あらすじ
路地の奥に隠れ住む、超能力を持つ老人(「路地裏の天才」)、夜はナイトクラブの超人気ダンサーに変身する児童劇団所属の小学生(「名優キャット」)、穏やかに余生をたのしむ老紳士の密かな欲望(「生きる歓び」)……など“一見普通”の人々が隠し持つ、「もうひとつの顔」をテーマにした短篇集。軽快な語り口で、人生の苦さや怖さ、そして切なさを見事に描く、全5篇を収録。
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Posted by ブクログ
軽読みできる短編集。収録は
路地裏の天才
名優キャット
生きる歓び
眠れ、よい子よ
気まぐれな犯罪者。
路地裏の天才では、河田美智は、抜けられると言や抜けられるけど、抜けられないと言えば抜けられない路地に入っていく。
2度目に読んだとき,はっとすることがあった。軽読みしていたときには気が付かなかった,赤川次郎の背景。
赤川次郎の闇の一部が,薄く,静かに,広がっている。
路地裏の天才 は,やらせだった。主人公の誠実さが光る。
名優キャット は,秘書の一途なところが光,主人公の妖艶なところが煌めく。
生きる歓び は,後悔先にたたず。
眠れ、よい子よ は,腹違いの妹との衝撃の出会い。
気まぐれな犯罪者 は,お金持ちのお嬢様のおばさん版。幸せ終わり。
深いところに人間味をちりばめている。
悲しい中にも幸せがあることを書こうとしている。
Posted by ブクログ
やはり、赤川次郎の推理小説はとても読みやすい。特に、短編はスラスラと読めてしまい、あっけないくらいである。けれども、どこかに小さな恐怖があり、それはなかなか消えず人間臭さを感じた。
Posted by ブクログ
路地の奥に隠れ住む、超能力を持つ老人(『路地裏の天才』)。夜はナイトクラブの超人気ダンサーに変身する児童劇団所属の小学生(『名優キャット』)。穏やかに余生を楽しむ老紳士の密やかな欲望(『生きる歓び』)・・・など。一見普通の人々が隠し持つ、「もう1つの顔」をテーマにした短編集。軽快な語り口で、人生の苦さや怖さ、そして切なさを見事に描く、全5編を収録。・・・短編集で読みやすかった。各話で語られる数々のすれ違いやトラブルは、自分の知っている人間が秘密を持っていることがたまらなく不安であるという、ある意味無理もない人間心理に根ざしている。秘密は秘密として存在することで、社会はバランスのとれるものだとあたしは思うけど、この本の中での秘密を知ったそれぞれの結末は、とてもすっきりしていて、後味がいい。読んだ後のすっきり感を与えてしまう所が、赤川次郎らしいと思った。
Posted by ブクログ
【読み終わって感じたこと】
秘密にすることは、一概に良いとも悪いとも言えない。ある人にとっては知らない方が良いことも、ある人にとっては知っておくべきことだったかもしれない。秘密に対してどう向き合うべきか、考えさせられる本だった。
【印象に残ったシーン】
棚橋が老人の正体だったと気づいた場面。あっと驚かされたし、短編集の中で1番意外性があったのでおもしろかった。
【好きな言葉】
「本当に罪なのは、未婚のままで子供を作ることじゃなくて、愛情を知らない子供にしてしまうことの方だって」
素敵な言葉だなと思った。子供に罪はない。その本質を突いた言葉が、心に響いた。
【こういう人におすすめ】
・短編集が好きな人
・昔の時代が好きな人
・「秘密」について考えたい人
Posted by ブクログ
秘密を一つの共通点としておさめられている短編集。どんなに近しい関係だって、秘密はある。そこから生まれる話。
どの話も背景としては一応日常の延長上にありそうな設定で、登場人物が事件をどう処理していくかというところ。とはいえ、すごくお金持ちかすごく借金があるかどちらかは必ずおり、かといえばこんな人いないだろう!と思う人もいたりで日常系かどうかは怪しいところ。だが、必ず最後にオチがあるので安心して読める。
余談だが解説中に、少女の心情を描くときは作者の筆が冴える、的な記述があるが、私がその少女と呼べるぎりぎりの年のころにこれを読んだときはちっとも面白いと思えなかった。なので「大人が想像する❨理想とする❩」少女性の描写がうまいというほうが適切だと思う。
Posted by ブクログ
「路地裏の天才・眠れ、よい子よ・名優キャット・気まぐれな犯罪者・生きる歓び」の短編5つ。解説にあったけど、この作者は親しい間柄の確執が異常に多い。