あらすじ
自然史博物館で働くことになった女性新人分類学者・池之端環。植物標本の整理を命じられ、未整理の標本や資料が大量に詰め込まれた旧館「赤煉瓦」に足を踏み入れた環が出会ったのは、そこに棲みつくファントムこと変人博物学者の箕作類。「どんなものも絶対に捨ててはならない」が口癖の箕作と、片付け魔の環のでこぼこコンビが、博物館で起こるさまざまな事件の解決に動き出す!
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Posted by ブクログ
夏も終わるけど、25年ナツイチなので読んでみたり。
伊与原先生の本は初めてだけど、ポップな表紙とは裏腹に博物館的な知識の語り方が良かったなー。
環と箕作のスタンスの違いは、分類学と博物学のそれだと思っていて。
前者は分類付けし整理することに意味がある。いわゆる体系化だな。あるモノがある場所に置いてある(ある生物がある名前である)ことには理由がいる。
後者は集めてこの場所に止めることに意味がある。今の私達の基準ではゴミになるものかもしれなくても、捨てずに意味付けをされるまで待ち展示すること。
デコボココンビに見えるけど、意外と似た者同士な二人だったりするのだな。
と、ところでその…、環さんと箕作さんってお付き合いをされていたり…?(光のカプ厨)
Posted by ブクログ
博物館の旧館に住む、自称博物学者すべてのモノには意味がある派の「箕作類」とコンピューター技師で片づけ魔の「池之端環」凸凹コンビが日本最大の博物館を舞台に、考古学、昆虫学、地学などの蘊蓄満載で挑む。ミステリー短編集。
伊予原新、今の作風はこの本あたりから始まっているのかな?理系、博物系の蘊蓄をトリックの味付けにしたミステリーは面白い。この凸凹コンビ活躍の続きも是非読んでみたいものである。
Posted by ブクログ
テンポよく読み進めていける軽快な小説で、自然科学系の蘊蓄も読めて面白いと思う。ただ、環の設定があまりしっくり来ず、エリート正規研究員というよりはバイトにしか見えない描き方だったり、箕作の描き方がファンタジー的で、あまり感情移入ができない。
推理小説としても、「謎」の手がかりがあまり事前には描かれておらず、「精巧に組み立てられたパズルや手がかりを論理的に解きほぐして納得!」というものではなく、「描かれていなかった背景が謎解きの時に明らかになってくる」というものなので、推理小説としての謎解きの楽しさや爽快感はあまり得られない。なので楽しく軽快に読めるのは確かなのだが、あともう一歩という感じになってしまい星3つ。これは自分が年取ったせいもあるのかもしれない。