あらすじ
まだまだ働き盛りと思っていても、次第に「老い」や「死」を意識し始める50代。ゲーテ、宮沢賢治、『論語』、『ギリシャ神話』などの文芸作品に導かれながら、人生の後半戦の楽しみ方や、不安を解消するすべなどを説き起こしていく。
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Posted by ブクログ
●「人生の後半戦を楽しく生き生きと過ごすためのキーワード」は「教養」だ、という著者の意見には大賛成である。
●残りの人生の時間を考えると、やりたくないことをやっている暇はないのは確かで、「新しいものへ積極的にチャレンジする」ことや、「新しい趣味の友人関係の構築」を進めていきたい。
●この本の中で一番印象に残っているフレーズは、「自分が話している時間は学びが少ない」だ。
Posted by ブクログ
印象に残ったフレーズ:
自分の人生を自分の手でしっかりと意味づけして、ポジティブにとらえる。そのためのトレーニングとして「3年パック保存」の記憶術
偏愛マップの作成。自分の世界の広がりを確認する。
自分自身を更新していこうという意欲があれば、人は力強く生きていける。
自分にとらわれている限り死の恐怖からは逃れられない。自分よりもっと大きな存在、自然や宇宙に自身を溶かし込んでいくことで自分という小さな枠から解放される。
Posted by ブクログ
第5章まではそれなりに面白く読んでいたのだけど、最後の第6章「老いや死と向き合う」で、ほとんどすべてのページにうなずきまくりながら読んでいた。
特に、p179
「学びたいものがあり、自分自身を更新していこうという意欲があれば、人は力強く生きていける」
この一文に出会えたことで、この本を読んで本当によかったと思った。ありがとう、斎藤先生。
Posted by ブクログ
教養とは年齢を重ね、色々な出来事を乗り越えて身につくものもあるし、限りなく傷ついたり泣いたりして、心から血を流す思いをしたからやさしくなれ、人格ができ素直になれて教養を学ぶ心構えができる。
そんな気がする。そして家族との生活での学び。
忘れることの癒し効果と、懐かしむことのできる忘れられない感情。
人に優しくできる人格と教養を持ちたい。
年を重ねても若々しいしなやかな心と、身体と大きな懐を持ちたい。
読書で自分を養って魂をきれいにしたい。
そうしたらきっと豊かな老後を過ごせると思う。
Posted by ブクログ
齋藤孝氏の著書『使う哲学』と同時に、2019年を迎えるにあたっての冬休み図書として購入。
人生の折り返し地点を過ぎた歳を迎え、そして元号も新たになる時代を迎えるにあたり、今後の半生をどう生きていこうかと考えることが多くなったので、一度教養人の考えを知ってみようと思ったのが本書を手に取ったきっかけである。
本書はタイトルに"教養力"と謳ってはいるものの、理屈云々より先人の知恵や賢人の事例を基に、著者の体験談を交えながら人生の後半をより充実して生きるためのヒントを与えてくれる。
まず序章にて、人生をいくつかのプロセスに区切る先人の考え方を紹介し、インドの「四住期」の考え方を現代の日本社会向けにアレンジした「新・四住期」を提唱している。
これは、人生を30歳から15年区切りとしたもので、以下のように区分されるとする。
■第一期:「狩猟期」(30~45歳)
■第二期:「ダブルスタンダード期」(45~60歳)
■第三期:「円熟期」(60~75歳)
■第四期:「ゼロ出力期」(75歳以上)
30歳を出発点としている理由は、この年代から本格的に人生が意識されるようになるからということだが、自分自身も仕事とプライベート双方の大変化がきっかけで、30歳から人生を真剣に考えるようになったので、この考え方は非常に共感が持てる。
また、第二期を「ダブルスタンダード期」としているのは、仕事という第一基準と、後半生の準備という第二基準の二つを同じ優先順位で並走させるからということであるが、この点についても自分が今この時期に差し掛かっていることを考えると合点がいく。
このように人生の後半をいくつかのステージに区切ることで、何を優先し、そして何に備えなければならないのかが明確になるといえる。
上記のように人生の後半を区切ったうえで、著者はステージごとに徐々にギアチェンジするよう心掛けるようにし、特に第二期すなわち45歳からは無理に突っ走らないよう注意を促している。
これについても、自分は45歳になってからステップアップを志し、職場も仕事内容もガラリと変えたことが裏目に出てしまい、周囲に多大な迷惑をかけただけでなく、自分自身も心身ともに多大なダメージを被ってしまった経験から、非常に納得のいく言葉であると感じている。
そして序章の最後で、著者は三年分の期間を一塊にして考える「三年パック」の考え方を提唱し、人生を小分けして意味付けしながらポジティブに生きていこうと述べている。
以降の章では、序章の考え方を基にして、趣味、学び、社会貢献、社交、孤独・老い・死との向き合い方が展開されていくが、教養とは何たるかを説いてそれを身に付けるよう啓蒙するというより、序章で取り上げた人生のライフステージを念頭に置きながら、いかにして自分の人生の幅を広げていくか、ということにフォーカスしている点が本書の特徴であるといえる。
個人的には、著者の「高齢になればなるほど話が長くなる傾向にあるので、周囲に疎まれたくなければ年を追うごとに時間を強く意識すべし」というくだりがリアルに心に響いたので、今後の教訓としたい。
そして残りの半生を悔いのないよう生きるために、今置かれている第二期においては、無理をしない程度に60歳以降の準備をあと10数年かけて進めていこうと思えた一冊であった。