あらすじ
メソポタミア文明から現代まで。〈中東=オリエント〉が辿った長大な道を知った時、きっと気付くであろう、かの地の人々が争いの中に必ず和平の「叡智」を生み出していたことを――。いまだ止まないテロと戦争。複雑に絡み合う民族と宗教、領土と資源。人類に突き付けられた「最大の難題」を根源から理解するための歴史大河。
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Posted by ブクログ
[緩やかなモデルの崩壊]「イスラム国」やシリア内戦,リビアやイエメンにおける危機など,多くの困難を抱えているオリエント地域。「寛容」によって秩序が保たれていた同地域の歴史を振り返りながら,処方箋を考えていく作品です。著者は,静岡大学で教鞭を取られていた宮田律。
古代から現代まで,オリエント地域の歴史を概観するのに適した作品。他方,今日の中東が抱える問題の原因を,欧米やロシアの政策という点に落とし込み,解決策は「寛容」(というぼんやりとしたキーワード)にあるとしか言えないところに,中東の問題の根の深さを逆に感じました。
〜イスラム世界と欧米が共存していくには,この両者の関係における「よかった過去」を思い起こすことが必要だ。もちろん「よかった過去」もあれば,「よくなかった過去」もある。いずれもが,人類がやって来たことであり,もはや否定することは出来ない。だからこそ求められるのは,そう「寛容」なのである。〜
日本の中東研究を研究する上でも良い一冊かと☆5つ