あらすじ
ここ数年少子化や待機児童、産休、育休等、子どもにまつわることが問題になっていますが、これらは放っておけば国力低下につながるものばかりです。そこで、出口さんと駒崎さんに「子どもにまつわる問題をどう解決するか?」をテーマに、社会の仕組みや仕掛け、働き方、幼児教育の重要性、この国をどんな国にしていきたいか等、語っていただきました。ふたりに共通する思いは、「子育てする人も、そうでない人も、ひとりでも多くの人が幸せに暮らせる社会づくり」に尽きます。今、自分にできることは何か、個人や社会が一歩前へ進むきっかけになる本です。
はじめに
第1章 ヒトが生きてきた歴史に学ぼう
第2章 社会の仕掛け、仕組みを変えよう
第3章 働き方を変えていこう
第4章 教育こそが人間形成につながる
第5章 年齢フリーのチャイルドファースト社会へ
おわりに
<著者プロフィール>
出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長。1948年生まれ。京都大学法学部卒業。日本生命保険相互会社に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て退職。2006年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2016年6月より現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『直球勝負の会社』(ダイヤモンド社)、『「全世界史」講義』(新潮社)等、著書多数。
駒崎弘樹(こまざき・ひろき)
認定NPO法人フローレンス代表理事。1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2005年日本初の「共済型・訪問型」病児保育を開始。2008年「Newsweek」の〔世界を変える100人の社会起業家〕に選出。2010年から待機児童問題解決のため「おうち保育園」開始。のちに小規模認可保育所として政策化。2014年、障害児保育園ヘレンを開園。複数の公務を兼任。『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(ちくま文庫)、『社会をちょっと変えてみた』(岩波書店)等、著書多数。
※この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『世界一子どもを育てやすい国にしよう』(2016年8月20日 第1刷)に基づいて制作されました。
※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
子育てについての日本の現状をきちんと学べる本。本書は日本の子育て環境がいかに歪んでいるのかを教えてくれる。「ベビーカーが迷惑という話があるが、マイノリティはいつもマジョリティの迷惑だという事実がある」、「日本が世界から最も遅れているのは、女性の社会的地位」、「待機児童問題は、年金や医療費みたいに大きなお金がかかりません」、「小学校に入れずに待機している小学生がいないように、保育園だってやろうと決めればすぐにできるはず」。こんな言葉を真剣に語ってくれる男性が日本にいることに私は少し救われます。
Posted by ブクログ
敬愛する駒崎さんと出口さんの対談本は、期待どおりにおもしろかった。勉強になった。
ひと世代で世の中は変わる。子どもの問題は必ず解決できる。
序盤は歴史から始まる話が多く、駒崎さんが相槌を打つだけというのが少しおもしろい。話が展開して、駒崎さんが新しい選挙制度を次々に提案したりするから、やっぱりおもしろい。選挙区をエリア別ではなく世代別で考えるとか、とてもおもしろい。
現時点での実現可能性とかはわからないけど、いつまでも1票の格差を論じているくらいなら、駒崎さんが言うような新しい制度を議論していきたい。インターネット投票は比較的すぐ実現できそう。
そして、衆院選のニュースが出ているので、しっかり考えて、投票に行きましょう。
Posted by ブクログ
ライフネット生命社長の出口氏とフローレンス代表の駒崎氏による対談。少子化が進む日本の問題について、ただの対談だけではなく数値で示されており、また駒崎氏については実際に病児保育や赤ちゃん縁組の事業を立ち上げた経験があるため説得力があると感じた。未来ある子どもたちのため、自分にも何ができるか考えて行動していきたい。
