妥協や日和見ではなく、戦略であり、次へとつなげるための一歩。一つの町を束ねる立場に立つ者は、正義と悪、正しいと正しくない、そんな二元論ではどこへもたどり着けない。自らの信念に従って、清濁併せ飲んで進まなければ町民を路頭に迷わせるだけだ。