あらすじ
北朝鮮からの亡命者を乗せたワシントン行き002便は、大雪のため遅れて離陸した。その直後、機長二人が倒れ、コクピットには副操縦士の江波だけが残された。そして墜落の危機が訪れる。速度と高度を示す計器がなぜか狂いはじめたのだ。万策尽きた江波に、救いの女神が現れる。元訓練生の岡本望美が、地上のシミュレーターで“一緒に飛ぶ”というのだ。最も危険な夜間飛行が、いま始まる。
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Posted by ブクログ
飛行機の故障によって、飛行機がコントロールできなくなる
ということは、あり得る話である。
どうやったら、その故障を 故意に行なって、
その故意性を、隠蔽するか と言うことが重要だ。
ある意味では、空飛ぶ 密室殺人事件のようなものだ。
大気の圧力を測るスタティック孔(static hole 静圧孔)を塞ぐことで、
操縦不能となると言うことが、この物語の鍵を握る。
スタティック孔が、塞がれることで、計器のデータが狂ってしまう。
つまり、飛行機の状況把握ができなくなり、
コンピュータの故障と理解して、違った操作をしてしまうことで、
失速して、墜落する。
女性パイロット1号になる予定だった ノゾミは、
空間識失調(バーティゴ)になる恐れをもっていた。
そのために、優秀な成績を収めたが、パイロットになれず、
事故の調査分析のシゴトをしていた。
2人の機長とひとりの副機長のうち 機長二人が原因不明の病気にかかり
副機長の江波が ひとりで ワシントンまで飛ぶのを日本にもどることに変更した。
そして、操縦不能となった時に、ノゾミが 操縦不能の原因を推定して、
江波と連絡し、そして、シュミレーターで、その操縦のアドバイスをする。
幾度も危機に陥りながらも 危機を切り抜けていく ノゾミと江波。
最後は ノゾミの教官だった 滝内の誘導によって、無事着陸をする。
その展開が 実にスリリングで、ノゾミの中での葛藤の描写がすごい。
実におもしろく、一気に 読み切ることができた。
Posted by ブクログ
操縦不能になった機体を救うのは誰か?という手に汗握る話。
毎度おなじみ不運なパイロット江波のキャラクターが好き。
なんというか、ダイ・ハードのマクレーン刑事チックな感じがします。
Posted by ブクログ
インシデント(近事故),アクシデント(事故),空間識失調(パーティゴ)などの用語の意味がよくわかる。
模擬試験(シミュレータ)での訓練の精密さがしみじみと分かった。
視界が閉ざされた状況までも再現できるとは。
そして,実物の壊れた計器の代わりを、模擬試験の計器が果たそうとは。
現場を知っている人でなければ書けない現実味。
航空宇宙のソフトをおろそかにしてはいけないという教訓。
Posted by ブクログ
「パイロット・イン・コマンド」シリーズの3作目 日本一不幸なコーパイ江波順一に試練の三度目の災難が訪れる・・・ 現代の航空機は精緻な計器があるからこそ安全に飛べる。 その計器が使用不能になった時、機はUncontrollableに陥る。 暗闇を目隠しされた状態で自転車を全開で漕ぐ! そのような状態から機は乗客は無事地上へ戻ってこられるのか? 手に汗握る航空小説第3幕
Posted by ブクログ
素人には馴染みのない単語が続くのにきちんと読める、というのはなかなかに凄い。話としてはストレートなのだが、飛行機好きとしては楽しめた。
残りページ数から展開がみえるメインパートより、ある意味第一部のウィーン便の緊迫感の方が好きかも。
Posted by ブクログ
文句なしにおもしろい・・・
ディテイルが臨場感を盛り上げ、ぐいぐい引き込まれます。
知人の機長さんに聞いたら、計測器が故障すると操縦は極めて難しらしく、本書のとおりピッチ頼りの操縦になるとのこと・・・
なるほど機長である著者の面目躍如である。
Posted by ブクログ
面白い。
前作「パイロット・イン・コマンド」と比べ、
陰謀よりも航空機の操縦に重きを置いた。
筆者の得意分野に全体を引き寄せることにより、
前作よりもスピード感が出た。
Posted by ブクログ
【亡命は終わりのない悲しい旅】
飛行機操縦についてリアルに記述がある。詳しくないのでどんなものかわからないが文がうまいので臨場感が伝わる。
亡命と壊れた飛行機のはなし。
Posted by ブクログ
元ANA機長、内田幹樹ミステリー第2弾。
パリ発ウィーン経由成田行きニッポンインター208便の機内で、機内食の個数が合わないことから起こったこの物語。どうやら北朝鮮外交官が亡命しているよう。ロシア当局からは戦闘機まで出動させられて強制着陸の危機もあったが、何とかADIZを通過して成田に到着できました。
その外交官、そのままアメリカに護送することになったものの、出発日は大雪でフライトキャンセルが続出。唯一出発のできるニッポンインター002便に搭乗させる事になったが、それを見抜かれていたのか、ジャンボ機に細工をされてしまいます。離陸30分後、機長が突然倒れ、副操縦士江波1人が残されました。その上、高度計や速度計などが狂い始め、パーディゴ(空間失調)に陥ります。
その時無線に飛び込んできた「元訓練生」と名乗る女性の声。彼女は一体…?