あらすじ
古都・金沢を舞台に、恋と青春の残滓を描いた短編集。
「金沢あかり坂」
――金沢の花街で生まれ育った凛は、別れた恋人の記憶を引きずったまま
芸妓になった。その心をいやしてくれたのは父の遺した笛だった・・・。
「浅の川暮色」
――新聞社の事業部に務める森口は、十数年ぶりに記者時代の初任地、
金沢を訪れた。夜、浅野川を見つめる森口の意識に、それまで自分の内側に
押し込めていた女性の姿が浮かび上がる。
「聖者が街へやってきた」
――北陸のK市にあるラジオ局に勤める魚谷と同僚、友人の新聞記者は、
古い城下町の秩序に挑もうとして、世界各国に打電された奇妙な事件を
作りだすが・・・。
「小立野刑務所裏」
・・・いまから十数年前、私は金沢に住んでいた。金沢は誇り高く、そして
怖ろしい町だった。著者を思わせる男が回想する金沢で暮した日々。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
昭和7年福岡県八女市(お茶が美味しいですねw)生まれの五木寛之さん、昭和40年から44年の4年間、金沢で過ごされたそうです。地元の人よりよそから来たものの方が、熱心に興味を持ち、よく勉強するって、よくありますねw。「金沢あかり坂」、2015.2発行、古都金沢を舞台にした短編4作が収録されています。「金沢あかり坂」と「浅の川暮色」しっとりと心に響く作品です。金沢ならではと思います。「小立野(こだつの)刑務所裏」は私小説風で著者の金沢への思いが詰まっています!
Posted by ブクログ
懐かしい金沢、内灘、浅野川、間の抜けた方言。五木寛之が金沢に住んでいた事を初めて知った。私の場合高校の3年間を過ごしただけだが、この街に永く住むと抜けられなくなるという感覚はわかる気がする。
Posted by ブクログ
作者の五木寛之さんは、金沢に少し住んだことがあるらしい。しかも「金沢を選んで」住んだらしい。そんな人の描く金沢が、本物かどうかは別として(誰がどうやって本物と判断するか難しいが)金沢のとなり町・砺波で生まれ育ち、「街で遊ぶといえば金沢」だった私の感覚だがかなり金沢らしい気がする。金沢の華街ってなんかいいなあ。(コミュニティが)狭くて遊びづらそうな気もするけど。
Posted by ブクログ
古都=金沢の不思議な魅力が、そこに暮らす人たちの人間模様によって表現されている。地に足を着けて生きる者。外の世界に憧れて逃げ出すもの。変革を求めて新しい風を持ち込むもの。そうしたすべての者たちを、金沢という街は常に暖かく包み込んでくれる。そんな全体像がこの作品から見えてくる。