Posted by ブクログ
出口さんの幅広くて深い知識と、若い新鮮な駒崎さんの真っ直ぐな思考が、スッーと自分の中に入ってきた。
文字の奥にあるものを、考えることが楽しくて、二度読みをしてしまった。出口さんの本をもう少し追いかけてみよう。
Posted by ブクログ
現状の問題点の指摘や改善提案などが、もっともなことばかりで、どうしてそういう世の中に変わっていかないのか不思議で仕方がない。既得権益を守り抜こうとしている人たちがいるため? 例えばこんなことなど。
・年配の人にかけるお金に比べて子育て環境を改善するために必要なお金は桁違いに少ない、要はトップのやる気次第
・ネット投票を導入したら若者の投票率が上がるのではないか
・選挙区をエリア別でなく世代別にするというアイディア
・世襲議員は親とは違う区で立候補すべき
・クオータ制を導入した方が国民に利益が大きい
・「俺の若いころは」と言われても若者は「より良くなる」と信じる道を行くべき、「若いころはみんなもっと残業していた」と言われても、涼しい顔で「お疲れ様、お先です」といって帰ろう
・残業をしまくる社員は、グローバル企業ではすぐにリストラの対象になる
・定年制を廃止すると、同一労働同一賃金制に移行して健康寿命も伸びる
・東アジアの国とくらべても、日本は単一民族ではなく遺伝子が多様
・外国では相手を嫌いになったら分かれるので、むしろ日本の方が不倫が多い
・日本で人気があるアメリカの企業は、アメリカでは、今がピークの会社(あとは落ちるだけ)と判断されてあまり人気がない
・世界の伝承で、沈む船に乗せるのは、子ども、女性、男性、高齢者の順番
Posted by ブクログ
教育・保育・年金・ワーママなど、あらゆる側面の社会問題を取り上げた一冊。
共通して、高度成長期に作られた"仕組み"が変革の最中である今も適用されていて、不整合になっているとの事。
ex)製造業など第2次産業が盛んだった高度成長期は"24時間働くこと"が理想だった為、ビジネスパーソンはくたくたになっていた。その為、性分業をした方が効率が良い。女性は仕事を辞め、家庭に入るべきだとの事で「第3号被保険者」や「配偶者控除」が出来上がった。
法律はもとより、昨今叫ばれている"働き方改革"なども例外ではなく、社内制度も古くから踏襲されている物が多い。
多様化する現代社会に、まだ適応できていない。これは私も肌で感じているところ。
読んで良かった一冊。
社会問題に対して、自分が何が出来るだろうか、という事を考えながら一気に読めた。
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◆待機児童問題=フランスの「シラク3原則」
0歳児保育は非常にコストがかかる
→育児休業給付金を1年目はほぼ100%にした
貰える金額が変わらないなら子どもと居よう、と育休取得率が上昇
→0歳児保育のニーズも少なくなり、社会全体のコストも下がった
また、男女関わらず育休復帰後は元の人事制度ランクで職場に戻れるようにした
(日本の大企業は男性社員を海外の大学院に教育に出す=数年不在でも復帰できるのに、育休には寛容ではない)
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◆労働時間問題
日本の年間労働時間は「2,000時間」
夏期休暇は1週間
経済成長率は0.5%
ユーロ圏は「1,300〜1,500時間」
夏期休暇は1ヶ月
経済成長率は1.5%
◆日本では残業が美徳化されている
「こんなに頑張っているのだから評価してあげよう」「大事に育てよう」「今度、飲みにでも連れて行ってあげるか」という気持ちになる
グローバルな企業では残業社員は真っ先にリストラ候補
「勤務時間中に作業できない容量の悪いヤツ」「会社の貴重な残業代を持って行くヤツ」
◆NPO法人フローレンスの取り組み
・1タスク2ピープル制
誰かが不在でも代わりに出来るので、仕事の停滞も防げる
・会議のルール策定
・議題の事前通知
・仮説を持ってくる
・定刻開始
・在宅勤務制度
・管理職の定時退社
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◆ペアレンツシップを学べる性教育を
日本では性教育がタブー化されている
(先生が照れながらコンドームの付け方を教える程度)
→単にセックスの話をするのではなく、子どもを産むとはどういう事か?という本質論を教えていくべき
妊娠や出産が何歳くらいまで可能か?
