あらすじ
選考委員らは彼の自伝「Chronicles(邦題:ボブ・ディラン自伝)」のみならず社会状況や
宗教、政治、そして愛をとりあげた彼の音楽を評価したという。
伝説のシンガー、ボブ・ディランの半生が、今、自らの手によって明かされる!
全米で売上げ50万部を突破したこの自叙伝は、
これまで謎に包まれていた彼の私生活やその折々の彼の心情が赤裸々に吐露されている。
「本書の真の文学的偉業は、ディランが青年時代の彼自身に贈った、うっとりするほど魅惑的な声である」
-- ニューヨーク・タイムズ・ブック・レビュー
「名人級のエッセイスト、世間が注目せずにいられない文化評論家、
そして、もちろん、空中曲芸師のふりをする詩人の手による傑作」
-- ワシントン・ポスト
「ロックンロールの世界において、本書はいわばシェイクスピアの日記の発見のようなものである。
20世紀の偉人によって書かれた自伝の中で、本書ほど本人の内面に迫っているものはない。」
-- デイリーテレグラフ(ロンドン)
伝説のフォークシンガー、ボブ・ディランの自叙伝。
60年代の初めにニューヨークに出てきてコロンビアと契約するところから話は始まり、
ディランの生い立ち、グリニッジ・ビレッジでのカフェホワッ?の舞台裏、
バイク事故とウッドストックの隠遁生活、
「新しい夜明け」や80年代の最高傑作「オーマーシー」ができるまでの過程とレコーディング風景、
恋人スーズとの出会いなど、彼の目で見たものが彼の言葉で書かれている。
彼の音楽人生に大きく影響を与えた数多くのミュージシャンにも言及。
また、これまで謎に包まれていた彼の私生活やその折々の彼の心情、
あるいは当時の社会情勢に対する彼の思いも細かく描写されている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ずいぶん前に購入して読まずに置きっ放しにしてました 読みづらい内容なのはわかっていたのと忙しくて手に取れませんでしたがコンプリート武道館を含めてディラン関連への接点んが増えてきましたので久々に手に取りました
一番面白いというか、キチンと読んだのはオーマーシーの録音エピソードでボノから紹介されたダニエルラノワとのやりとりと曲への考え方です 気難しいというか謎に包まれたあアルバム作りの一部が本人の語りで記載されてるのは面白しです ネヴィルブラザーズとのやりとりも興味深い
ライブにかける意気込みやしの魂を乗せたいというディランの考えがなるほどと思いました
Posted by ブクログ
フォークの神様、ボブ・ディランの自伝。
本書はボブの幼少期、アマチュア時代、デビュー当初、黄金期、スランプ、そして復活に至るまでをつづったもの。
これを読むと彼が時を越えて、分野を超えて、本当に多くの人たちに影響を受けていることが分かる。
ヴォルテール、ルソー、ジョン・ロック、モンテスキュー、マルティン・ルター、ピカソ、ロイ・オービソン、ウディ・ガスリー、ヴァン・ロンク、ビートルズ、ボノ(U2)などなど。
本書には数えきれないぐらい多くの人物が登場する。
そしてそれに彼が育った社会的背景も相乗して彼の思想を構築し、独特のリリックが生まれた。
あの短いセンテンスに含まれる高密度のエッセンスの背景にあるものを知った時鳥肌が立った。
(よかった・驚いた)
●彼はプロテストソングを作っていたが、それはあくまで等身大の自分が歌っているだけで、誰かの代弁者として歌っている訳ではないく、世間で言われている反抗のスケープゴートとしてのイメージは辛抱者たちによって勝手に構築されたということだ。
「私にとってフォークソングは世界を探求する方法であり、それぞれのフォークソングが一つの絵画、何よりも価値のある絵画だった。」(P22)
「他のパフォーマーたちの多くは歌ではなく自分自身を伝えようとしていた。私の場合は歌を伝えることが大切だった。」(P23)
「プロテストソングとは、聞く人たちがそれぞれ知らずにいた自分自身の一面に気づくようなものでなくてはならない。」(P65)
「私は繰り返し、自分は何かの、あるいは誰かの代弁者ではなく、ただのミュージシャンだと答える」(P144)
以上のことからもわかるように、彼にとってプロテストソングとは自分が感じた未知との遭遇を単に伝えることだった。そこには人を刺激して何かをさせようという意図は全くなかった。
●彼の作曲スタイルは以下の通り(個人的な印象)
