あらすじ
昭和の初めの東北、青森――。呉服屋〈山勢〉の長女と三女は、ある重い運命を負って生まれついた。自らの身体を流れる血の宿命に脅えたか、心労の果てに新たな再生を求めたか、やがて、次女は津軽海峡に身を投げ、長男は家を出て姿を消した。そして長女もまた……。必死に生きようとして叶わず、滅んでいった著者自身の兄姉たちの足跡を鎮魂の思いでたどる長編小説。大佛次郎賞受賞作。
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Posted by ブクログ
六人きょうだいのうち、二人の兄が失踪、そして二人の姉が自殺する。生きつづけたのは三姉と末弟の哲郎のみだった。
創作の初期から一貫した家族のテーマと向き合い続けた作者が、体験した当事者としてでなく、ひとりの作家として書き切った小説なのだとよくわかる。初期の作品はもっと等身大で、作中に出てくる兄弟のように、他の兄姉の死に影響されている姿が作品の中に良くも悪くも表れていた。死んだ兄姉をひとりの他者として見つめたからこそ、このような小説が生まれたのだと思う。
この作品は、三浦哲郎と思しき〈羊吉〉という男の子が生まれてから六年間にわたる話である。
公平叔父として出てきた母の弟と三浦哲郎がどんな関わりを持っていたのかが気になった。というかかならず調べる。
Posted by ブクログ
再読です。
昭和初期の東北の呉服店の三男三女の物語。
先天性色素欠乏症(アルビノ)の長女と三女以外は
なに不自由なく暮らしていたけれど、年齢を
重ね、自分たちの世間での立ち位置を認識し、
次女は投身自殺、次女を溺愛していた長男は
失踪、アルビノの長女は服毒自殺をする。
著者はこの呉服店の三男にあたり
物語では0~4,5歳。この三男と
三女以外が細かく描かれています。
読みたいフレーズがあったので再読しました。