あらすじ
みんな死んだ――。見ないふりも、うわべの笑顔も、ここでは何の価値もない。突然のバス事故。生き残ったのは女子ばかり、わずか5人。鎌を手にして絶対的権力を握った盛重(もりしげ)は、クラスで虐げられてきた日々の復讐を図る。そして「恐怖」が事態をますます悪化させていく――。守りたいものがあるから。会いたい人がいるから。生きて、帰る。
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主人公の今野水希は、学校のクラスという狭い世界の中で空気を読んでうまく泳いで、頂点のグループに属していました。
これからもこのままの生活が続くと信じて疑っていなかった今野でしたが、クラスの交流キャンプへ向かう途中のバスが崖から転落したことで、全てが狂ってしまいます。
なんとか生き残ってバスから脱出した今野が再会したのは、同じグループに属していたハルでした。暗い森の中で立ちのぼる煙を頼りに向かった先にいたのは、ほとんど交流のなかったおとなしいクラスメイトの薄井と、一匹狼でクールな神矢。それから、今野とハルが嫌がらせを続けていた盛重の三人だったのです。
「クラス」という狭い水槽が崩壊した新たな世界で、極限状態の彼女たちの本音がぶつかりあいます。「生きて帰りたい」という思いは同じなはずなのに、どうしてこんなにうまくいかないのか……。悩む主人公たちの心の葛藤に胸が締め付けられます。
本来は決して交わることのなかった彼女たち。そんな彼女たちが懸命に生き抜こうとする姿に、きっとあなたも目が離せなくなるはず。ぜひ、最後まで駆け抜けてほしい作品です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
神矢知恵子の冷静さが素晴らしい。
兄弟のために生きて帰ると強い意志が尊敬します。
煽られて今野を裏切ってしまったハルだけど
おにぎりを分けてあげた優しさの中には後悔と申し訳なさもあったのかな?
これから今野とハルが仲良くなれますように。
今野が少しでもハルの気持ちに寄り添えますように。
中間層の恐怖。
バス事故の発覚のリアリティは置いておいて、2巻では学校のヒエラルキーで上位と下位に挟まれていた中間グループに所属してた少女の恐怖が描かれている。立場が逆転して力づいた最下位の人間も、かつて上位だった人間も信頼できずに不安にかられる様子を読んでいると「学校生活で一番恐怖を感じているのは中間層なのかもしれない」と思う。最下位の少女は学校のみならず家庭でも迫害されているが、中間層の少女は帰りたい場所があるだけ幸せなのかもしれないとも思うが。
Posted by ブクログ
1-2巻まとめ読み。
サバイバル系は、いばらの王、7SEEDSと読んできてしまったので、ちょっと斬新さがないかなーと思いきや…。
学校という閉鎖社会の中でのヒエラルキーや、脆い学生の頃の少女の心の動きがありありと見てとれて、読んでいてちょっと心が苦しくなる作品。
学生時代の思い出自体がそこまでよいものではなかった女性には、少なからず過去をさらけ出されてしまう気がします…。
底辺だったとしても上位にいたとしても。
多少なりとも過去の自分が嫌いで仕方なかったり、周りの人間を馬鹿にすることで均衡を保っていたり、多少なりと罪悪感があったり。
それはそんな昔の自分と向き合うお話だと思います。