1伝えることを分析する→物事や考えの思想的な背景を分析する
2単純化する(歌にする)→1で分析した結果、知りえたエッセンスを歌に込める
3歌の持ち味を最大限引き出せる演奏を作る→演奏者、歌の韻、そしてボブの感情を踏まえて
だからこそ彼は多くの本を読んだし、いろんな人とかかわった、いろんな経験をした、そして常に理想の音楽を実現すべくチャレンジした。
ボブも意外と努力の人だったんだな…
そういう意味でも驚いた。
●本書は自伝としてももちろん素晴らしいものだが、彼独特の表現方法が素晴らしい。短いセンテンスに込めるエッセンスの密度が濃い。
すごく哲学的で奥が深い。作曲の技法がここにも生きているようである。
「彼女がコーヒーを注いでくれたが、私は振り返って通りに面した窓に目を向けた。町全体が私の鼻にぶら下がっている。すべてものがある場所を私ははっきりと知っている。未来を心配することはない。それはすぐそこにある」(P128)
●本書で紹介されているミュージシャンを調べてみると、ボブという人物がより深まると思う。
ウディ・ガスリー、ロイ・オービソン、ヴァン・ロンクなどなど。
個人的にはJanis Joplinがお勧め。
「Summertime」はあまりの素晴らしさに泣いてしまった。
とにかくここであげられているミュージシャンは、特に本書の中でボブが称賛しているミュージシャンは非常に素晴らしい方々ばかり。
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音楽関連の本読んでいてこんなにおいしい本は今まで出会ったことがない。
是非読んでみてください!
Posted by ブクログ
Bob Dykanの自伝。
以前読んだウッドストックの本に
「暴動が起りかけたウッドストックを、ヒッピーが歌い出した"Blowing in the Wind"が鎮めた」というエピソードがあった。
だから自分は彼の歌の持つ歌詞といい、人の心を揺さぶるパワーといい、何か特別な人間なのだと思っていた。
だけど、真相はそうではない。
彼は神でも代弁者でもなんでもない。
彼は一人の人間であり、ミュージシャンだ。
この本を読めばそれがわかる。
ただ、やはり彼は普通の人間ではない。
それは彼が生きてきた時間軸によるところが大きいのだろう。
彼は、彼が生きる時代より昔の本を好んだ。
それが彼の「今」であり「新しいもの」だった。
そういった経験が彼の世界観を作りあげていったのだろう。
ポップソングのアーティストならば、DQNでリア充な人がなればいいだろう。
だけど彼のようなフォークシンガーは普通の人間と違った時間軸で生きないといけないのかもしれない。
Posted by ブクログ
ボブ・ディランの音楽に興味ない人には全く必要のない本かと思いますが、ディランを聴き続けてきた私にはたまらなく面白い本でした。
何度読み返しても新たな発見があり、神がかったアーティストではない血の通った人間、ディランの言葉がぎっしり詰まっています。
特に、大好きなアルバム「オー・マーシー」の章は何度も読み返してしまいました。
80年代後半は思ったように活動ができなくて引退も考えていたと弱気な発言も。詩人であるディランの全てが実際の出来事なのかは定かではありませんが、立ち直るきっかけや、曲ができあがる瞬間など詳細な記述は驚きの連続でした。
この本の二冊目はいまだ発表されていませんが、是非とも読んでみたい。
Posted by ブクログ
4月のライヴに向けて気持ちを盛り上げていくために再読。
まさに稀代のトリックスター、自伝と銘打っているがどこまで事実なのか定かではない、というか真実の意味さえ考えさせられる。
ディランにまつわる唯一の真実は彼が奏でる音楽だけ、他のことは全てについて虚構と言っても差し支えないかも。それ位この男は本能的に社会を煙に巻いているような気がする。
それはともかく第4章の『オー・マーシー』が絶品、栄光から墜ちた人間の心の動きが目の前で繰り広げられているかのよう。
ついでに言えばラノワとの出会いが90年代後半からのディランのある意味での絶頂期に繋がる訳なので、この章だけでも本作を読む価値が十二分にあると思われ。
Posted by ブクログ
実は三部作らしい。
彼を通していろいろなミュージシャンの名前が出てくるので音楽好きにはそういう楽しみがあると思う。
ただ時系列がめちゃめちゃなのでこの三部作中にあっちにこっちにいったりきたりとたいへんそうです。