もし将来結婚生活を送るとしたら、どんな生活をしたいか?
どんな父親・母親になりたいか?、、、等。
「将来の夢」というと職業の話になりがちだが、ファザーシップ・マザーシップ・ペアレンツシップを教える事も大事
※なぜ教育に組み込む事が大事かというと、"技術家庭"
男子は技術、女子は家庭科、という区分をしなくなった世代から育休取得率が上がった
→教育で通過すると、それがデフォルトになる
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◆ひとり親問題
・ひとり親の家庭は50%が貧困家庭とも言われている
・日本全体の9%の家庭がひとり親の世帯
→100人の企業なら10人がシングルペアレントの計算
かつ、その中でも圧倒的に"シングルマザー"が多い
女性が離婚して子どもを抱えながら働こうとすると、正社員として採用されづらい
「正規・非正規」「男性・女性」のダブルで格差を受けている
Posted by ブクログ
今の世の中でたくさん聞こえてこない発想がいっぱいで、希望だらけだった。子どもは宝って国になりたい、経済的にもそうなのに、政治家は自分の身を守り稼ぐために死んでゆくじじばばの人気ばかりとりにいってる。若者は変革をおこせるかな。必死に子育てしてるママたちがどれだけ声をあげられるかな。何ができるか考えて、やっていきたい。なんか効果的な方法はないかな。
Posted by ブクログ
日本と世界を比較することで、遅れている点や改善すべき点が分かりやすい。
問題と思っていなかったことも、実は…ということが多々あり、勉強になります。
教育の目的
・自分の頭で考え、自分の言葉で意見を表明できる力を育てる
・現実社会で生きていくための武器を与えること
(お金の使い方、社会保障の仕組み、選挙の仕方など)
世間に広まってほしい内容、もっと自身も学ぶべき内容です。
Posted by ブクログ
・少子高齢化社会になると、民主主義が上手く働かない。いつ死ぬかわからない高齢者が大多数になると、長期的な政策がたてにくくなる。
・子どもの認知能力(読み書きなどの点数で表せる能力)は小学校入学後からでも取り返せる。しかし、非認知能力(思いやり、我慢などの点数で表せない能力)は、幼児期に適切な刺激を与えないと後からはなかなか身につかない。幼児期に自然や周りの人間関係からたくさんのことを学ぶことが大切。
・自然はすべてが教材。
Posted by ブクログ
『世界一子どもを育てやすい国にしよう』。双子の誕生を機に再読。ファクト、数字、ロジックで子育ての問題を語り合う対談。子どもへの投資がいかに足りないか、いかに重要かよくわかる。①フランスのシラク3原則、②子育ての「伝統」のおかしさ、③各種データ、の3つの要素がためになった。子育ては自分の経験で結論を導く人が多いが、客観的に考えるきっかけになる。
Posted by ブクログ
外部からの人口流入がない国は衰退する。外国人の子どもが母国語として日本語を話すようになる
0歳児はコストが高いから家で見る
世襲議員の同一選挙区立候補禁止
超高齢化社会では民主主義が機能しづらくなってくる
人手不足を外国人労働者に頼るとブラック企業が頼ってしまう。人手不足が続いて生産性を上げる方向に考える方向になるべき。制約があるほうが人は知恵を使う
健康寿命を伸ばすには、運動や食事ではなく、働くことが一番
非認知能力を高める、よく遊ぶ、人の心がわかる、最後までやりとげる
Posted by ブクログ
世界一子どもを育てやすい国にするには、女性の立場をもっと保障して優位にしたり、働き方や税金の使い道をもっともっと変えなければならない。そのためには先進国でも群を抜いて低すぎる若者の選挙への投票率を上げる必要がある。選挙の前にこの本を読めてよかった。みんなちゃんと選挙に行こう。有力候補がイヤならば、棄権するんじゃなくて候補を落とせるように違う候補者の名前を書こう。