【感想・ネタバレ】蛇行する月のレビュー

あらすじ

「東京に逃げることにしたの」。高校を卒業してまもなく、同級生だった順子から清美に連絡が入る。二十も年上の男と駆け落ちするという。故郷を捨て、極貧の生活を「幸せ」と言う順子に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた女たちは引き寄せられていく――。自分らしく生きてゆくことの難しさ、そこにある確かな希望を描いた連作長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

釧路の高校で同級生だった女性たちのその後の人生を追う小説。
それぞれの章が清美、桃子、弥生、美菜恵、静江、直子と全6章から構成されているが、いずれの話にも登場する『順子』という女性がいる。この『順子』が主人公の章は無いのだが、それぞれ物語の話題として登場するのだ。

順子は高校卒業後に就職した札幌の和菓子屋の20歳も上の旦那の子供を孕んでしまい、東京に駆け落ちするが、彼女はどんな貧乏な貧相な状況でも『私は幸せだ』と言い切る。

6章のうちの4章(清美、桃子、美菜恵、直子)は順子の同級生。
残りの2章、弥生は和菓子屋の捨てられた妻であり、静江は逃げた順子の母親の立場での物語。

人はいま自分が幸せかどうかを、他人と知らず知らずのうちに比較してしまうことがあると思う。
他人よりも自分が優っていたら、『あの人よりは幸せだ』と思うが、同じくらいのレベルだった人が自分より上の立場になっていたら、悔しい気持ちになるだろう。

物語の同級生たちは、波瀾万丈で他人や家族に迷惑をかける人生を送っている順子が、自らを『幸せだ』と言っていることを自分の境遇に照らし合わせ、ある者は嘘だと思い、ある者はやせ我慢してる、虚勢を張るなと訝しく思う。最後まで答えのようなものは無い。

結局『幸せのモノサシ』は他人が決めるものではなく、あくまでも自分の心ひとつなんだろうなあ。様々な女性が登場するが、誰一人自分の生活に満足せずに、順子の『幸せ』を確認しつつ心の穴を埋めながら生きている。

全体がどんよりと曇っているような内容であり、全く清々しさが無い。
タイトルの蛇行する月。この月の軌跡というのは、あっちへ行ったりこっちに来たり…定まらない生き方ということなのかな。

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2026年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

桜木紫乃ならでは、という筋立て。釧路の高校で図書部だった女子高生4人がそれぞれたどる人生を描く。

国語教師に恋し、官舎に押しかけ愛を告白した女子高生時代。時は流れ同じ国語教師と結婚したのは別の図書部員だった。

就職した和菓子店の職人と駆け落ちした順子。職人は店主である妻の前から、身ごもった順子とともに北海道から東京へ逃げる。時は流れ失踪宣言がなされ、順子はこの世に存在しなくなった夫と、その間にできた子と暮らし…苦労の末、これから、というところでまだ40代なのに不治の病にかかった順子。

再会した別の部員に順子が言う。「子どもの目が見えなくなる。私の角膜を移植して、息子が、その目でいろいろな建物を見て、望みの建築の道に進み続ける」

「あんた、(それでも)幸せだったんだね…」

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東京で生活をしている順子を中心に、6つのそれぞれの女性の物語が描かれている。こじんまりと生活している順子は同級生や母親に、自分は幸せだと伝えるが、実際の生活を見るとそのギャップがある。読んでいくうちに順子は心から自分が幸せだと思って生活しているし、背負うものもたくさんあることに気付く。会話も年が経つ事に変化があって面白い。何より順子の純粋さに憧れる。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今まで読んできた作風とはまるで異なっていた。二十以上も年上の和菓子職人と駆け落ちした順子は、貧しく東京で三人暮らしをしていたがそれを幸せという。初めはみすぼらしく幸せだということが理解できなかったが、子供の輝が生きがいとなり、余命わずかな順子の眼が愛する息子の眼となり海外へ飛び立つことへの喜びを純粋に語ることから、心が温かくなった。

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2022年08月21日

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